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幻聴が聞こえる方への看護とは?看護師が行うとよい声かけや関わり方を解説!

2023.09.18 精神科訪問看護とは


精神科で関わる患者さまや利用者さまの中には、幻聴が聞こえる、幻聴が聞こえて辛いという方もいるでしょう。
幻聴が聞こえる方との関わりに、悩んだ経験のある看護師もいるのではないでしょうか。

この記事では、幻聴が聞こえる方への看護はどうすれば良いのか、また看護師が行うと良い声かけや関わり方についてご紹介します。
関わり方に悩んでいる看護師の方はぜひ参考にしてください。


幻聴が聞こえて辛いのはどんな病気の人?

幻聴とは、実在しない音や声が聞こえることを指し、その症状は人によってさまざまです。
実際に幻聴が聞こえて悩んでいる患者さまや利用者さまは、どのような病気を抱えているのか、まずは病気と幻聴の症状の特徴を合わせて解説していきます。

身体疾患や認知症などでも幻聴が出現するケースはありますが、主に幻聴が聞こえると考えられる病気は下記の3つです。

・統合失調症
・アルコール依存症
・薬物依存症
・PTSD(心的外傷後ストレス)

それぞれどのような病気か、またどのような幻聴が聞こえるケースが多いのかみていきましょう。



参照:国立精神・神経医療研究センターこころの情報サイト「統合失調症」


統合失調症

まず幻聴が聞こえている方の病気として多いのは、統合失調症です。
統合失調症はこころ(感情)や思考がまとまらなくなる病気で、統合失調症の症状は大きく陽性症状と陰性症状に分けられます。

項目 症状
陽性症状 ・幻覚、幻聴

・興奮、支離滅裂(言っていることが意味不明で意味をなさない)

・妄想

陰性症状 ・意欲低下、無気力

・引きこもり、抑うつ

・倦怠感



参照:厚生労働省「こころもメンテしよう|統合失調症」
参照:国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院「統合失調症とは?」



陽性症状の中に当てはまるのが幻聴です。人によって幻聴の内容はさまざまで一概には言えませんが、本人を否定・批判してくるような内容や、行動を制限してくるような内容が多いです。(食事を食べるな、外出するな、等)
また監視されているような内容のものもあり、周囲に怯えているような様子の患者さまや利用者さまがいる時は、幻聴や強い妄想が要因な場合が多いでしょう。



参照:国立精神・神経医療研究センターこころの情報サイト「統合失調症」
参照:
厚生労働省「こころの病気について知る|統合失調症」


アルコール依存症

厳密にはアルコール幻覚症といい、長期的なアルコール摂取者が陥るアルコール依存症の方の中でも、幻聴が聞こえるケースを指します。

人によって症状が数日間で治る場合もあれば、長期的な治療を要するケースもあります。
幻聴の内容は統合失調症のように批判的なものもあれば、自分を呼んでいる声が聞こえている方もおりさまざまです。

また、常にアルコールを飲んでいた方がアルコールを急にやめた場合に「離脱症状」というものが生じることがあります。
この離脱症状の中で幻聴が聞こえたり、幻覚が見えたりする方もいます。



参照:厚生労働省「e-ヘルスネット|アルコール幻覚症」
参照:厚生労働省「e-ヘルスネット|振戦せん妄」


薬物依存症

覚醒剤や違法薬物など、薬物依存の方にも、幻聴や幻覚の症状がみられます。
薬物依存の方の幻聴の特徴は、誰かが自分の悪口を言っているものや、死ねと繰り返していってくる、というようなものです。
このようなケースは多くは幻覚や妄想が混ざっており、その幻聴を言っている人によって監視されている、跡をつけられているというように感じている方もいます。

参照:厚生労働省「第1章 薬物依存症を理解しましょう」


PTSD(心的外傷後ストレス)

PTSDといって心的外傷後ストレスを追っている方にも、幻聴として追体験が起きる場合があります。
この場合は幻聴というよりも記憶の追体験になるケースが多いため、以前にあった出来事を全く同じように思い出す(ひどいことを言われた時と同じことをまた言われる、トラウマとなった対象者から指示されたり、批判されたりするようなことを言われるなど)ようなケースが多いでしょう。



