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【CEOコラム】Vol.076 運営規程を「全面改定」した。令和8年度診療報酬改定で、くるみが変えた21条の中身と、その理由。

HEROさんシリーズくるみの社長エッセイ

 

こんにちは。株式会社Make Careの代表取締役CEOであり、訪問看護ステーションくるみでマーケティングを担当している石森寛隆です。XではHEROと名乗っていますので、もしよろしければフォローください。

前回のコラム(Vol.075)では、令和8年度診療報酬改定が訪問看護業界に突きつけている「淘汰の構造」について書きました。

💁【CEOコラム】Vol.075 令和8年度診療報酬改定に見る「訪問看護の淘汰」と、僕たちが『機能強化型1』を目指す理由

今回は、その改定を受けてくるみが具体的に何を変えたのかを書きます。

テーマは「運営規程」です。

大阪市、寝屋川市、守口市、
門真市、大東市、枚方市全域対象

“精神科に特化”した
訪問看護ステーション
「くるみ」

06-6105-1756 06-6105-1756

平日・土曜・祝日 9:00〜18:00 
【日曜・お盆・年末年始休み】

※訪問は20時まで
対応させていただいております。

運営規程の改定は、経営者の覚悟の表明である

運営規程。

正直、利用者さんやご家族にとっては馴染みのない書類だと思います。

ステーションの営業日、サービス内容、職員体制、緊急時の対応方法。 そういったことが条文形式で書かれた、いわば事業所の「憲法」です。

今回、くるみはこの運営規程を全面的に改定しました。

部分修正ではありません。

条番号の順序を再編し、新しい条文を5本追加し、既存条文も大幅に書き換えました。

なぜそこまでやったのか。

理由はシンプルです。

令和8年度の診療報酬改定が、運営規程の「継ぎはぎ対応」を許さない内容だったからです。

何が変わったのか
具体的に、主要な変更点を整理します。

1. 条文構成の全面再編

現行の運営規程は、令和4年10月の開設時に作成したものをベースに、令和5年6月に一部改定していました。

今回、条番号の並び順を厚生省令第80号の標準的な構成に合わせて再編しました。

第2条に「事業所の名称等」を配置し、以降の条番号を通しで整理しています。

地味に見える変更ですが、行政の実地指導や監査を受ける際に、規程の構造が標準と大きくズレていると、それだけで指摘事項になり得ます。

制度に向き合うなら、こういう「地味な整理」から逃げてはいけません。

2. 「治療効果は保証しない」を明記した(第3条)

運営方針に、以下の一文を追加しました。

「指定訪問看護は、主治医の指示に基づき、医学的知見に照らして合理的と認められる範囲で実施するものであり、特定の治療効果又は症状の改善を保証するものではない。」

これは、利用者さんへの説明責任と期待値の調整です。

精神科訪問看護の現場では、「訪問看護を受ければ治る」という誤解が生じることがあります。

僕たちは全力で支援しますが、医療である以上、効果を約束することはできません。

それを正直に規程に書くこと。

これは利用者さんとの信頼関係を、むしろ強くするものだと僕は考えています。

3. 事業の運営を4項構成に強化した(第5条)

現行は「第三者委託をしない」という1項だけでした。

改定後は4項構成に拡充し、以下を明記しています。

妥当適切・漫然不可:主治医の指示と計画に基づき、画一的にならない提供を行う
直接雇用の責任:PSWや事務職員による複数人訪問も含め、事業所が雇用する職員の責任のもとで実施する
希望に沿えない場合がある:医学的合理性・安全性の観点から、利用者の意向に沿えない場合はその旨を説明する
柔軟な調整:訪問時間・頻度・内容を利用者の状態に応じて調整する
これは令和8年度改定の核心です。

「漫然かつ画一的なものとならないよう」という文言は、厚生省令の運営基準(第14条第1項)にそのまま書かれています。

つまり国は、「ただ訪問しているだけ」のステーションを排除するという意思を明確にしたのです。

4. 不適切な誘引・誘導の禁止を新設した(第6条)

これは完全に新設です。

物品提供や利用料値引き等の経済的利益による誘引の禁止
特定の医師・介護サービス事業者への誘導の対償としての利益収受の禁止
根拠は、運営基準の第5条の4・第5条の5(新設)です。

訪問看護の世界でも、紹介料のやり取りや値引きによる囲い込みが問題視されてきました。

今回の改定で、それが明確に「基準違反」として規定されました。

くるみはこれまでもそうした行為とは無縁ですが、規程に明記すること自体が、組織としての姿勢の表明です。

5. カスタマーハラスメント対応を新設した(第7条)

これも完全に新設です。

暴言・暴力・威圧的言動・過度な要求・セクハラ等への対応
必要に応じたサービスの制限・中止・契約解除
警察その他関係機関との連携
別途定める指針に基づく対応
看護師を守る。

これは経営者として当たり前の責任です。

精神科訪問看護の現場では、利用者さんの疾患特性上、対応が難しい場面があるのは事実です。

しかし、疾患だからといって暴力やハラスメントが許されるわけではありません。

スタッフが安心して働ける環境を制度として整えること。

それが結果的に、利用者さんへのケアの質を上げることにもつながります。

6. 利用者の協力義務を新設した(第11条)

利用者さんやご家族に対して、サービス提供に必要な情報を正確に提供し、事業者の指示に従う義務を明記しました。

これに反したことにより生じた不利益については、事業者は責任を負わない旨も記載しています。

厳しく聞こえるかもしれません。

でも、これは「一方的にサービスを提供する関係」ではなく、「一緒に取り組む関係」を作るための条文です。

7. 心身の状況等の把握義務を新設した(第12条)

