境界性パーソナリティ障害(BPD)の接し方とは?コミュニケーション方法や事例も含めて解説
精神科訪問看護とは「大切な人が、もしかしたら境界性パーソナリティ障害(BPD)かもしれない…」そう感じているあなたへ。相手の言動に困惑し、どう接したら良いのか分からず、一人で悩んでいませんか?
この記事では、BPDの基礎知識から、具体的な接し方、良好な関係を築くためのコミュニケーションのコツまで、丁寧に解説します。
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境界性パーソナリティ障害(BPD)とは?

相手の感情の波や、予測不能な言動に戸惑い、どのように接したら良いか悩むことはありませんか? BPDへの理解を深めることは、相手との関係性を築く上で、そしてご自身の心の安定のためにも非常に重要です。ここでは、BPDの基本的な定義、特徴、原因、そして診断について、分かりやすく解説していきます。
境界性パーソナリティ障害(BPD)の定義と特徴
境界性パーソナリティ障害(BPD)とは、感情、対人関係、自己像の不安定さが特徴的な精神疾患です。その不安定さは、しばしば激しい感情の起伏、見捨てられることへの強い恐怖、そして衝動的な行動として現れます。
例えば、相手から少しでも拒絶されたと感じると、激しい怒りや悲しみを感じ、関係を維持しようと必死になったり、逆に極端に相手を理想化したり、こき下ろしたりと、対人関係が不安定になることがあります。
また、「自分とは何者なのか」という自己像が定まらず、空虚感を抱えやすいのも特徴です。これらの症状は、ご本人だけでなく、周囲の人々にも大きな影響を与えることがあります。
境界性パーソナリティ障害(BPD)の原因:何が影響するのか?
BPDの原因は一つではなく、様々な要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。遺伝的な要因、例えば家族に精神疾患を持つ人がいる場合、発症リスクが高まる可能性が指摘されています。
また、脳機能の違い、特に感情のコントロールや衝動性に関わる脳の領域の機能不全も関与していると考えられています。さらに、幼少期の経験も大きく影響すると言われています。
例えば、親からの愛情不足、虐待、ネグレクト(育児放棄)、あるいは両親の不和など、不安定な家庭環境で育った経験が、後のBPDの発症につながることがあります。これらの経験が、感情の調節能力や対人関係の築き方に影響を与えていると考えられています。
境界性パーソナリティ障害(BPD)の診断と、専門家への相談
BPDの診断は、精神科医や臨床心理士といった専門家によって行われます。診断には、DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)などの診断基準が用いられ、本人の言動や訴え、そして必要に応じて周囲からの情報などを総合的に評価します。
BPDは、その症状からご本人も周囲も苦しむことが多いため、早期に専門家の支援を受けることが非常に重要です。精神科医やカウンセラーに相談することで、適切な診断に基づいた治療(精神療法など)を受けることができ、症状の改善や、より安定した対人関係を築くためのサポートを得ることができます。
もし、身近な人の言動にBPDの可能性を感じたら、一人で抱え込まず、専門機関への相談を検討することをお勧めします。
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境界性パーソナリティ障害(BPD)の人とのコミュニケーション方法
境界性パーソナリティ障害(BPD)を持つ方との関わりにおいて、コミュニケーションは非常に重要です。相手の言動に戸惑ったり、感情的な波に巻き込まれそうになったりすることもあるかもしれませんが、基本的な理解と適切なアプローチを知ることで、より建設的な関係を築くことが可能です。
コミュニケーションの基本:理解と共感を示す
BPDの特性として、見捨てられ不安が強く、感情の起伏が激しい傾向があります。これらの特性を理解した上で、相手の感情や経験に寄り添い、共感を示すことが、信頼関係を築く上での第一歩となります。
たとえ相手の言動に同意できなくても、「つらい気持ちなんだね」「そう感じているんだね」といった言葉で、相手の感情を受け止める姿勢を見せることが大切です。否定したり、すぐにアドバイスをしようとしたりするのではなく、まずは相手が「理解してもらえている」と感じられるように努めましょう。これにより、相手は安心感を覚え、心を開きやすくなります。
感情的な反応への対処法:冷静さを保つ
BPDの人は、強い怒り、悲しみ、不安などを表に出すことがあります。そのような時、こちらも感情的になってしまうと、状況はさらに悪化しかねません。まず大切なのは、相手の感情に飲まれず、自分自身の冷静さを保つことです。
相手の話を遮らずに最後まで聞く「傾聴」の姿勢を心がけ、相手を非難するような言葉(「なんでそんなに怒るの?」「あなたはいつもそうだ」など)は避けましょう。もし、相手の感情が非常に高ぶっていて、対話が難しいと感じる場合は、「少し頭を冷やそうか」「落ち着いたらまた話そう」と提案し、一時的に距離を置くことも有効です。自分自身もクールダウンする時間を持つことで、冷静な判断ができるようになります。
具体的な言葉がけの例:安心感を与えるには?
