うつ病で退職するときの手続きや会社への伝え方、退職後の生活で知っておくこと
精神科訪問看護とは「もう限界だ…」そう感じて、うつ病で退職を考えているとき、辛い気持ち、抱えきれない不安、様々な思いが交錯していることでしょう。この記事では、退職を決断する前に知っておくべきこと、退職の手続き、会社への伝え方、退職後の生活について、具体的に解説していきます。この記事を読めば、あなたの抱える不安を少しでも解消し、自分らしい一歩を踏み出すための道筋が見えてくるはずです。
うつ病で退職を考える前に

心身ともに限界を感じ、これ以上仕事を続けることが難しいと感じている状況は、非常につらいことだと思います。しかし、感情的、あるいは衝動的に退職を決断してしまう前に、一度立ち止まってご自身の状況を整理し、取るべき行動を理解することが、今後のためにも非常に大切です。
ここでは、退職という大きな決断を下す前に、まず確認しておきたいこと、特にご自身の心と体、そして専門家との連携について、丁寧にお伝えしていきます。
症状と向き合う
まず大切なのは、ご自身のうつ病の症状を正確に把握し、それらを「自分のせいだ」と責めるのではなく、病気の一つの現れとして受け止めることです。どんな時に症状が強く出るのか、どのような状態が続いているのかを具体的に記録してみましょう。
例えば、気分の落ち込み、意欲の低下、睡眠障害、食欲不振、集中力の低下、体の痛みなど、ご自身が感じていることを客観的に観察することが、病状の理解につながります。この「症状と向き合う」プロセスは、治療の第一歩であり、今後の行動を決める上での重要な土台となります。
治療を継続する
退職を考えているほど追い詰められている状況では、「もう治療なんて意味がないのでは?」と感じてしまうかもしれません。しかし、うつ病の治療は、症状が改善してきたと感じられる時期であっても、中断せずに継続することが極めて重要です。医師の指示に従って薬物療法や精神療法を続けることで、症状の再燃や悪化を防ぎ、より安定した状態を保つことができます。
焦って退職を急ぐのではなく、治療を継続しながらご自身の状態を回復させていくことが、結果として、より良い選択肢を見つけるための力となるでしょう。
主治医との相談
退職を検討している、あるいは退職の意思がある場合は、必ず主治医に相談してください。主治医はあなたの病状を最もよく理解している専門家であり、あなたの状態に合わせたアドバイスをしてくれます。「仕事を続けるのが難しい」「退職したいと考えている」といった率直な気持ちを伝え、今後の治療方針や、退職に関する手続き(診断書の発行など)について、専門的な見地から助言を求めましょう。
医師の診断書は、会社への説明や、失業保険などの手続きにおいて、あなたの状況を客観的に証明する重要な書類となります。一人で抱え込まず、医師との信頼関係を築きながら、共に最善の方法を探っていきましょう。
会社とのコミュニケーション
体調が優れない中で、会社とのコミュニケーションを取ることは大きな負担に感じられるかもしれません。しかし、退職の意思を伝える前であっても、必要最低限の連絡や情報共有は、円滑な手続きのために重要となる場合があります。
例えば、体調不良による欠勤の連絡、業務の引き継ぎに関する簡単な相談などです。無理のない範囲で、可能であれば家族や信頼できる同僚、あるいは産業医などを介して行うことも検討しましょう。どのような方法がご自身の負担を最小限に抑えつつ、必要なコミュニケーションを取る上で最善か、主治医や周囲の人とも相談しながら進めることが大切です。
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うつ病で退職を決めたらやるべきこと

うつ病による退職は、心身の健康を最優先に考えるべき大切な決断です。しかし、感情に流されるだけでなく、冷静に具体的な手続きを進めることが、後悔のない退職につながります。
ここでは、退職を決意した際に必要となる一連の具体的な手続きについて、順を追って詳しく解説していきます。退職後の生活への不安や経済的な問題、周囲への伝え方など、多くの課題に直面することと思いますが、一つずつ着実に進めていきましょう。
診断書の取得
退職手続きを進める上で、医師から「診断書」を取得することは非常に重要です。特に、うつ病などの精神疾患が原因で退職する場合、この診断書が法的な根拠となったり、傷病手当金などの社会保障給付を受ける際の必要書類となったりします。まず、主治医に退職の意思を伝え、診断書の作成を依頼しましょう。診断書には、病名、現在の症状、そして「療養のために休職または退職が必要である」といった、就労が困難であることを示す内容を記載してもらうことが一般的です。これにより、会社側も状況を理解しやすくなり、退職の合意形成や、場合によっては休職期間の考慮などにつながる可能性もあります。取得した診断書は、大切に保管しておきましょう。
退職願の提出
