【専門医監修】もしかして過眠症?セルフチェックと原因・症状・治療法を解説
精神科訪問看護とは
日中に強い眠気を感じたり、集中力が続かない状態が続いている場合、単なる睡眠不足ではなく「過眠症」が関係している可能性があります。過眠症は、十分な睡眠時間を確保していても強い眠気に襲われる睡眠障害の一つで、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。
本記事では、専門医監修のもと、過眠症のセルフチェック方法をはじめ、主な原因や症状、適切な治療法・対策についてわかりやすく解説します。自身の状態を正しく理解し、快適な毎日を取り戻すための参考にしてください。
過眠症のセルフチェック

過眠症は、自覚しにくいまま日常に影響を及ぼしているケースも珍しくありません。慢性的な眠気や集中力の低下が続いていても、「体質」や「疲れのせい」と見過ごされがちです。
ここでは、現在の状態を客観的に振り返るために、過眠症の可能性を確認できるセルフチェック項目をまとめました。思い当たる点がないか、一つひとつ確認してみましょう。
【過眠症セルフチェックリスト】
- 十分な睡眠時間をとっているにもかかわらず、日中に強い眠気を感じることが週に3回以上ある。
- 眠気が原因で、仕事や勉強、家事などに集中できない、またはパフォーマンスが低下している。
- 会議中や食事中、運転中など、本来起きていなければならない状況でうとうとしてしまう、または居眠りをしてしまうことがある。
- 朝、目覚まし時計を何度も止めてしまう、またはなかなか起き上がれない。
- 起床後も頭がすっきりせず、ぼーっとした状態が続く。
- 昼寝をしても、一時的に眠気が解消されるだけで、すぐにまた眠くなる。
- 夜間の睡眠中に、金縛りや悪夢を見ることがある。
- 日中の眠気のために、友人との約束をキャンセルしたり、趣味活動を諦めたりすることがある。
- 急に手足の力が抜けてしまう(情動脱力発作)を経験したことがある。(特にナルコレプシーの可能性)
- 上記のような症状が3ヶ月以上続いている。
セルフチェックの結果の解釈
上記のセルフチェックは、あくまで過眠症の可能性を探るための目安です。いくつか当てはまる項目があった場合、過眠症の疑いがあるかもしれません。
特に、日中の強い眠気が日常生活に支障をきたしている場合や、情動脱力発作(感情が高ぶった際に体の力が抜ける症状)を経験したことがある場合は、速やかに医療機関を受診することをお勧めします。自己判断で済ませず、専門医の診断を受けることが、適切な治療への第一歩です。
専門医は、問診や検査を通じて、あなたの症状が過眠症によるものなのか、あるいは他の睡眠障害や身体疾患によるものなのかを正確に判断してくれます。
セルフチェックで見えてくる過眠症の原因
過眠症による日中の強い眠気は、一時的な睡眠不足だけでなく、複数の要因が関係して起こります。セルフチェックで気になる症状が見られた場合、その背景には大きく分けて「脳の機能」「生活習慣」「他の病気」の3つが考えられます。
脳の機能に関わる原因として代表的なのが、ナルコレプシーや特発性過眠症などの中枢性過眠症です。これらの疾患では、覚醒に関わる神経伝達物質の働きがうまく機能せず、日中に強い眠気が現れることがあります。
また、不規則な睡眠時間や交代勤務、睡眠環境の乱れ、ストレスなどの生活習慣も眠気を悪化させる要因です。さらに、睡眠時無呼吸症候群やうつ病、内分泌疾患、服用中の薬の影響などが関与するケースもあります。原因は人によって異なるため、正確な診断には専門医への相談が欠かせません。
セルフチェック後の過眠症の専門的な診断
セルフチェックで過眠症の可能性を感じた場合は、専門医による正確な診断を受けることが大切です。過眠症は他の睡眠障害や病気と症状が似ているため、自己判断だけで済ませるのは避けましょう。
診断はまず、眠気の出方や生活への影響、睡眠習慣、服用中の薬などを確認する詳細な問診から行われます。そのうえで、必要に応じて睡眠ポリグラフ検査(PSG)や反復睡眠潜時検査(MSLT)などの検査を実施し、睡眠の質や日中の眠気を客観的に評価する流れです。
これらの結果を踏まえて総合的に判断し、過眠症の有無や種類を見極めたうえで、適切な治療方針が検討されます。専門医の診断は、つらい眠気の改善に向けた大切な第一歩です。
セルフチェック・診断後に行う過眠症の治療法
過眠症の診断を受けた場合、またはセルフチェックで過眠症の可能性が考えられる場合には、日中の過度な眠気を改善するための治療法を検討する必要があります。具体的な治療法は、自身の症状やライフスタイルを踏まえたうえで、専門医と相談しながら検討しましょう。適切な治療を行うことで、日常生活への支障が軽減されることが期待されます。
