こんにちは。株式会社Make CareのCEOであり、訪問看護ステーションくるみでマーケティングを担当している石森寛隆です。
XではHEROと名乗っていますので、もしよろしければフォローください。
前回のコラム「【CEOエッセイ】Vol.022 その行為、カスハラです。でも——」で「カスハラ」について、そのポスター、チラシ制作に対する想いを語ったのですが、もう一枚作ったもの。
「ドタキャン防止」のポスターについても語ってみようと思います。
「ドタキャン・無断キャンセル、ダメ!! 絶対!!」
そんな強めの言葉から始まるチラシは、一見すると少し厳しそうに見えるかもしれない。
でも僕はこれを、怒りでも、排除でもなく、「お願い」として作りました。
現場では、訪問直前に突然のキャンセルが入ることもある。
あるいは、連絡もなくスタッフが玄関前で待ちぼうけになることだってある。
もちろん、体調不良ややむを得ない事情があるのはわかっている。
でも、連絡のないキャンセルは、支援体制そのものを崩すことにつながる。
予定していた1時間がぽっかり空いたとしても、
その穴を他の訪問に置き換えることはできない。
他の利用者さんの訪問が前倒しになることもなければ、
その時間分の収入が補填されるわけでもない。
それだけじゃない。
移動のためにすでに出発していた場合、ガソリン代や高速代、駐車料金などのコストが発生する場合もある。
看護師の時間だけでなく、物理的な経費が実際に失われているのだ。
僕らは訪問看護という仕事を、ビジネスとしてだけじゃなく、「支え合いのしくみ」だと思ってやっている。
でも、そのしくみが持続可能であるためには、ちゃんと現実を共有していく必要がある。
だから僕は、「言いにくいことだけど、ちゃんと伝えよう」と思った。
それが、このチラシを作ったきっかけだ。
大阪市、寝屋川市、守口市、
門真市、大東市、枚方市全域対象
“精神科に特化”した
訪問看護ステーション
「くるみ」
それでも、僕らが信じたいこと
このチラシをつくったとき、いちばん悩んだのは「伝え方」だった。
“ダメ!! 絶対!!”なんて強めの言葉を使うことに、正直、ためらいもあった。
「怖がらせたいわけじゃない。責めたいわけでもない。」
むしろ伝えたかったのは、「信頼関係を壊さずに続けるには、どうか“声”だけは届けてほしい」ということだった。
僕らが訪問している利用者さんの多くは、何らかの生きづらさやしんどさを抱えている。
突然気分が落ち込んで、玄関に出るどころか、電話をかける気力すらなくなる日だってある。
それをわかってるからこそ、僕らは一方的に「ドタキャン=悪」とは思っていない。
でも、だからと言って、無連絡が続くことを許容し続けると、今度は支える側が壊れてしまう。
訪問に向かう車の中で、何度も電話をかけながら「出てくれますように」と願う看護師。
「このまま行っても、無駄足になるかもしれない」と知りながら、それでも向かおうとする姿。
その一歩一歩が、実は信頼の延長線にある。
キャンセルがあること自体を咎めたいわけじゃない。
でも、“何も言わずにいなくなる”という行為は、信頼関係を一方的に断ち切ってしまうことがある。
僕は、声がけひとつで守れる関係があることを信じてる。
「今日はちょっとしんどいです」
「明日じゃだめですか?」
それだけでいい。ただ、“無言”で終わらないでほしい。
そう願ってこのチラシを作った。
だからこそ、きっと伝わると信じてる。
「これはあなたのためでもあるんだ」っていう、この一枚の背景にある想いが。
支援する側も守るということ
僕は経営者である前に、1人の人間だ。
それも、精神科という括りで見れば、支援「される」側の当事者でもある。
だからこそ、訪問先から泣きながら電話をかけてくるスタッフの声は、自分のことのように胸に響く。
「何度も電話したけど出なくて、でも一応行ってみたら誰もいなかったです」
「行ったら“帰れ”って怒鳴られて、でも大丈夫なふりして車に戻りました」
「もう一度電話してみます、でもちょっと怖いです…」
訪問看護師の役割は、ただ“ケアすること”じゃない。
相手の感情や状況を読み取って、
ときに共感し、ときに制止し、でも決して見放さない。
その繊細なバランスを、1日に何度も何度も繰り返している。
だから、訪問看護師のみならず、支援者は消耗する。
真面目な人ほど、誠実な人ほど、自分をすり減らしていく。
無断キャンセルが重なれば、その日の訪問リズムが崩れる。
待っている他の利用者への訪問時間もずれる。
焦りながら運転し、次の現場に駆け込む。
疲れたまま、笑顔でインターホンを押す。
それでも、「大丈夫です」と言ってしまうのが、
僕らの現場の看護師たちであり、支援者の人々だと思う。
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だから僕は、“支援者を守る仕組み”を作らなきゃいけないと思っている。
キャンセルポリシーを明記すること。
無断キャンセルにはキャンセル料が発生すること。
それを「怖いこと」としてではなく、
「スタッフを守る最低限のライン」だと、利用者にもきちんと伝えること。
それができて、初めて僕らの仕事は持続可能になる。
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このチラシは、誰かを責めるためのものじゃない。
僕たちの事業、僕たちの仕事を、僕たちのこころを、そして継続的な支援の仕組みを守るために作った。
でも同時に、“守られている支援者が、また誰かを支えるための一歩を踏み出せるように”という願いも込めた。
僕はそういう循環を、ちゃんと回していきたいと思っている。
それでも、関係をあきらめない
ドタキャンや無断キャンセルに対して、ルールを設ける。
キャンセル料を発生させる。
それは決して、「厳しくするため」だけじゃない。
**「支援する側も、される側も、対等でいるために必要な約束」**なんだ。
僕たちは支援者だからといって、何をされても耐えるべきだとは思っていない。
同じように、利用者さんだって、支援を受けるからといって、
一方的にルールを押し付けられる存在であってはならない。
お互いに、
「これだけは守ろう」
「これが守れたら、また信頼できる」
そうやって線を引き合うこと。
それこそが、長く支援を続けるために欠かせない“関係の作り直し”だと思う。
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でも、それでも。
ルールを越えてしまう瞬間は、きっとまた訪れる。
連絡を忘れてしまった日もある。
怒りや不安に飲まれて、約束を破ってしまう日もある。
そんなとき、僕たちは、
「はい、それまで」と冷たく切り捨てたくはない。
もちろん、線は線として守る。
支援者を守るために、毅然と対応する。
けれどそのうえで、
「ここからまたやり直そう」と言えるチームでありたいと思ってる。
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ルールは、信頼を守るためにある。
でも、信頼を育てるのは、ルールじゃなくて、
何度でも手を差し伸べる姿勢なんだ。
このチラシに込めた願いは、
「怒ってるから作った」んじゃない。
「怖がらせたいから作った」んでもない。
「一緒に支え合える関係でいたい」
それだけだ。
僕らは、線を引く。
でも、その向こうで待っている誰かを、あきらめない。
それが、支援を続けるということだと信じてる。
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