ジスキネジアとは、勝手に体が動いてしまい自分ではコントロールできない状態を指します。中には症状によって日常生活や社会活動に支障をきたし、困っている方もいるかもしれません。
この記事では、ジスキネジアの特徴や症状、治療法などを解説しています。
病院での治療はもちろん、日常生活上での困りごとや不安がある方は、訪問看護サービスを受けるのも選択肢の1つです。在宅医療を検討中の方は、ぜひお役立てください。
ジスキネジアの特徴と症状
ジスキネジアは不随意運動の1つであり、自分の意思に反して体の一部が勝手に動いてしまう状態を指します。人によって症状があらわれる場所が異なりますが、口唇や舌、顔、手足などに見られるのが一般的です。
ジスキネジアでは、以下の動きなどがあらわれます。
・口をもぐもぐさせる
・舌を突き出す、左右に動かす
・口をすぼめる
・歯を食いしばる
・手足が勝手に動く
・足が突っ張る
・手に力が入る
自分ではなかなか止められず、止めてもまた繰り返し動いてしまうのが特徴的です。人によっては日常生活や社会活動に支障をきたしたり、強いストレスや疲労を感じたりと、心身への影響が大きいとされています。
参照:厚生労働省/重篤副作用疾患別対応マニュアル ジスキネジア
ジスキネジアの原因
ジスキネジアが出現するのには、脳内から分泌される神経伝達物質「ドパミン」が影響しているとされています。ドパミンによる運動機能の調整がうまく働かなくなると不随意運動が生じるようです。
ジスキネジアの原因としては、以下の2つが考えられています。
・薬の副作用
・脳、神経の疾患
ジスキネジアが起きやすい薬剤として、統合失調症やてんかんなどの治療で使われる抗精神病薬と、パーキンソン病治療薬などがあります。抗精神病薬を長期的に服用した際に症状が出ることを「遅発性ジスキネジア」と呼び、薬剤を服用してから3ヶ月以上経過すると副作用として症状が見られる場合があります。服用期間が長くなるほど発症頻度が高くなるため、注意が必要です。ほかにも、パーキンソン病の治療で使用される薬を投与中にもジスキネジアが出現する場合もあるのです。
一方で一部の脳・神経疾患などでジスキネジアを誘発する可能性もありますが原因は解明されておらず、多くは薬物が影響しているといわれています。
参照:厚生労働省/重篤副作用疾患別対応マニュアル ジスキネジア
ジスキネジアとジストニアの違い
ジスキネジアと似た言葉に「ジストニア」があります。ジストニアは、特定の筋肉が勝手に収縮してしまう状態を指します。ジスキネジアは不規則な動きを繰り返すのに対し、ジストニアは特定の筋肉が緊張し体が硬直したり痙攣を起こしたりするのが特徴です。
ジストニアの症状としては以下のものが見られます。
・まぶたが痙攣する
・首や足がねじれる
・口が歪む
・声が出しにくくなる
・しかめっ面になる
ジストニアは脳の一部(大脳基底核や小脳など)が過剰に活動するために起こるとされています。原因としては、ジスキネジアと同様に薬剤やほかの疾患が影響するほか、遺伝子変異によって発症することもあるのです。
ジスキネジアの治療法
ジスキネジアの治療は、大きく3段階に分けられます。
それぞれの治療法について解説します。
1.原因薬剤を中止する
まずは、ジスキネジアの原因として考えられる薬剤を中止もしくは減量することが最優先とされています。しかし原疾患の症状によっては、中止できない場合もあるため、主治医と相談しながら決めていきます。
ジスキネジアの症状が見られたからといって、服用中の薬を自己中断しないように注意しましょう。抗精神病薬などの服用をやめると離脱症状が出現する恐れがあります。
服薬管理に不安がある場合には、訪問看護などのサービスを導入するのもよいでしょう。
関連記事:精神薬を勝手にやめると「離脱症状」がみられる?訪問看護での服薬管理とは
2.ほかの薬剤へ変更する
原因薬剤を中止もしくは減量した場合、一時的にジスキネジアが改善しても、反対に原疾患による精神症状が悪化する恐れがあります。
その際には、抗精神病薬をほかのものに変更して様子を見ることも。薬の選択には、症状や全身状態を総合的に判断する必要があるため、医師と相談しながら治療を進めましょう。
関連記事:よく使われる精神薬の種類と作用を解説|服薬する際の注意点とは?
3.症状(不随意運動)に対しての治療
ジスキネジアのほとんどは重症化しないとされていますが、数パーセントの確率で悪化するケースがあります。例えば、不随意運動が原因で動けない、眠れない、食事が摂れないなどです。
この場合には、それぞれの不随意運動に適した治療法が選択されます。
参照:厚生労働省/重篤副作用疾患別対応マニュアル ジスキネジア
ジスキネジアの症状が生活に影響しているなら訪問看護を利用してみよう
ジスキネジアの症状は、人によって日常生活に影響を与えるケースもあります。抗精神病薬やパーキンソン病治療薬が原因となることも多く、原疾患との治療と併用しながら対処する必要があるでしょう。
「日常生活に不安がある」「薬の管理が心配」という方は、訪問看護サービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか?訪問看護を受けることで、日常生活上でのサポートはもちろん、服薬管理や社会復帰のための支援を受けられます。お気軽に『訪問看護ステーションくるみ』へお問い合わせください。