「てんかん」とは、脳の電気信号に異常が生じることでけいれんや意識消失などの症状をきたす疾患です。症状が出ることを「てんかん発作」と呼びます。
自分や家族が「てんかん」と診断された場合には、てんかんが起こる原因や症状などをよく理解し、発作が起こった際に正しい対応ができるように準備しておきましょう。
この記事では、てんかんの原因や症状、発作への対処法などを解説します。
てんかんはなぜ起こる?
てんかんとは、脳内に異常な電気信号が流れ生じる「てんかん発作」が繰り返される状態を指します。
てんかんには、原因不明の「特発性てんかん」と原因がはっきりしている「症候性てんかん」の2つに分けられます。それぞれの特徴を見てみましょう。
特発性てんかん
明確な原因がわからないてんかんを「特発性てんかん」と呼びます。特発性てんかんの場合は、各種精密検査を実施しても異常を見つけられないケースが多いとされています。
症候性てんかんと比べて発作を抑制しやすいとされており、治療を開始してから2年以内に発作が落ち着く可能性が高いようです。
参照:公益社団法人 日本てんか協会「てんかんについて」
症候性てんかん
症候性てんかんとは、脳卒中や脳腫瘍など、脳の構造の変化が原因となって発生するてんかんを指します。
症候性てんかんの原因は以下のようなものです。
・出産時に仮死状態や低酸素状態であった
・脳炎
・髄膜炎
・脳出血や脳梗塞
・脳外傷 など
出産の際、なんらかの原因で脳に酸素が行き届いていなかったり、新生児仮死になっていたりした場合は、脳にダメージが残りてんかんが生じやすくなります。後天的な脳の障害の後遺症として生じる場合もあり、治療中・治療後は注意が必要です。
てんかん発作の種類と症状
てんかん発作には「全般起始発作」と「症候起始発作」の2種類があり、それぞれ特徴や症状が異なります。
全般起始発作
全般起始発作は、てんかんを起こす電気信号が左右の脳全体に走るために生じます。
全般性発作の主な症状は以下です。
・けいれん
・転倒
・歯のくいしばり
・舌を噛む
・よだれが出る
・泡を吹く
・失禁
・叫び声が出る
・意識を失う など
けいれんや転倒、舌を噛むなど、状況によっては大きな事故や命に関わる症状が見られる方もいます。本人と家族がてんかんについて理解し、事故を予防することが大切です。
焦点起始発作
焦点起始発作とは、てんかんを起こす電気信号が、脳の一部でのみ始まる発作のことです。電気信号が発生した脳の部位に関連した症状が出現します。
焦点起始発作に以下のような前兆がみられる場合もあり、ある程度発生を予測することも可能です。
・異常なにおいや味を感じる
・そわそわする
・見ている景色に既視感を覚える
・発作がはじまりそうな感覚を覚える
異常な兆候が見られた場合は、周りに何もない場所や道路の端など安全な場所に移動し、発作中の安全を確保しましょう。
てんかん発作の治療法
てんかん発作に対する治療法は、薬物療法が一般的です。薬を正しく服用することで発作の発生頻度が下がり、安全に生活することも可能です。
てんかん発作を予防し、上手につき合いながら生活していくために、薬を正しい量とタイミングで薬を服用しましょう。
ほかには、薬物療法で発作が抑制できない場合に「外科治療」が検討されたり、電気刺激によって発作を抑える「迷走神経刺激療法」が選択されるケースもあります。また、食事療法が効果的な場合もあるため、患者さまの症状や状態に合わせて治療法が選択されます。
てんかん発作が起こったときの対応
てんかん発作が起こった場合に家庭で実施できる対処法や注意点、生活の支えとなる制度やサービスについて解説します。
発作時に家庭でできる対処法
自宅で発作が起こった場合、家族はとにかく落ち着いて行動することが大切です。けいれん発作が起こると激しく体が動き、ケガを負う危険があります。発作の症状が軽度のうちに、安全な場所へ移動させましょう。
また、可能であれば発生時刻と様子を観察・記録し、医師や看護師へ共有することをおすすめします。発作の様子を伝えることで、次回以降の発作に対するアドバイスが受けられるでしょう。
支援制度やサービスの利用
てんかんをお持ちの方は「自立支援医療」の制度を利用できます。制度を利用することで、月ごとの医療費を抑えつつ診療を受けることが可能です。また、精神保健福祉手帳の申請により、税金の優遇などさまざまな支援を受けられます。
なお、在宅生活の支援として訪問看護も手段の1つです。服薬の管理や外出の支援など、てんかん発作によって不安を抱えている方でも、安心して日常生活のサポートを受けられます。
てんかん発作に不安がある方は訪問看護を利用してみよう
てんかんは突発的に発作が生じるため、日常生活に大きな支障が出る場合もあります。中には、薬の管理や生活環境の調整など、あらゆるところに気を遣い生活しなければならない方もいるでしょう。
「てんかんによる日常生活での不安がある」「服薬管理が心配…」という方は、訪問看護の利用も検討してみましょう。『訪問看護ステーションくるみ』では、利用者さま一人ひとりに合った支援や看護を検討・提供いたします。ご不明点などございましたら、こちらからお気軽にお問い合わせください。