
a型作業所とは、障害のある方が雇用契約を結んで働く「就労継続支援A型」のことです。一般就労に不安がある方でも、必要な支援を受けながら無理なく仕事を続けられる制度として注目されています。
作業内容は軽作業や事務など多岐にわたり、最低賃金以上の給料が得られる点が特徴です。利用を検討している方に向けて、具体的なメリットや流れをわかりやすくまとめます。
a型作業所とは
a型作業所とは雇用契約に基づいて働く場であり、障害のある方が安定した収入を得ながら社会参加しやすいしくみが用意されています。体調や障害特性を考慮したサポートを受けつつ、自分に合ったペースで通所できる点が魅力です。ここからは、就労継続支援A型の基本や対象者、一般就労との違いを解説します。
就労継続支援A型の基本的な仕組み
就労継続支援A型では、事業所が利用者と雇用契約を結びます。雇用契約があるため最低賃金以上の賃金が支払われ、労働条件も法律で守られやすいです。実際の仕事は軽作業や事務作業、農作業など多種多様で、事業所の方針や得意分野に応じて決まるケースが多く見受けられます。
支援員が常駐し、勤務態度や体調面をこまめにサポートしてくれるため、慣れない環境でも継続しやすいでしょう。一方で、就労時間や出勤日数は原則として一般就労に近い基準が採用されることが多いです。毎日フルタイム勤務を行う人もいれば、週数日や短時間から始める人もいます。
対象となる人
a型作業所は障害の種類を問わず利用が検討できる一方、市区町村から発行される障害福祉サービス受給者証が必要です。受給者証を取得するには、障害者手帳を所持しているか、医師の診断書などで障害特性を証明する手続きが求められます。また、通所に耐えうる体力や安定した生活リズムが維持できるかどうかも考慮対象となります。
精神障害や発達障害、知的障害、身体障害といった幅広い障害を抱える方が対象であり、配慮を受けながら賃金を得たい人に向いています。さらに、将来的に一般就労を目指す人も多く利用しており、訓練と実務経験を積み重ねる場として機能しているのが特徴です。本人だけではなく、家族や支援者と情報共有しながら検討することが望ましいでしょう。
一般就労との違い
a型作業所はあくまでも就労継続支援の一形態であり、完全に一般企業のような環境というわけではありません。大きな違いとしては、支援員が常駐していたり、体調不良などの際に柔軟な休暇取得や作業内容の調整が行われやすい点が挙げられます。周囲が障害特性への理解を持っているため、急な困りごとが起きても相談しやすいでしょう。
また、作業の難易度やスピードに関しては、一般就労よりも個々の事情を考慮されやすい傾向があります。マイペースに作業ができる場合も多く、コミュニケーションが苦手な方には安心感が得られる可能性があります。ただし、利用を継続するには最低限の出勤や業務遂行が必要とされるため、完全なリハビリ感覚で通う場所とは異なる点に注意が要ります。
a型作業所の仕事内容

a型作業所では利用者が雇用契約を結んだうえで、さまざまな作業に携わることが可能です。事業所ごとに業務内容は異なり、自社製品の製造や地域企業から受注した作業を請け負うケースなども存在します。ここではどのような仕事があるのか、いくつか代表的な例を紹介します。
軽作業から事務作業まで
多くのa型作業所では、部品の仕分けや袋詰め、シール貼り、検品、組み立てといった軽作業を中心に行う場合があります。手先を動かす作業が得意な方や、単純な作業をコツコツ続けたい方にとっては取り組みやすいでしょう。作業スペースが整っている事業所も多く、周囲とのやりとりが最小限で済むのも利点です。
一方、パソコンを使った入力業務やデータ管理などの事務系の仕事を提供しているところもあります。WordやExcelを使う作業を担当しながら、ビジネススキルを身につける事例も少なくありません。事務職を志望する方にとっては、業務経験を積み上げる良いきっかけになるでしょう。
農作業や調理関連の仕事
近年では農作業を取り入れているa型作業所が増えています。野菜や果物を育てたり、農産物を直売所やネット販売で売ったりして、土に触れながら働けるのが特長です。外作業が苦にならない方や自然が好きな方には、ストレス軽減につながる可能性があります。
また、飲食店を併設している事業所も存在し、簡単な調理補助や接客を担うケースがあります。包丁の使い方や衛生管理などの基礎をスタッフから学び、将来的に飲食業界への就職を考えている方にとって良い訓練機会になるでしょう。接客が苦手な場合は裏方業務を優先的に任せてもらえるなど、特性に合わせた調整がなされやすいです。
就労移行支援との連携
a型作業所によっては、就労移行支援事業所と連携してスキルアップをサポートすることがあります。たとえば、パソコンの操作研修や資格取得支援、ビジネスマナー研修などを就労移行支援側で行い、実践の場としてa型作業所を活用するイメージです。これにより理論と実務の両面で着実に力を付けられます。
事業所によっては外部企業への実習を組み込むこともあり、利用者が将来的に一般就労を目指す道が広がります。履歴書の書き方や面接対策についても助言を得られるため、就職活動の不安を軽減しながら前進できるでしょう。
関連記事:発達障害の方におすすめの仕事を紹介|長く続けるための仕事選びのポイントも解説
給料はどのくらい?