BPDの人は、見捨てられることへの強い不安を抱えていることが多いため、日頃から安心感を与えられるような言葉がけを意識することが大切です。「いつでもあなたの味方だよ」「何かあったらいつでも相談してね」「あなたのことを大切に思っているよ」といった、変わらない関係性やサポートを伝える言葉は、相手の不安を和らげる助けとなります。
また、相手の良い点や努力を具体的に認め、褒めることも効果的です。「〇〇なところがすごいね」「頑張っているね」など、具体的な行動や特性に触れることで、相手は自己肯定感を得やすくなります。もちろん、約束を守る、連絡をこまめにするなど、日々の行動で信頼を積み重ねていくことも、安心感を与える上で不可欠です。
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境界線を引く:自分自身を守り、良好な関係を続けるために
BPDの家族との関係は深い絆を感じる一方で、感情の波に巻き込まれ、疲弊してしまうことがあります。長期的に関係を続けるためには、自分の心身を守る「境界線」を持ち、適度な距離感を保つことが欠かせません。
境界線が必要な理由
BPDの特性により、相手が強く依存したり、あなたの時間や感情を求めすぎることがあります。境界線を持つことで「自分と相手は別の存在」と認識し、自分の感情やエネルギーを守ることができます。これは相手にとっても関係の予測可能性を高め、安心感につながります。境界線があることで、無理のない健全な関係が保てるようになります。
過干渉を防ぐための適切な距離感の保ち方
境界線を設定したら、実際の行動に落とし込むことが大切です。すべての連絡や要求にすぐ応える必要はなく、「後で返信するね」と伝えれば、自分の時間を確保しつつ相手を不安にさせにくくなります。感情に共感しつつも、その感情すべてを背負わない姿勢を意識しましょう。また、自己開示も必要以上に行わず、自分が心地よく感じる範囲にとどめます。これは相手を拒絶するためではなく、双方が無理なく関われるための工夫です。
助けを求めることの大切佐
境界線を引くことはときに難しく、一人で抱えると限界が来ることがあります。罪悪感や相手の反応に疲れたときは、信頼できる友人や家族に話を聞いてもらうだけでも心が軽くなります。さらに専門家に相談すれば、状況に合った具体的なアドバイスが得られます。サポートを求めることは弱さではなく、関係と自分自身を守るための大切な選択です。必要な支援を利用することで、より安定した関係づくりが可能になります。
BPDの人への接し方:やってはいけないこと、すべきこと

BPDの人との関わりでは、良かれと思った行動が逆効果になることがあります。ここでは、避けるべき言動と、関係を安定させるための効果的な接し方を簡潔にまとめます。
避けるべき言動:関係を悪化させる可能性のあること
BPDの特性を理解せずに接していると、無意識のうちに相手を深く傷つけてしまうことがあります。以下のような言動は、相手に見捨てられたという感覚を強めたり、感情的な混乱を招いたりする可能性があるため、注意が必要です。
- 感情の否定や軽視: 「そんなことで怒らないで」「大げさだよ」といった言葉は、相手の感情を否定し、孤立感を深める可能性があります。
- 一方的な批判や非難: 問題行動を指摘する際も、人格を否定するような言葉遣いは避け、具体的な行動に焦点を当てて伝えましょう。
- 脅迫や見捨てるといった言葉: 「もう関わらない」「出て行って」といった言葉は、BPDの人が最も恐れる「見捨てられ不安」を増幅させ、パニックを引き起こす可能性があります。
- 過度な干渉や管理: 相手の行動を細かく管理しようとすると、自由を奪われたと感じさせ、反発を招くことがあります。
- 約束を破る、一貫性のない対応: 信頼関係の基盤となる一貫性が失われると、相手は不安定になり、疑心暗鬼になりやすくなります。
- 感情的な揺さぶりへの同調: 相手の激しい感情に引きずられ、こちらも感情的に反応してしまうと、状況がエスカレートしやすくなります。