主な治療法には、薬物療法、生活習慣の改善、その他の補完的なアプローチがあります。それぞれの特徴は以下のとおりです。
薬物療法
過眠症による日中の眠気に対しては、症状を緩和するための薬物療法が効果的です。一般的には、覚醒を促す薬や、夜間の睡眠の質を高める薬などが用いられます。
例えば、中枢神経刺激薬やモダフィニル、ピトリンサントなどが代表的な薬です。これらの薬剤は、脳内の神経伝達物質に作用し、覚醒状態を維持したり、睡眠と覚醒のリズムを整えたりする効果が期待されます。
ただし、薬の種類や用量は、患者さんの症状、体質、他の疾患の有無などを考慮して専門医が慎重に決定します。副作用や服用上の注意点についても、医師や薬剤師から十分に説明を受けましょう。
生活習慣の改善
過眠症の治療では、薬物療法に加えて生活習慣の見直しも重要な要素です。日中の眠気を軽減し、夜間の睡眠の質を高めるため、日常生活の中でいくつかの点に意識を向けましょう。
まず、規則正しい睡眠リズムを整え、毎日できるだけ同じ時間に就寝・起床する習慣を心がける必要があります。あわせて、寝室を暗く静かな環境に保ち、快適な温度を維持するなど、睡眠環境の整備も欠かせません。
また、カフェインやアルコールは一時的に覚醒感を得られる場合がありますが、睡眠の質を低下させる可能性があるため、特に就寝前の摂取は控えることが望まれます。適度な運動は睡眠の質の向上に役立ちますが、就寝直前の激しい運動は避けたほうがよいでしょう。
その他の治療法
薬物療法や生活習慣の改善に加え、過眠症の治療には補完的なアプローチも検討されます。
例えば、認知行動療法(CBT)は、睡眠に関する誤った考え方や行動パターンを修正し、より健康的な睡眠習慣を身につけるうえで役立つ手段です。特に、睡眠の質に関する不安やストレスが大きい場合に効果を発揮します。
また、ナルコレプシーのような特定の過眠症においては、昼寝のスケジューリングなど、症状に合わせた具体的な行動療法が指導されることもあります。これらの治療法は、薬物療法や生活習慣の改善と組み合わせて実施されるケースが一般的です。
過眠症と向き合うために日常生活で気をつけること

過眠症の治療を受けている方はもちろん、まだ診断を受けていない場合でも、日常生活での工夫は症状をコントロールするうえで欠かせません。日中の眠気を軽減するためには、規則正しい睡眠習慣を整え、毎日同じ時間に就寝・起床することが基本です。週末の寝だめは体内時計を乱す可能性があるため、注意する必要があります。
また、寝室を暗く静かな環境に整え、就寝前のスマートフォン使用や夕方以降のカフェイン・アルコール摂取は控えましょう。日中は適度な運動を取り入れつつ、眠気が強い場合は20分程度の短い昼寝が役立つ場合もあります。これらの工夫で改善が見られない場合は、早い段階で専門医に相談しましょう。
適切な支援につながる専門家への相談
日中の強い眠気や過眠症の症状が続くと「病気なのか判断できない」「どの診療科を受診すべきかわからない」と不安を感じる方も少なくありません。こうした悩みを一人で抱え込まず、専門家へ相談する姿勢が大切です。
過眠症は、適切な診断と治療によって症状の改善が期待できる病気であり、早い段階で専門的な支援を受けることで、日常生活への影響を軽減できる可能性があります。睡眠専門医や精神科医は、過眠症に関する知識と経験をもとに症状を丁寧に評価し、一人ひとりに合った治療方針を提案します。
専門家への相談は、不安の整理や適切な支援につながる第一歩です。症状が続く場合は、早めの医療機関受診を検討しましょう。
まとめ:過眠症と向き合い、快適な毎日へ
日中の強い眠気は、疲れや睡眠不足として見過ごされがちですが、背景に過眠症という病気が関係している場合もあります。本記事を通じて、過眠症の症状や原因、セルフチェックの意義について理解が深まったのではないでしょうか。
セルフチェックは、自身の状態を客観的に見つめ直すための第一歩です。該当する項目が多く、日常生活に支障を感じている場合は、一人で抱え込まず専門医への相談を検討しましょう。正確な診断によって、症状に合った治療や生活習慣の改善策が見えてきます。
過眠症は、適切な治療と日々の工夫によって、症状の軽減が期待できる病気です。正しい知識とサポートを得ながら、無理のない形で向き合うことが、快適な毎日につながります。
過眠症は、決して珍しい病気ではありません。正しい知識と適切なサポートを得ることで、症状を乗り越え、より充実した生活を送ることができます。この記事が、あなたの睡眠の悩みを解決し、前向きな一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。