退職の意思を正式に会社へ伝えるためには、「退職願」の提出が不可欠です。退職願は、あくまで「退職したい」という意思表示であり、会社が受理して初めて退職が成立します。退職願の書き方は、基本的には手書きまたはPCで作成し、日付、所属部署、氏名、宛名(代表取締役など)、そして「一身上の都合により、来る〇月〇日をもって退職いたしたく、ここにお願い申し上げます。」といった本文を記載し、捺印します。提出のタイミングは、就業規則で定められている期間(一般的には1ヶ月前など)を確認し、余裕を持って直属の上司に手渡しするのが一般的です。感情的にならず、落ち着いて意思を伝えることが大切です。
退職日の決定
退職日を決定する際には、いくつかの重要な考慮事項があります。まず最優先すべきは、ご自身の体調です。無理のない範囲で、回復に専念できる日程を考慮しましょう。次に、業務の引き継ぎ期間も考慮に入れる必要があります。後任者がスムーズに業務を引き継ぐため、十分な時間を確保することが望ましいです。
また、残っている有給休暇を消化したい場合は、その期間も考慮して最終的な退職日(籍がなくなる日)を決定することになります。会社との交渉においては、希望日を伝えつつ、会社の状況も踏まえ、双方にとって納得のいく形で合意形成を目指しましょう。
有給休暇の消化
退職時には、残っている有給休暇を最大限に活用することが推奨されます。有給休暇は労働者の権利であり、退職時であっても消化することが可能です。体調が優れない中で無理に最終日まで出勤する必要はありません。有給休暇の消化を希望する場合は、所定の手続きに従って会社に申請します。
一般的には、退職日までに使い切れるように、上司に相談し、計画的に消化していくことになります。消化期間中は、体調管理に努めつつ、必要に応じて引き継ぎのサポートを行うなど、最後まで責任ある行動を心がけましょう。有給休暇を消化することで、心身の休息を取り戻し、次のステップへの準備期間とすることができます。
引き継ぎ
体調が万全でない状況での引き継ぎは、大きな負担となることもありますが、円滑な退職のためには非常に重要です。まずは、ご自身の担当業務、進捗状況、関係者、今後の予定などをリストアップし、引き継ぎ資料を作成することから始めましょう。
資料は、誰が見ても理解できるよう、簡潔かつ具体的に記述することがポイントです。業務の進め方、連絡先、注意点などを網羅的に記載することで、後任者が迷うことなく業務を引き継げるように配慮します。体調が許す範囲で、丁寧な引き継ぎを心がけることが、自身の評価を守り、円満な退職につながるでしょう。
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うつ病で退職する際の会社への伝え方
うつ病による退職を会社に伝えることは、心身ともに大きな負担となることがあります。しかし、円滑な退職手続きを進めるためには、適切なタイミングと方法で、誠実に伝えることが大切です。
ここでは、会社に退職の意思を伝える際の具体的なポイントを、タイミング、伝える相手、そして具体的な例文を交えながら解説します。読者の皆様が抱える「どのように伝えれば良いのだろう」という不安を少しでも解消し、安心して次のステップへ進めるよう、分かりやすくご案内します。
伝えるタイミング
退職の意思を伝えるタイミングは、ご自身の体調が最も安定している時期を選ぶことが第一です。無理に伝えようとすると、かえって状況を悪化させてしまう可能性があります。体調が落ち着き、ある程度冷静に自分の状況や今後の意向を伝えられるようになったら、上司に相談する機会を設けるのが良いでしょう。また、会社の業務状況も考慮に入れると、引き継ぎなどをスムーズに行いやすくなります。ただし、ご自身の健康が最優先ですから、無理のない範囲で、できるだけ会社の都合も配慮できるタイミングを見計らうことが望ましいです。
伝える相手
退職の意向を伝える相手は、一般的に直属の上司が最も適切です。日頃から業務の指示を受け、相談をしている相手であるため、状況を理解してもらいやすいでしょう。まずは上司に個別で相談し、退職の意思を伝えた上で、その後の正式な手続きについて指示を仰ぎます。会社によっては、人事担当者にも同時に、あるいは上司との相談後に伝えることが求められる場合もあります。上司と相談し、会社が定める正式な手続きに沿って進めることが重要です。
伝え方の例文
うつ病であることを踏まえ、退職の意思を伝える際は、感情的にならず、落ち着いて話すことを心がけましょう。伝え方の例をいくつかご紹介します。ご自身の状況に合わせて調整してください。
例文1:体調不良を理由に伝える場合
「〇〇部長(上司の名前)、お忙しいところ恐れ入ります。本日は、私事で大変恐縮なのですが、退職させていただきたく、ご相談がございます。実は、最近体調を崩しており、医師の診断を受けた結果、しばらく療養が必要となりました。つきましては、誠に勝手ながら、〇月〇日をもちまして退職させていただきたく存じます。これまで大変お世話になりました。」
例文2:病状を簡潔に伝え、理解を求める場合
「〇〇部長、お時間をいただきありがとうございます。退職のご相談なのですが、現在、うつ病の治療を受けており、自身の健康状態を考慮した結果、退職を決意いたしました。〇月〇日での退職を希望しております。業務の引き継ぎにつきましては、残りの期間でしっかりと行わせていただきますので、ご指示いただけますでしょうか。皆様にはご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご理解いただけますようお願い申し上げます。」