参照: 2016 by The Japanese Society of General Hospital Psychiatry「地域で対応困難であった PTSD の若年女性に対する総合病院精神医学的アプローチ─脳波による意識障害の鑑別と精緻な身体医学診断が奏効した1例─」
参照:国立精神・神経医療研究センターこころの情報サイト「PTSD|PTSDとは」


幻聴の看護

ここまで、幻聴を訴える方の疾患として主なものを解説しました。
ここからは幻聴のある方への看護について解説していきます。

そもそも幻聴には、大きく分けて下記の3つの種類があります。

幻聴の種類 症状
言語性幻聴 対話性、非対話性に分類され、自分の噂話をする声や自分に話しかける声が聞こえる
複雑性幻聴 物音などではなく、メロディなど音楽のように複雑な音が聞こえる
要素性幻聴 ノックするような音や虫の音などの物音が聞こえる

参照:東京大学「幻覚への認知行動アプローチ」



基本的には上記の中でも、言語性幻聴に当てはまる方へのアプローチとして解説していきます。


幻聴が聞こえる方への関わり方

まず、幻聴が聞こえている方の多くは前述のように、自分に対する批判や悪口、命令などが多いです。
また合わせて監視されているような妄想を抱えている方もいます。
そのため周囲との関わりに対して過剰に怯えていたり、強い警戒心を持っていたりすることもあるでしょう。
そのため看護師は関わる際に、まずは「敵ではなく味方であること」を伝えるようにしましょう。

看護師も怯えていたり強く当たりすぎてしまったりすると、最初の関係形成に時間を要してしまったり勘違いを生む場合もあります。
そして、関わる際の立ち位置も重要です。患者さまや利用者さまに怯えられたり敵意を向けられたりしないよう、いきなり近すぎる距離で関わらないようにしましょう。また、目線も同じ高さで関わるようにします。関係性ができていないうちは少し距離を取るように意識するのが大切です。



参照:厚生労働省「eヘルスネット|統合失調症」
参照:
厚生労働省「精神障害(精神疾患)の特性(代表例)」


幻聴が聞こえる方への声かけ

幻聴を辛いと感じているという感情や思いを傾聴していくのが大切ですが、そもそも幻聴に対して、「幻聴だと認識しているか」で対応が変わってきます。

幻聴だと認識している方の場合は、幻聴が聞こえた時はいつもどのように対処しているのか確認し、その方法について一緒に考えていきます。自分を傷つけることで落ち着いているという方もいるので、いきな関係性ができていないうちに「傷つけるのはだめ」と伝えないようにしましょう。自分にとってはそれが最善の方法であったのに、その方法を初対面や知り合ったばかりの人に拒否された、と感じて今後の介入を拒否される可能性もあります。
命に関わらない限り「他の方法を考えていけると良いですね」など、少しずつ他の方法へ幻聴の対処法を変えていけるように関わっていくと良いですが、病院や訪問看護ステーションで対応を必ず統一していく必要があります。

また、幻聴を幻聴だと認識していない方に対しては、幻聴に関してどのようなものか情報をまずは聞いていくと良いでしょう。例えば誰が話しているのか、寝る前や診察の前など、いつ頃聞こえるのか、窓の外などどこから聞こえてくるのか、などの情報です。

もし実際に今聞こえているというのなら、「私には聞こえていないです」など伝えてみても良いでしょう。ただし関係性ができていない中で、全ての情報を話してくれるとは限りませんし、いきなり私には聞こえないと言われても、「この人は私のことをわかってくれない」と思われてしまうかもしれません。そのため少しずつ関わっていく中で、悩みや困っていることを伺っていくと「実はこういうことを言われてて…」など打ち明けてくれるのを待つのも手でしょう。


幻聴の看護は長期的な関わりが重要!精神科訪問看護で丁寧な関わりを

幻聴のある方への関わりは、丁寧な時間をかけた関わりが重要です。
精神科の訪問看護では、在宅で過ごしながらも幻聴に悩んでいる方に対して、じっくりと看護実践を行うことができます。



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