服薬状況(残薬含む)、病歴、環境、他サービスの利用状況等を確実に把握する義務を明記しました。

これは改定の個別改定項目で、主治医や薬局との情報共有が強化された流れに対応するものです。

8. 営業日・営業時間を変更した(第9条)

ここは利用者さんにも直接関わる部分です。

現行 改定後
営業日 月曜〜土曜 月曜〜金曜(事務所稼働日)
休日・祝日 祝日・12/30〜1/3 祝日・12/29〜1/3
営業時間 9:00〜20:00 9:00〜18:00(事務所対応時間)
サービス提供日 営業日と同じ 原則、月曜〜土曜
サービス提供時間 9:00〜20:00 8:00〜20:00
365日24時間対応 記載なし 計画上必要な場合、対応

一見すると「営業時間が短くなった」ように見えますが、実態は逆です。

サービス提供時間は朝8時まで前倒しになり、365日対応を明記しています。

つまり、営業(事務・管理業務)と訪問(サービス提供)を分離したということです。

これは看護職員の負担軽減と実態に即した勤務体制を両立させるための変更です。

9. 従業者の職種を拡充した(第8条)

現行は管理者と看護職員のみでしたが、以下を「適宜配置」として追加しました。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士
精神保健福祉士
事務職員
これは機能強化型の取得に向けた多職種体制の整備であり、くるみが目指す「地域を面で支えるステーション」の土台になるものです。

10. 緊急時対応を強化した(第16条)

事故発生時の連絡先に、全国健康保険協会・後期高齢者医療広域連合・健康保険組合を追加しました。

また、以下を新たに明記しています。

安全管理体制の確保(文書化・原因分析・再発防止体制の整備)
賠償は事業者に過失が認められる場合に限る
後者は一見すると事業者に有利な条文に見えますが、逆です。

「過失がなければ賠償しない」とは、「過失があれば速やかに賠償する」という意味です。

曖昧な表現をやめて、責任の所在を明確にすること。 それが利用者さんとの信頼関係を守ることにつながると考えています。

11. 看護職員の負担軽減を新設した(第20条)

勤務状況の把握
負担軽減・処遇改善に資する計画の策定
職員への周知義務
これはベースアップ評価料の施設基準にも関わる重要な条文です。

令和8年度改定では、訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)が780円→1,050円(継続賃上げ事業所は1,830円)に引き上げられました。

この評価料を算定するためには、計画的な処遇改善の体制が求められます。

制度を活用して看護師の給与を上げる。

当たり前のことですが、運営規程に書いて初めて、組織としてのコミットメントになります。

12. 記録整備を具体化した(第21条)

保存対象を以下のように具体的に列挙しました。

訪問看護記録書(開始・終了時刻を含む)
訪問看護指示書
訪問看護計画書
訪問看護報告書
情報提供書
連絡調整記録
保存期間も「提供日から5年間」→「完結の日から5年間」に変更。

開始・終了時刻の正確な記載は、今回の改定で特に厳格化されたポイントです。

なぜ、ここまで全面的にやるのか

ここまで読んで、

「運営規程にそこまで力を入れる意味があるのか」

と思った方もいるかもしれません。

僕の答えは明確です。

運営規程の質は、そのステーションの経営の質そのものと考えています。

形だけの規程を置いて、実態と乖離した運営をしている事業所は、遅かれ早かれ行政の指導対象になります。

逆に、規程を実態に合わせて丁寧に整備し、スタッフ全員に周知し、日々の運営に反映させている事業所は、制度がどう変わっても揺るがない。

くるみが目指しているのは、後者です。

【附則】
この変更規程は、令和8年4月1日から施行します。

一部の算定関連規定は、令和8年6月1日の診療報酬改定施行日を待って、さらにアップデートを予定しています。

運営規程の全文は、以下からダウンロード出来るようにしておきます。
サイトからも確認可能です。)

訪問看護ステーションくるみ運営規定_20260401θ

今回の改定内容の詳細な変更箇所と根拠の対照資料については、社内で整備が完了しています。
行政への届出や関係機関への説明にも対応できる体制を整えております。

訪問看護業界は、大きな転換期に入っています。

制度が求める水準は年々上がり、「とりあえずやっている」では通用しなくなりました。

くるみは、制度の変化を正面から受け止め、規程の一行一行に経営の覚悟を刻み込んで参ります。

この記事を書いた人

石森寛隆

株式会社 Make Care 代表取締役 CEO

石森 寛隆

Web プロデューサー / Web ディレクター / 起業家

ソフト・オン・デマンドでWeb事業責任者を務めた後、Web制作・アプリ開発会社を起業し10年経営。廃業・自己破産・生活保護を経験し、ザッパラス社長室で事業推進に携わる。その後、中野・濱𦚰とともに精神科訪問看護の事業に参画。2025年7月より株式会社Make CareのCEOとして訪問看護×テクノロジー×マーケティングの挑戦を続けている。

この記事を監修した人

中野誠子

株式会社Make Care 代表取締役社長

中野 誠子

看護師 / (元)重症心身障害児者認定看護師

精神科病棟勤務・看護学校教員として経験を積み、「こころに寄り添う看護」を志す。石森・濱𦚰とともに株式会社Make Careを創業。現在は訪問看護ステーションくるみの代表として現場に立ちつつ、メディアにも積極的に登場し、地域精神医療の啓蒙とアップデートに挑む。

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