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専門医が教える、うつ病の人への接し方とは?接し方の基本とNG行動について

精神科訪問看護とは

「もしかして、あの人はうつ病かも…」そう感じたとき、あなたはどんな言葉をかけますか?何をすれば良いのか分からず、不安になるかもしれません。この記事では、うつ病の人との向き合い方で、まず知っておくべき基本と、やってはいけないNG行動を具体的に解説します。大切な人を支え、より良い関係を築くために、ぜひ最後までお読みください。

うつ病とは?正しい理解から始めよう

身近な方がうつ病と診断された、あるいはその兆候が見られると、どのように接すれば良いか戸惑うことは少なくありません。大切な人を支えたいという気持ちはあっても、具体的な行動が分からず、不安を感じている方もいらっしゃるでしょう。うつ病は、単なる気分の落ち込みではなく、脳の機能障害が関わる病気です。

まずは、うつ病について正しく理解することから始め、適切なサポートの方法を探っていきましょう。正しい知識を持つことが、ご本人への適切な関わりと、ご自身の心の負担軽減につながります。

うつ病の主な症状

うつ病の症状は、精神的なものだけでなく、身体的なものまで多岐にわたります。代表的な精神症状としては、一日中続く憂鬱な気分、興味や喜びの喪失、過剰な疲労感、自分を責める気持ち(無価値感、罪悪感)、集中力や決断力の低下、そして死にたいという考えなどが挙げられます。

一方、身体症状としては、不眠や過眠、食欲の低下や過食による体重の変化、頭痛、腹痛、動悸、倦怠感、体の重さ、動作や会話が遅くなることなどが見られます。これらの症状は、人によって現れ方が異なり、また、その程度も様々です。早期にこれらのサインに気づき、適切な対応をとることが、回復への第一歩となります。

うつ病の原因

うつ病の発症には、単一の原因があるわけではなく、複数の要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。生物学的な要因としては、脳内の神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなど)のバランスの乱れや、遺伝的な体質、ホルモンの変化などが関与していることがあります。

心理的な要因としては、幼少期の経験、性格傾向(例えば、完璧主義、内向的、自己肯定感が低いなど)、ストレスへの対処能力、過去のトラウマなどが影響を与えることがあります。さらに、社会的要因も重要です。

仕事上の大きなストレス、失業、経済的な問題、人間関係のトラブル、大切な人との死別、慢性的なストレス環境などが引き金となることがあります。これらの要因が相互に作用し、うつ病を発症させるため、一人ひとりの状況に応じた理解と支援が求められます。

関連記事:うつ病とは?症状・原因・治療法を医学的に徹底解説

うつ病の人への接し方の基本

うつ病を抱える方と接する際には、相手への配慮と理解が何よりも大切です。意図せず相手を傷つけたり、追い詰めたりしないよう、基本的なコミュニケーションのあり方を知っておくことは、支える側にとっても、そして何よりご本人にとっても、安心できる関係性を築く上で非常に重要となります。

ここでは、うつ病の方と向き合う上での基本的な考え方と具体的な接し方をご紹介します。

話を聞き、共感する

うつ病の方は、心身ともに深い苦しみを抱えていることが多く、誰かに話を聞いてほしいと願っている場合があります。その際、最も大切なのは「傾聴」の姿勢です。相手の話を遮らず、最後までじっくりと耳を傾けましょう。

アドバイスをしたり、すぐに解決策を提示したりするのではなく、「うんうん」「そうなんだね」と相槌を打ちながら、相手が安心して自分の気持ちを表現できる場を作ることが重要です。言葉で共感を示す際は、「つらいね」「大変だったね」といった、相手の感情に寄り添う言葉を選びましょう。これにより、ご本人は「自分は一人ではない」「理解してもらえている」と感じ、安心感を得ることができます。

否定せず、受け止める

うつ病の方が訴える苦しみや辛さは、たとえ周囲から見れば些細なことのように思えたとしても、ご本人にとっては非常に深刻で現実的なものです。そのため、その感情や体験を「気のせいだ」「そんなことで悩むのはおかしい」と否定したり、軽視したりすることは絶対に避けなければなりません

まずは、ご本人が感じている苦痛や不安をそのまま受け止め、「そう感じているんだね」「それはつらいだろうね」と、その感情の存在を認めることが大切です。感情を否定されずに受け止められることで、ご本人は自己肯定感を保ちやすくなり、心を少しずつ開いてくれるようになります。

無理強いしない

うつ病の回復には時間がかかることが多く、その過程で気分の波や体力の低下を経験するのは自然なことです。回復を焦らせたり、「もっと元気を出して」「早く立ち直ってほしい」と無理に活動を促したりすることは、かえってご本人を追い詰めてしまう可能性があります。