例文3:今後のキャリアや療養に焦点を当てる場合
「〇〇部長、ご相談があります。この度、一身上の都合により、退職させていただくことになりました。具体的には、現在、療養に専念する必要があり、しばらくの間、仕事から離れる決断をいたしました。退職日は〇月〇日を希望しております。これまで〇〇(具体的な業務内容など)で大変お世話になり、多くのことを学ばせていただきました。感謝しております。引き継ぎは責任を持って行います。」
これらの例文はあくまで一例です。ご自身の言葉で、誠意を持って伝えることが最も大切です。
うつ病で退職後の生活

うつ病による休職や退職は、心身の回復だけでなく、その後の生活設計においても重要な局面となります。経済的な不安や、今後のキャリアをどう築いていくかなど、多くの課題に直面することでしょう。
本セクションでは、退職後の生活を具体的に支えるための情報として、傷病手当金や雇用保険(失業保険)の申請方法、そして円滑な転職活動の進め方、さらには生活費の確保策について詳しく解説します。利用できる公的支援制度も網羅し、読者の皆様が安心して次のステップへ進めるよう、実践的な情報を提供します。
傷病手当金の申請
うつ病などの病気により、働けなくなった場合に利用できる「傷病手当金」は、退職後の生活を経済的に支える重要な制度です。この手当金は、健康保険の被保険者が、病気やケガのために療養中で、働けない期間に支給されます。申請には、医師の証明が必要となり、健康保険組合や協会けんぽへ所定の申請書を提出します。
支給される金額は、標準報酬月額の3分の2が一般的で、最長で1年6ヶ月間支給される場合があります。退職後も、健康保険の被保険者期間が1年年以上あり、退職日以前に継続して1年以上の被保険者期間があれば、資格を満たせば退職後も受給を継続できるケースもあります。申請手続きの詳細や、ご自身の状況に当てはまるかの確認は、加入している健康保険組合等にご相談ください。
雇用保険の申請
雇用保険は、失業した場合に生活の安定を図るための給付金(一般に「失業保険」と呼ばれます)を受け取れる制度です。うつ病で休職し、やむを得ず退職した場合でも、一定の条件を満たせば受給資格を得られます。受給資格の主な条件としては、離職日以前2年間に、被保険者期間が12ヶ月以上あることが挙げられます。
ただし、自己都合退職の場合は、原則として7日間の待期期間に加え、2ヶ月または3ヶ月の給付制限期間があります。うつ病による休職・退職の場合は、ハローワークに相談し、自己都合ではなく「正当な理由のある自己都合退職」として認められるか確認することが重要です。申請は、離職票などの必要書類を揃え、お住まいの地域を管轄するハローワークで行います。
転職活動
うつ病からの回復を目指しながらの転職活動は、焦らず、ご自身のペースで行うことが大切です。まず、求人情報の探し方としては、インターネットの求人サイトや転職エージェントの活用が一般的です。特に転職エージェントは、非公開求人の紹介や、キャリア相談、面接対策などのサポートも受けられるため、心身の負担を軽減しながら活動を進めるのに役立ちます。履歴書や職務経歴書の作成においては、病気療養のために離職期間がある場合、その理由を正直かつ前向きに伝えることが重要です。
面接対策としては、企業が求める人物像を理解し、自身の経験やスキルをどう活かせるかを具体的に説明できるように準備しましょう。体調を最優先し、無理のない範囲で活動を進めてください。
生活費の確保
退職後の生活において、当面の生活費をどのように確保するかは、経済的な安心感に直結します。まず、退職前に、生活費の見積もりを立て、不足する金額や期間を把握することが重要です。次に、無駄な支出を削減する節約術を実践しましょう。食費の見直し、通信費のプラン変更、不要なサブスクリプションの解約などが考えられます。さらに、公的な支援制度の活用も検討しましょう。
例えば、病状が長期化し、就労が困難な場合は「障害年金」の申請が可能です。また、生活困窮の状態が続く場合は、「生活保護」の申請も選択肢となり得ます。これらの制度は、申請から受給までに時間がかかる場合があるため、早めに情報収集し、必要であれば専門機関(役所の福祉課、社会保険労務士など)に相談することをおすすめします。
まとめ
うつ病で退職した後の時間は、心身を立て直し、新しい人生に向けて準備する大切な期間です。まずは十分な休息を取り、無理のない範囲で生活リズムを整えながら、自分のペースで回復に専念することが重要です。また、医師やカウンセラー、社会保険労務士など専門家のサポートを活用することで、心の負担や経済面の不安を軽減し、より安心して次のステップに進めます。
回復が進んできたら、これまでの経験を振り返り、どのような働き方が自分に合うのかをゆっくり検討してみましょう。興味のある分野について調べたり、負担の少ない活動に挑戦してみることも、新しい可能性を広げる助けになります。焦らず、自分のペースを大切にしながら、前向きな未来へと歩んでいきましょう。
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