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【社長エッセイ】Vol.71 「困っていることは?」と聞かれることが、いちばん困るという話

くるみの社長エッセイ精神科訪問看護とは誠子さんシリーズ

大阪市全域を訪問区域とする『訪問看護ステーションくるみ』の代表、中野誠子が綴る『社長エッセイ』第71弾!

 

1月がびっくりするほど早く終わりました。
2月といえば、梅の季節ですね。

初めて大阪城公園の梅林を訪れたとき、
その美しさに思わず息をのみました。

年齢を重ねたからこそ分かる美しさや
楽しみ方があるのだと感じます。

今年も見に行けたらいいな、と思っています。

 

大阪市、寝屋川市、守口市、
門真市、大東市、枚方市全域対象

“精神科に特化”した
訪問看護ステーション
「くるみ」

06-6105-1756 06-6105-1756

平日・土曜・祝日 9:00〜18:00 
【日曜・お盆・年末年始休み】

※訪問は20時まで
対応させていただいております。

 

◆「今、困っていることは何ですか?」という問い

看護師の皆さん、利用者さんや患者さんに
「今、困っていることは何ですか?」と尋ねることはありませんか?

支援の入り口として、とても自然で大切な質問です。

けれど実は、
この質問にいちばん困ってしまう人がいます。

それは、精神に障害を抱える方々です。

「なぜ?」と思われるかもしれません。
困っていないからではありません。

むしろ逆です。

困っていることが多すぎて、うまく言葉にできない状態なのです。

 

◆頭の中で起きていること

「困っていることはありませんか?」と聞かれたとき、
利用者さんの頭の中では、
こんなことが同時に起きています。

考えがまとまらない

何をどうすればいいのかわからない

物事を悪い方向にしか考えられない

決断がとても重たい

「迷惑をかけている」という思いが強い

どうせ言っても分かってもらえないのではないか、という不安

こうした思考が、ぐるぐると巡っています。
気持ちの面でも、

理由のない不安や緊張

「自分はダメだ」という思い

何もしていないのに疲れている

そんな自分が嫌になる

誰にも会いたくない、でも一人もつらい

そんな矛盾の中にいます。

 

◆「やりたくても、やれない」

どうしたらいいのかわからなくなり、
時には自暴自棄になることもあります。

そして、それは行動にも表れます。

連絡を返せない

約束を守りたくないわけではないのに守れない

家事や身だしなみにまで気が向かない

考えすぎて眠れない

食べられない、あるいは食べすぎてしまう

これは、やる気がないからではありません。
脳がうまく働かない状態なのです。

「やりたくてもやれない」
常に自分の中の劣等感と闘っている状態だと、私は感じています。

 

◆本人がいちばん困っていること

そして、本人がいちばん困っていること。

それは、
「どう説明したら分かってもらえるのか分からない」
ということです。

だから、「どうしたらいい?」と聞かれても答えられない。

「頑張って」と言われると
「私はまだ頑張れていないんだ」とさらに自分を追い込んでしまう。

誰よりも「普通に戻りたい」と思っているのに、
戻り方がわからないのです。

 

◆私たちが大切にしていること

私たち精神科訪問看護は、まさにこの部分に関わっています。

困りごとを一緒に言葉にしていく。
そのために、こんなことを大切にしています。

安心できる環境をつくること

伝えてもらうことを急がないこと

内容を具体的にしていくこと

選択肢を減らすこと

無理に判断をさせないこと

できていないことより、今できていることを見ること

返事を急がせないこと

大切なのは
その人の「今の状態」を理解しようとする姿勢です。

精神状態が良くない人は
サボっているわけでも、
甘えているわけでもありません。

本当は、誰よりも「普通に生きたい」と願っています。

 

もしあなたが、
「答えられない沈黙にも意味がある」と思える人なら。
「困っていると言えない人」に寄り添いたいと思える人なら。

きっと、私たちと同じ志を持っているのだと思います。

「困っていることは?」と聞かれて困ってしまう人がいる。
その事実を知り、関わり方を工夫しようとする看護師でありたい。
そんな仲間と、一緒に働けたらうれしいです。

さて、次は何を書こうかな。

この記事を書いた人

中野誠子

株式会社Make Care 代表取締役社長

中野 誠子

看護師 / (元)重症心身障害児者認定看護師

精神科病棟勤務・看護学校教員として経験を積み、「こころに寄り添う看護」を志す。石森・濱𦚰とともに株式会社Make Careを創業。現在は訪問看護ステーションくるみの代表として現場に立ちつつ、メディアにも積極的に登場し、地域精神医療の啓蒙とアップデートに挑む。

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