大切なのは、ご本人のペースを尊重し、休息を促すことです。疲れている時には休むことの重要性を伝え、無理のない範囲でできることを一緒に探す姿勢を示しましょう。本人の意欲が湧いてくるのを待ち、焦らず、温かく見守ることが回復への一歩となります。

適切な距離感を保つ

うつ病の方を支える上で、過干渉になりすぎず、かといって突き放しすぎない、心地よい距離感を保つことが大切です。常にべったりと寄り添いすぎると、ご本人も、支える側も疲弊してしまうことがあります。逆に、距離を置きすぎると、孤立感を与えかねません。

相手の様子をよく観察し、必要としているサポートを、相手が受け入れやすい形で提供することを心がけましょう。例えば、連絡を頻繁に取りすぎない、かといって連絡が途絶えないようにするなど、相手の状況や性格に合わせて柔軟に対応することが求められます。また、支える側自身の心身の健康も大切にし、無理のない範囲で関わることが、長期的に良い関係を続ける秘訣です。

関連記事:うつ病は遺伝する?家族歴と発症リスクの関係を徹底解説

状況別!接し方のポイント

うつ病を抱える方へのサポートは、その方の置かれている状況や、あなたとの関係性によって、より効果的なアプローチが変わってきます。ここでは、家族、恋人、友人、職場の同僚といった、それぞれの立場に合わせた具体的な接し方について解説します。相手との関係性を大切にしながら、無理なく、かつ適切に寄り添うためのヒントを提供します。

家族への接し方

家族という最も身近な存在だからこそ、できるサポートと、逆に注意すべき点があります。日常生活の中での何気ない声かけが、本人の安心感につながることがあります。「何かできることはある?」と尋ねるだけでなく、具体的な行動として家事の分担を提案したり、本人のペースや意思を尊重しながら、できる範囲で一緒に過ごす時間を持つことが大切です。過度な干渉は避けつつ、温かく見守る姿勢が求められます。

恋人への接し方

パートナーとして、愛情をもって寄り添い、支えていくことは、うつ病からの回復において非常に重要な要素です。日頃からの愛情表現を忘れず、相手の辛さに共感する姿勢を示しましょう。無理に励ますのではなく、「辛いね」「そばにいるよ」といった言葉で寄り添うことが大切です。休息を十分に取れるよう促したり、気分転換になるような穏やかな活動を提案することも有効です。二人の関係性を維持するためにも、お互いの気持ちを伝え合うコミュニケーションを心がけましょう。

友人への接し方

友人としてできることと、できないことの線引きを理解しておくことは、健全な友情を保つ上で重要です。相手のプライベートを尊重し、無理のない範囲で連絡を取り合ったり、気分転換になるような穏やかな誘いをしてみましょう。ただし、相手が休息を必要としている場合は、無理強いせず、そっと見守ることも大切です。友人としてできる範囲でのサポートにとどめ、過度な期待や責任を負わないようにしましょう。

職場の同僚への接し方

職場でうつ病を抱える同僚がいる場合、配慮すべき点はいくつかあります。まず、プライバシーに配慮し、本人の同意なく病状について他言しないことが大前提です。同僚としてできるサポートとしては、業務の分担を一時的に調整したり、本人が業務に集中できるよう、周囲が配慮する姿勢を示すことが挙げられます。チーム全体で支える体制を整えることで、本人が安心して職場に居続けられる環境を作ることが大切です。

やってはいけないこと(NG行動)

うつ病の方と接する際には、良かれと思ってした言動が相手を傷つけたり、症状を悪化させたりする可能性があります。ここでは、うつ病の方に対して避けるべきNG行動を具体的に解説します。

「頑張って」「元気出して」などの励ましすぎ

うつ病で苦しんでいる方に対して、「頑張って」「元気を出して」といった言葉は、相手を追い詰める可能性があります。本人は精一杯やっても、それでもできない状況にあるため、さらなるプレッシャーや「自分はダメだ」という無力感を与えてしまうことがあります。本人の状態を否定せず、ただ寄り添う姿勢が大切です。

過去の成功体験や自慢話の押し付け

「私だって昔は辛かったけど乗り越えられた」「〇〇さんはもう元気になったよ」といった、自身の過去の経験談や他者の回復事例を安易に話すことは避けましょう。こうした話は、相手に「自分はそこまで回復できないのではないか」「自分だけがうまくいかない」といった劣等感や自己肯定感の低下を招くことがあります。一人ひとりの病状や回復のペースは異なるため、画一的なアドバイスは避けるべきです。

「気の持ちようだ」「根性がない」といった根性論

うつ病は、単なる気の持ちようや精神的な弱さの問題ではありません。脳の機能障害が関わる病気であり、意志の力だけで克服できるものではありません。「根性がない」「もっと強くならないと」といった根性論や精神論で片付けることは、病気への誤解を招き、本人の苦しみを否定することにつながります。病気であることを理解し、適切なサポートが必要です。