これらの言動は、相手の苦しみを理解しようとせず、表面的な問題行動のみに焦点を当ててしまうことで、起こりがちです。相手の感情や行動の背景にある苦痛に目を向けることが、建設的な関わりの第一歩となります。
効果的な対応:良好な関係を築くために
BPDの特性を理解し、適切な対応を心がけることで、相手との信頼関係を築き、より安定した関係を維持することが可能です。以下に、効果的な対応をいくつかご紹介します。
- 肯定的なフィードバック: 相手の良い点や努力を具体的に認め、伝えることで、自己肯定感を高め、安心感を与えることができます。「〇〇してくれてありがとう」「〇〇なところが素晴らしいね」といった言葉を意識的に使いましょう。
- 一貫性のある対応: 感情の波が大きい相手だからこそ、あなたが安定した態度で接することが、相手に安心感を与えます。一度決めたルールや約束は、できる限り守るようにしましょう。
- 感情の共有と共感: 相手の感情を頭ごなしに否定せず、「そう感じているんだね」「辛かったね」と、まずは感情を受け止める姿勢を示しましょう。ただし、感情に完全に同調するのではなく、あくまで「共感」に留めることが大切です。
- 期待値の調整: BPDの特性を理解し、相手に過度な期待をしないことも重要です。現実的な期待値を設定することで、自身が失望するリスクを減らし、相手へのプレッシャーも軽減できます。
- 冷静なコミュニケーション: 相手が感情的になっている時こそ、冷静さを保ち、落ち着いたトーンで話すことが重要です。感情的な言葉の応酬は避け、事実に基づいて穏やかに伝えましょう。
- 境界線の明確化: 自分の限界を伝え、無理のない範囲で関わることも大切です。後述する「境界線を引く」ことと合わせて実践しましょう。
これらの対応は、相手をコントロールするためではなく、お互いが尊重し合える関係を築くために有効です。
事例紹介:状況別の対応例
ここでは、BPDの方との関わりでよくある具体的な状況と、それに対する実践的な対応例をいくつかご紹介します。
状況1:突然の激しい怒り
相手: 「どうして私の気持ちを分かってくれないんだ!もう顔も見たくない!」
NGな対応: 「また始まった」「そんなことで怒るなよ」と感情的に言い返す。
効果的な対応: まずは冷静さを保ち、相手の感情を受け止める言葉を伝えます。
あなた: 「そうか、すごく怒っているんだね。私の言動で、君を傷つけてしまったんだね。具体的に何がそんなに辛かったか、教えてくれる?」(相手が落ち着いたら、具体的な問題点について話し合う)
状況2:見捨てられ不安からの過度な連絡
相手: (短時間に何度も電話やメッセージ)「今どこ?誰といるの?早く返信して!」
NGな対応: 全ての連絡を無視する、または感情的に怒って応じる。
効果的な対応: 事前に決めたルールに沿って、冷静に対応します。
あなた: (事前に「夜〇時以降の連絡は緊急時以外は控える」などのルールを決めている場合)「今、〇〇(ルールで決められた時間)だから、後で連絡するね。心配かけてごめんね。」(もしルールがない場合は、丁寧に境界線を伝える)
あなた: 「心配してくれているのは分かるよ。でも、何度も連絡が来ると、私も対応するのが難しくなってしまうんだ。お互いが気持ちよく過ごせるように、連絡の頻度について、一度相談しない?」
状況3:感情的な訴えや、自己破壊的な言動の兆候
相手: 「もう生きていても仕方がない」「私なんていない方がいい」
NGな対応: 冗談だと思って聞き流す、または過剰に反応してパニックになる。
効果的な対応: 相手の言葉を真摯に受け止め、安全を確保し、専門家の助けを求めます。
あなた: 「そんな風に感じているんだね。それはとても辛いことだと思う。今、君の安全が一番大切だから、すぐに専門家(精神科医や相談窓口)に連絡しよう。私はそばにいるから、安心して。」(※このような発言があった場合は、ためらわずに専門家や緊急連絡先に相談することが最優先です。)
