「障害年金はどういう制度?」「もらうための条件はあるの?」と疑問がある方も多いのではないでしょうか。障害年金とは、病気やけがで生活や仕事などが制限される方に支給される制度で、精神疾患の方も条件を満たせば受け取れます。
この記事では、障害年金の対象者や支給条件を解説しています。障害年金の支給額や請求手続きの方法も解説していますので、ぜひ最後までお読みください。
障害年金とは
生活や仕事に支障をきたした場合の経済支援制度として、障害年金があります。国が定めている社会保障の1つで、障害者手帳がなくても受け取れますが、障害の程度や年金の納付状況などの条件が設けられています。障害年金は以下の2種類です。
種類 | 初めて医師の診療を受けた時期 | 概要 |
障害基礎年金 | 国民年金加入中 | 基本の年金 |
障害厚生年金 | 厚生年金加入中 | 障害基礎年金に上乗せされる年金 |
加入している年金制度により受け取れる障害年金は異なります。
参照:厚生労働省/[年金制度の仕組みと考え方]第12 障害年金
障害年金の対象者
障害年金の対象者について、詳しく解説します。
障害基礎年金
障害基礎年金を受給するには、以下の3つの要件を満たす必要があります。なお、初診日とは、障害の原因となる病気やけがで最初に医師の診療を受けた日のことです。
項目 | 詳細 |
初診日要件 | ・国民年金加入中
・年金制度の未加入期間(20歳前) ・年金制度の未加入期間かつ日本在住(60歳以上65歳未満) |
障害等級 | ・1級
・2級 |
保険料納付要件 | ・初診日前の公的年金加入期間の2/3以上で保険料が納付または免除されている
・初診日前において直近1年間で未納がない(65歳未満) |
ただし、初診日が20歳未満の場合は、保険料納付要件は適用されません。また、障害の程度は初診日から1年6ヶ月後に判定されます。
参照:日本年金機構/障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額
障害厚生年金・障害手当金
会社員として働いている間(障害厚生年金加入中)に初診日があり、障害基礎年金と同じ保険料納付要件を満たす場合、障害厚生年金や障害手当金が受給できます。
障害の等級と支給される障害厚生年金・障害手当金は以下の表の通りです。
障害等級 | 年金 |
1・2級 | 障害基礎年金+障害厚生年金 |
3級 | 障害厚生年金 |
3級よりも軽い障害 | 障害手当金 |
障害手当金は、初診日から5年以内に病気やけがが治り、障害厚生年金を受けるよりも軽い障害が残ったときに支給されます。
参照:厚生労働省/[年金制度の仕組みと考え方]第12 障害年金
障害年金がもらえる条件や障害の程度
障害年金がもらえる条件と障害の程度は、以下の表の通りです。
等級 | 障害の状態 |
1級 | 身の回りのことはかろうじてできるが、それ以上の活動ができないもの。
日常生活の活動がおおむね就床室内に限られるもの。 |
2級 | 家庭内の極めて温和な活動(軽食作り、下着程度の洗濯など)はできるが、それ以上の活動はできないもの。
日常生活の活動範囲がおおむね家屋内に限定されるもの。 |
3級 | 労働に著しい制限があるもの。 |
障害手当金 | 「傷病が治ったもの」であって、労働に一定の制限があるもの |
精神疾患の場合、障害の程度は申請時に提出する医師の診断書をもとに症状や治療経過、日常生活の状況などから総合的に判断されます。
人格障害や神経症など障害認定されない精神疾患もあるため、障害年金認定基準や申請方法は年金窓口でご確認ください。
参照:厚生労働省/[年金制度の仕組みと考え方]第12 障害年金
障害年金で支給される金額
障害年金の支給額は加入している年金や障害の程度、配偶者や子どもの有無などによって異なります。内閣府大臣官房政府広報室によると、令和5年度の障害基礎年金の年間支給額は以下の表の通りです。
なお今回は、昭和31年4月2日以後生まれの方の場合を記載しています。
等級 | 障害基礎年金 | 障害厚生年金 |
1級 | 1,020,000円
+ 子の加算額 |
報酬比例の年額×1.25
+ 配偶者の加給年金額 |
2級 | 816,000円
+ 子の加算額 |
報酬比例の年額
+ 配偶者の加給年金額 |
3級 | 報酬比例の年金額
※障害基礎年金(2級)の3/4の額を最低保障額とする) |
|
障害手当金 | 報酬比例の年金額×2
※障害等級3級で支給される障害厚生年金の 最低保障額の2倍の額を最低保障額とする |
なお、子の加算額は2人までは1人につき234,800円(年額)、3人目以降は1人につき78,300円(年額)です。障害年金の支給額は、物価や賃金などの変動に合わせて毎年見直されています。
参照:厚生労働省/[年金制度の仕組みと考え方]第12 障害年金
参照:日本年金機構/障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額
精神疾患も障害年金の対象者となる場合がある
日常生活や仕事に制限がある方にとって、障害年金は重要な社会保障制度の1つです。精神疾患による障害も、要件を満たせば障害年金の対象となる可能性があります。
障害年金の請求手続きには数か月かかるため、スムーズに申請するためにも早めに窓口に相談しましょう。
訪問看護では、日々の生活のサポートだけでなく社会保険制度の手続きについてもご相談をお受けしています。ご不明な点がございましたら、『訪問看護ステーションくるみ』にぜひご相談ください。