無責任なアドバイスや決めつけ

「〇〇を食べれば治る」「このストレスが原因だから、それをなくせばいい」といった、医学的根拠のないアドバイスや、一方的な決めつけは、相手を混乱させ、さらに追い詰める可能性があります。うつ病の診断や治療は専門家が行うべきであり、安易なアドバイスは慎重にすべきです。本人の話に耳を傾け、専門家の意見を尊重する姿勢が大切です。

専門家からのアドバイス

精神科医の専門的な知見に基づき、うつ病の方への適切な接し方や、支援する方が押さえておくべきポイントを解説します。本セクションでは、信頼できる情報を提供することで、読者の不安を軽減し、より深い理解を促進することを目指します。

専門家からのアドバイス

うつ病の方に寄り添うためには、まず「病気である」という認識を共有し、本人のつらさや苦しみを否定せず、共感的な姿勢で接することが重要です。無理に元気づけようとしたり、「頑張れ」と励ましたりすることは逆効果になる場合があります。話を聞く際は、相手のペースに合わせ、焦らず、急かさず、ただそばにいるだけでも支えになります。

支援する側が注意すべき点は多岐にわたります。まず、支援者自身の心身の健康維持が不可欠です。一人で抱え込まず、家族や友人、あるいは専門家(医師やカウンセラー)に相談することも大切です。また、うつ病に関する情報を鵜呑みにせず、信頼できる情報源から得るように心がけ、必要に応じて専門家の意見を仰ぎましょう。回復には個人差があり、波があることを理解し、根気強く見守る姿勢が求められます。焦らず、一歩ずつ、本人のペースに合わせたサポートを続けることが、回復への道のりを支える鍵となります。

うつ病に関する相談窓口

うつ病は、誰にでも起こりうる心の病気であり、適切なサポートを受けることで回復が期待できます。しかし、いざ助けを求めようと思っても、どこに相談すれば良いか分からず、一人で抱え込んでしまう方も少なくありません。

ここでは、うつ病に悩むご本人や、そのご家族、周囲の方々が安心して相談できる公的な窓口、専門機関、支援団体などを包括的にご紹介します。これらの情報が、一歩踏み出すための手助けとなれば幸いです。

うつ病に関する相談窓口

うつ病は、気分の落ち込み、意欲の低下、不眠、食欲不振など、様々な心身の症状が現れる病気です。早期に適切な支援を受けることが、回復への鍵となります。ここでは、安心して相談できる窓口をいくつかご紹介します。

まず、公的な相談窓口としては、精神保健福祉センターや保健所があります。これらは地域ごとに設置されており、専門家による相談や情報提供、必要に応じた医療機関の紹介などを行っています。また、いのちの電話やよりそいホットラインのような、全国規模で展開されている電話相談窓口も、匿名で気軽に利用できるため、初期の相談先として有用です。

さらに、うつ病の治療を専門とする精神科や心療内科のクリニック、病院も重要な相談先です。医師や臨床心理士などの専門職が、診断、治療計画の立案、カウンセリングなどを提供します。

加えて、近年では、うつ病やメンタルヘルスに関する啓発・支援活動を行うNPO法人や自助グループも増えています。同じ悩みを持つ仲間と繋がったり、専門家ではないけれども経験豊富な支援者からアドバイスを得たりすることで、孤立感を軽減し、前向きな気持ちを取り戻す助けとなることもあります。

これらの窓口では、秘密厳守で相談を受け付けています。どのような些細なことでも、まずは専門家や支援者に話してみることが、回復への第一歩となります。

まとめ:今日からできること

これまでのセクションでは、うつ病への理解を深め、大切な人への接し方や避けるべき行動、そして状況に応じた具体的な対応策について解説してきました。本セクションでは、それらを簡潔に振り返り、読者の皆様が今日から実践できる具体的なステップを提示します。これらの行動を通じて、うつ病を抱える大切な人をより良く支え、良好な関係を築き、共に回復へと向かうための一歩を踏み出しましょう。

大阪市、寝屋川市、守口市、
門真市、大東市、枚方市全域対象

“精神科に特化”した
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「くるみ」

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平日・土曜・祝日 9:00〜18:00 
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※訪問は20時まで
対応させていただいております。

 

この記事を監修した人

石森寛隆

株式会社 Make Care 代表取締役 CEO

石森 寛隆

Web プロデューサー / Web ディレクター / 起業家

ソフト・オン・デマンドでWeb事業責任者を務めた後、Web制作・アプリ開発会社を起業し10年経営。廃業・自己破産・生活保護を経験し、ザッパラス社長室で事業推進に携わる。その後、中野・濱𦚰とともに精神科訪問看護の事業に参画。2025年7月より株式会社Make CareのCEOとして訪問看護×テクノロジー×マーケティングの挑戦を続けている。

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