a型作業所を利用する大きなメリットとして、最低賃金以上の給料が得られる点があります。就労継続支援B型では工賃を受け取る形式が多く、収入が不安定だったり金額が低めに設定されていることがありますが、A型なら労働契約により一定の保証が得られます。ここでは具体的な収入面について確認しましょう。
最低賃金は守られる
就労継続支援A型では、事業所が所在する地域の最低賃金を下回らない賃金を利用者に支払います。地域によって最低賃金の額は異なるため、勤務地域を意識することも大事です。実際には、時給で計算されるケースが多く、通所時間が短いと手取りが少なくなる可能性があります。
働く時間を増やすことで、月収や年収を上げやすいものの、体調や障害特性に合わせた就労スタイルを選ぶことが先決です。無理なく通い続けるために、短時間勤務を希望する場合は、収入は低めでも安定を優先するといった選択も考えられます。
各種手当や社会保険
雇用契約があることから、一定の労働条件を満たせば社会保険(健康保険や年金)、雇用保険などに加入できるケースがあります。また、通勤手当や残業代、役職手当などが支給されるかどうかも事業所によりけりです。就労時間が長い人ほど社会保険の適用となる場合が増えるため、加入条件を事前に確認するのが望ましいでしょう。
さらに、障害年金などの公的給付を受けている人は、a型作業所の給料とあわせて生計を支える形もあります。自治体の制度によっては家賃補助や福祉サービスの優遇が受けられることもあるため、総合的なサポートを活用して日常生活を安定させることが可能です。
収入アップにつなげる方法
a型作業所で働くうちに作業スキルが向上し、評価を受けると昇給が見込まれる場合があります。仕事の正確さや効率が上がることで、任される業務の範囲が広がることもあり、結果的に時給が上がったり、契約内容がグレードアップする例もあるでしょう。
また、資格取得や外部研修への参加を積極的に行うことで、自身の市場価値を高める方法もあります。パソコン系資格や調理師免許など、将来のキャリアに有利となるスキルを身につけると、a型作業所内だけでなく一般就労へ移行する際にも評価されやすくなります。
利用条件や流れ
a型作業所を利用するには、障害福祉サービスの一環として手続きが必要になります。まずは市区町村の窓口で申請し、受給者証を取得したうえで事業所を選び、雇用契約を結ぶ流れが基本です。初めての方でもスムーズに利用を開始できるよう、主要なステップを押さえておきましょう。
受給者証の取得方法
a型作業所の利用には、市区町村が発行する障害福祉サービス受給者証が必須です。障害者手帳(身体・知的・精神のいずれか)や医師の診断書を提示し、支援の必要性を証明する形になります。申請時には面談を行い、通所可能な日数や時間帯などのヒアリングを受けるのが一般的です。
審査には一定の時間がかかることがあるため、急いで利用開始したい場合は早めに役所を訪れることが大切です。受給者証が発行されると、就労継続支援A型以外の福祉サービス(就労移行支援など)の利用も検討できるようになるケースがあります。複数サービスの組み合わせを視野に入れ、最適な支援を選ぶとよいでしょう。
関連記事:自立支援医療ってどんな制度?概要や手続きの流れまでわかりやすく解説
見学と体験
受給者証の申請と並行して、通いたいa型作業所を複数候補としてリストアップし、見学や体験利用を申し込むのがおすすめです。事業所によって仕事内容や雰囲気、サポートの体制は大きく異なります。実際にスタッフや利用者と話してみることで、自分に合った環境を見極めやすくなるでしょう。
見学や体験では、職場の清潔感や安全管理の状況、作業の難易度、スタッフとのコミュニケーションの取りやすさなどを注意深く観察すると参考になります。さらに、通所にかかる交通手段や時間も重要な要素です。自宅から遠すぎる場所では長期的な通所が難しくなる可能性があります。
契約と通所開始
見学や体験を経て利用を決めたら、事業所と正式に雇用契約や利用契約を取り交わします。雇用条件や勤務時間、通所ルールなどが書面で提示されるため、納得できるまで理解することが大切です。契約時にはハンコや身分証明書、受給者証などを持参することが一般的といえます。
通所初期の段階は体力や精神面で負担がかかりやすいので、無理のないスケジュールを組む工夫が大切です。事業所のスタッフと相談しながら徐々に勤務日数を増やしたり、作業量を調整してもらえます。コミュニケーションを怠らず、自分の状態をこまめに伝えることでスムーズに適応できるでしょう。
a型作業所を利用するメリット
障害のある方が社会参加を続けながら安定収入を得るうえで、a型作業所には多くのメリットがあります。一般就労に比べると障害特性への理解が深い環境で働けるため、安心感も得やすいです。ここからは、a型作業所を活用する具体的な利点を確認します。
安定した労働環境
