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【第8回社長エッセイ】「言われて嬉しかった言葉」

2023.09.20 くるみの社長エッセイ精神科訪問看護とは誠子さんシリーズ

大阪市全域を訪問区域とする『訪問看護ステーションくるみ』の代表、中野誠子が綴る『社長エッセイ』第8弾!

 

みなさんこんばんは!

9月ももう20日になりました。はやいですね。

今日は息子の忘れ物を届けに幼稚園へ行ったら
ちょうど10月にある運動会の練習をしていてこっそり見学してきました♡

2歳の息子にとっては今年初めての集団生活。
4月から本当にすごくすごく成長を感じていたのですが、
運動会の練習風景を見ていると、
また一段と成長を感じて、既に涙、涙でした。。😢

今からこんな調子だと運動会当日はどうなることやら・・・

下半期は幼稚園での発表会や展示会など
息子のこの1年の集大成を見せてもらえるイベントが目白押し!

父、母の涙はもう枯れてしまうかもしれません(笑)。

 

さて、今日のエッセイは、『言われて嬉しかった言葉』誠子さんVer.!

先週のハムさんのエッセイでもありましたが、
やっぱり一番身近にある言葉、
「ありがとう」は言うほうも言われるほうもうれしいですよね。

今回のテーマを通してお二人のエッセイを読んで、
「言葉」の持つパワーを強く強く感じ、
大切に扱わないといけないなと改めて思わされました。

誠子さんはどんな「言葉」を紹介してくださるのでしょうか。
本日も楽しんで読んでみてください♡

 

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15歳で寮に入り、高校の専攻科で看護を学んで看護師になって23年目に入ります。

この長いようであっというまだった23年を改めて振り返ると、
本当にたくさんの患者さんや利用者さんと関わってきたなぁといろんな思い出がよみがえります。

「言われて嬉しかった言葉」

たくさんあります。

これまで私と関わってくださったすべての方からいただいた言葉は、
今の「看護師 中野誠子」を作ってくれているので、
どの言葉も本当に嬉しいし、宝物になっています。

そんなたくさんいただいた言葉の中から、
いくつかご紹介させていただければと思います♡

 

これは学生時代のお話です。

老年実習といって、高齢者との関わりを学ぶ実習での出来事。

その言葉をくれたのは肺炎で寝たきりの80代女性の方でした。

私は一生懸命その患者さんのケアを考えて、
口腔ケア、清拭、更衣など、さまざまなケアをしました。

すると、いつも「ありがとう」と嬉しそうにお礼を言ってくださっていました。

 

ある日、その患者さんとお話をしていると、
「まだお風呂に入れないの。お風呂好きなのに」
とおっしゃって、その言葉が私の頭に残り、
足浴をしたら喜んでいただけるのではないか? と、計画をしたのです。

看護師さんにも許可をいただき
いよいよ患者さんに足浴の話をすると、

「いいの、そんなことしなくて」

やや険しい顔で断られました。

私は想像していた反応と違う回答に驚き、
「わかりました」と、その部屋を後にしました。

 

その後、看護師さんに「どうして患者さんにそう言われたのかわかったか」と聞かれてたのですが、
そのときの私はいくら考えてもわかりませんでした。

 

答えが出ないまま次の日を迎え、
また足浴を提案をしたのですが、昨日と同じ反応。
そして同じように部屋から出てきました。

 

なんでだろう?

 

わからなかった私は、教員に相談することに。

一連の出来事を教員に話し終えると、教員から一言。

「患者さんとその話したの? 気持ちを聞いたの?」

ハッとしました。
私は、断られたことに驚き、そのあと何も話をしていなかったのです。

 

そうとわかればすぐに患者さんのもとへ向かいました。
険しい顔が頭をよぎり、怖い気持ちもありましたが、勇気を出して患者さんと再びお話をしました。

よくよく、しっかりとお話をお聞きすると、
その患者さんは「足を他人に洗ってもらうなんてもったいない」と思っていたことがわかりました。

でも、私にはその理由がわからなくて、どうしてか聞くと、
患者さんは少し笑顔になり、「恥じらいの気持ちのがある」ということなど、
お気持ちを話してくださいました。

私は「自分がしたい、してあげたい」という一方的な気持ちしかなかったため、
患者さんが足を洗ってもらうことをどう考えてるかなんて考えられていませんでした。

私は患者さんに「ごめんなさい」と言いながら泣いたのを覚えています。

 

そうするとその患者さんは笑顔で

「人の気持ちを聞いて素直に謝れるその気持ちは大事だから大事にしなさい。
あなたならいい看護師さんになれる。頑張って」

と言ってくださり、ティッシュを渡してくれたのです。

 

看護師は患者さんの状況をアセスメントします。
そうすることで必要なケアを考えて実行することが大切だと学生の私は考えていました。

でもそこに患者さんの気持ちがなかったことに気づかせてくださった
患者さんのこの言葉は、国試を受けるまで、そして今の私の支えになっています。

 

次は専任教員として働いていた看護学校でのお話です。

私は看護学校で精神看護学の領域責任者をしていました。

私が学生のときに受けていた精神科の授業は
難しすぎて想像できない、先生が何を言っているかわからない、ということが多い
という思い出しかありません(母校の先生たちごめんなさい)。

 

看護の世界で学生が希望する科や進む科は、
近年ドラマの影響もあり手術室・救命救急・外科・産婦人科が多い印象でした。

そのため私が授業をするなら
精神科に興味を持ってもらいたい! とたくさんの工夫をして楽しく教えることを
常々心がけていました。

そのおかげか、
授業中に寝る学生も少なく、みんな楽しそうに授業を受けてくれて、実習も行っていました。

 

とある卒業式の日。

ある学生さんが私のもとに来て、

「先生の授業が楽しくて精神科に興味持ったんだ。
実習も楽しかったし。私絶対に精神科で働くんだ。先生ありがとう」

と言ってくれました。

 

私は40歳も過ぎて、後輩育成も大きな仕事だと思っています。

その中でのこの学生さんの一言は本当に嬉しくて泣いてしまいました。

そしてありがたいことに、
毎年そうやって言ってくれる学生さんがいました。

 

専任教員はもちろん看護学校で働く選択肢もありますが、
専任教員の知識を持ち、現任教育(現場での看護師さんの教育)をすることが
精神科看護の質を上げていく一つのきっかけだと思っています。

今まで、そして今もたくさんの方に支えられて今の私があります。

その方々からいただいた「言葉」はすべて宝物です。

ありがとうございます。

 

言葉を大切にしながら伝えること。
いただいた言葉を大事にし、活かかすこと。

そうしてこころに関わる看護師として成長し、
次に関わる方へお返しをしながら看護を続けていくことが
今まで関わった方への恩返しになると思っています。

これまでにいただいた言葉を大切に
これからも前に進んでいこうと思っています。

 

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