これらの事例はあくまで一例ですが、大切なのは、相手の言動の背景にある苦痛を理解しようと努め、冷静さを保ちながら、自分自身の心も守る接し方を心がけることです。
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専門家への相談とサポート:より良い関係のために

BPDの家族との関係に悩んだとき、専門家のサポートを受けることは心の負担を軽くし、より健全な関係づくりに役立ちます。精神科医やカウンセラーへの相談方法、準備、利用できる支援窓口について簡潔に解説します。無理に一人で抱えず、適切なサポートを頼ることが大切です。
専門家を探す
BPDへの支援を行える専門家には精神科医、臨床心理士、公認心理師などがいます。精神科医は医学的治療、心理士はカウンセリングを中心に対応します。「境界性パーソナリティ障害 専門医+地域名」などで検索したり、医療機関や支援団体から紹介を受ける方法があります。BPDに詳しく、共感的に話を聞いてくれる専門家を選ぶことが重要です。
相談の準備をする
相談を有意義にするために、困っている具体的な行動、あなたの気持ち、改善したい点を事前に整理しておきましょう。「突然怒りをぶつけられる」「連絡が過度に多い」などのエピソードをまとめ、質問リストを作成しておくと相談がスムーズになります。
相談窓口の紹介をしてもらう
精神保健福祉センターや保健所では、専門職が電話や面談で相談に応じ、適切な機関を紹介してくれます。BPD当事者や家族の自助グループでは、経験の共有や支え合いができ、具体的な助言を得られることもあります。地域名と合わせて検索すると、利用できる窓口を見つけやすくなります。
セルフケア:自分自身を大切にする
ここまで、境界性パーソナリティ障害(BPD)の基礎知識から、具体的なコミュニケーション方法、境界線の引き方、そして専門家への相談方法までを解説してきました。しかし、BPDを持つ方と関わる中で、ご自身の心身に負担を感じることもあるでしょう。
このセクションでは、あなた自身が健やかで、持続的に良好な関係を築いていくために不可欠な「セルフケア」に焦点を当てます。
心身の健康を保つためにストレス管理をする
BPDの方との関わりは大きなストレスにつながることがあります。自分の心身を守るためには、日常的なストレス管理が欠かせません。深呼吸や瞑想などのリラクゼーション、マインドフルネス、趣味の時間、軽い運動、質の良い睡眠は、いずれも心の負担を和らげる効果があります。無理なく続けられる方法を選び、日常に取り入れることが大切です。
頼れる人を見つける
BPDの方との関わりは、時に孤独や孤立感を感じさせることがあります。一人で抱え込まず、信頼できる人に話を聞いてもらうだけでも、気持ちが楽になることがあります。精神的な支えとなる友人、家族、あるいは同じような経験を持つ自助グループなど、あなたを理解し、サポートしてくれるネットワークを築くことは、ご自身の心の健康を守る上で非常に重要です。
一人で抱え込まず、周りの人に頼ることを恐れないでください。サポートシステムは、あなたが困難な状況を乗り越えるための大きな力となります。
まとめ:あなたと大切な人のために
この記事では、境界性パーソナリティ障害(BPD)の基礎知識から、コミュニケーションのポイント、境界線の引き方、そして専門家への相談方法までを網羅的に解説してきました。BPDを持つ方への理解を深め、適切な関わり方を学ぶことは、あなたと大切な人の双方にとって、より健やかで安定した関係を築くための第一歩です。
しかし、最も大切なのは、あなた自身の心と体の健康です。今回ご紹介したセルフケアの方法を実践し、ご自身を大切にしてください。適切な距離感を保ちながら、相手への理解を深める努力を続けることで、お互いを尊重し合える、より良い関係を築いていくことができるはずです。この知識が、あなたと大切な人の未来にとって、温かい光となりますよう願っています。
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