a型作業所では雇用契約があり、最低賃金以上の収入が見込まれます。働いた分が確実に賃金に反映されるため、経済的な安定につなげやすいでしょう。さらに、スタッフがメンタルヘルス面や業務上の困難をフォローしてくれるので、困ったときに一人で抱え込まなくて済む環境が整えられています。
職場の仲間も障害を抱えている人が多いため、共感し合える部分があることは精神的に大きな支えです。体調が悪いときなども、配慮の仕組みが既に整っている事業所が多く、急な休みや短時間勤務への切り替えなどが相談しやすいといえます。
就労スキルの習得
a型作業所では業務研修やOJTを通じて、就労に必要な基礎スキルを身につけることができます。たとえば、職場でのルールやビジネスマナー、作業効率化の工夫など、実際の業務を経験することで学べる知識が多く存在します。特に社会人経験が浅い方やブランクのある方には効果的な環境です。
さらに、事業所によっては就労移行支援と連携して資格取得講座や外部セミナーへの参加機会を提供しているケースもあります。自分の得意分野を活かしつつ新しい知識や技術を習得できるのは大きな魅力です。スタッフと相談しながら目標設定を行うことで、着実にキャリアを磨くステップを踏めます。
次のステップへの橋渡し
a型作業所を足がかりとして、最終的に一般企業に転職する方も少なくありません。一定期間働くなかで「自分の障害特性に合う業務は何か」「どんな職場環境ならば能力を発揮しやすいか」を把握できるため、自分らしい働き方を追求しやすくなると考えられます。
また、スタッフが企業とのパイプを持っている場合、就労移行支援や職場実習を通じた就職先の紹介を受けるチャンスもあります。事前に業務体験を行いながらスムーズに移行できれば、転職後のミスマッチも減らせるでしょう。
a型作業所とb型作業所の違い

就労継続支援にはA型とB型があり、それぞれに特徴や向き不向きがあります。a型作業所とは雇用契約を結ぶ形である一方、b型作業所では工賃という形で報酬を受け取るのが一般的です。ここでは両者の違いや選択のポイントをまとめます。
雇用契約の有無
a型作業所では利用者と事業所が雇用契約を結ぶため、最低賃金以上の賃金が保証されます。一方b型作業所は雇用契約を結ばず、工賃として報酬を支払う仕組みです。工賃は作業量や事業所の収益状況で左右されることが多く、a型ほどの安定した収入を得るのは難しいケースが見られます。
ただし、b型のほうが就労時間や日数に柔軟性がある場合が多いため、体力面や精神面に大きな不安がある人にはb型が向いているともいえます。無理のないペースで通い続けることを重視するならb型、一定の収入を確保しながら社会復帰を進めたいならa型という考え方もできます。
求められる通所時間
a型作業所は就職を意識した働き方に近いので、週5日通所やフルタイム勤務を求められることがあります。事業所によっては週3日程度から始める人もいますが、長期的には一般的な企業と同じような勤務体系を目指すことが多いです。一方b型は通所日数や時間帯の柔軟性が高く、午前中だけ、週2回だけといった利用も可能な場合があります。
自分の障害特性や生活リズムに照らし合わせて、無理なく通所できるかを考慮することが重要です。体力面が厳しい段階でa型を選ぶと、すぐに体調を崩してしまうリスクもあるため、まずはb型で慣れてからa型へ移行するケースも珍しくありません。
目指すゴールの違い
a型は収入確保や就職先の開拓をメインのゴールとする人が多く、一定期間で一般就労へ移行できるよう支援することを目的としている事業所も存在します。一方b型は必ずしも一般就労をゴールとせず、地域社会とのつながりや社会参加を継続することに重きを置くケースが多いです。
つまり、a型が「労働者としての自立」を重視するのに対し、b型は「日中の活動や交流の場」としての側面も持ちます。どのような生活目標を持つかによって選択肢は変わるでしょう。将来的なキャリアアップを強く希望するならa型、一歩一歩ゆっくりと社会と繋がり続けたいならb型という大きな方針をまず考えてみるのがいいかもしれません。
まとめ
a型作業所とは、障害のある方が雇用契約で働ける就労継続支援A型の場です。仕事内容は軽作業や事務、農業など多彩で、最低賃金以上の給料が得られます。利用には受給者証の取得や見学、契約などの手続きが必要で、体調管理やスキルアップのサポートを受けながら安定して働きやすい点が特徴です。
a型作業所に関する悩みや、日常生活でのサポートが必要な方は訪問看護を利用してみるのも一案です。困りごとは早めに共有するのが大切なので、ぜひ「訪問看護ステーションくるみ」へご相談ください。
大阪市、寝屋川市、守口市、 平日・土曜・祝日 9:00〜18:00 ※訪問は20時まで
門真市、大東市、枚方市全域対象“精神科に特化”した
訪問看護ステーション
「くるみ」
【日曜・お盆・年末年始休み】
対応させていただいております。