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引きこもり状態の患者との関わり方とは?看護のポイントを解説

2024.10.21 精神科訪問看護とは

訪問看護師として働く方の中で、引きこもりの状態の患者さまのところへ訪問したことがあるという方もいるでしょう。
「外へ連れ出すのが正解なのか」「外界との関わりを作るべきなのか」引きこもり状態である患者さまとの関わり方に、困惑したり悩んだりした場面もあるのではないでしょうか。

本記事では、引きこもり状態の患者さまとの関わり方や看護のポイントを解説します。
看護で悩んだ経験がある方や、訪問看護への転職を検討しており不安を抱えている方は、ぜひ参考にしてください。


引きこもりとはどういう状態?言葉の定義

引きこもりという言葉の定義がわからないという方もいるのではないでしょうか。
そもそも引きこもりは病気ではなく、状態を指す言葉です。

厚生労働省の平成22年度5月に策定された「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」によって設けられている
具体的な定義は、下記の通りです。

『就学、就労、家庭外での交遊などの社会的参加を回避し、原則的に6ヶ月以上家庭に止まり続けている状態を指す』

この定義は、他者と交わらない形での外出をしていてもよいとしています。



参照:厚生労働省「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」



参照:厚生労働省「「ひきこもり」の定義など」



参照:厚生労働省「ひきこもりとは」


引きこもりになったきっかけや原因の例

引きこもりの状態の方は、さまざまなきっかけや原因によって引きこもりになったケースも多く、子供の時の体験がきっかけであるケースも少なくありません。
原因を知ることで、看護師としても介入方法を検討しやすくなるでしょう。
主に引きこもりになったきっかけとして挙げられやすいのは、下記の通りです。

・いじめ
・人間関係
・精神疾患

上記はそれぞれ個別ではなく、重なっているケースもあります。
それぞれ解説していきます。


いじめ

主に小学校や中学校、高校などでのいじめを原因として不登校になり、そこから長期的な引きこもりに繋がっていくケースです。
子どもの頃からのいじめは、長期的な人格形成に影響を及ぼします。

自身の喪失や自己肯定感の低下に繋がり、対人関係に対する恐怖や人間不信、周囲からの目線に対する恐れなど、さまざまな引きこもりの原因に繋がっていき、精神疾患の罹患へと繋がっていく場合もあります。


人間関係

学生時代の人間関係だけではなく、家族との関係性や社会人として働き始めてからの人間関係、失恋などのプライベートでの人間関係などさまざまな場面の人間関係のトラブルが要因となる場合があります。


精神疾患

精神疾患が理由で引きこもりに繋がっている方の疾患は、主に下記のものが多いです。

・統合失調症
・不安障害
・うつ病
・双極性障害
・強迫性障害

それぞれの病気ごとに、なぜ引きこもりの状態になっているかの理由は異なるため、それぞれの理由や背景を知る必要があります。

例えば統合失調症の場合は、妄想や幻覚によって外出への強い不安や恐怖を感じているケースがあります。またうつ病の場合は強い意欲低下が原因になっていたり、不安障害や強迫性障害の場合は対人関係や強迫観念に対する強い不安が原因となっている場合もあるでしょう。

病気によって異なるだけではなく、患者さま個々によって違いがあるため、原因を知ることが看護においては重要なポイントとなります。



参照:厚生労働省「ひきこもりとは」


引きこもりの方への訪問看護での関わり方|看護のポイントを解説

ここまで引きこもりの方の定義やきっかけ、原因を解説しました。
引きこもりの方へ訪問して支援をするケースも多い訪問看護の現場ですが、関わり方がわからず不安と感じる看護師の方も多いでしょう。
次に引きこもりの方への訪問看護での関わり方のポイントを解説していきます。

関わり方に悩む看護師の方や不安を抱える看護師の方は、ぜひ参考にしてください。


無理に外に連れ出さずペースを合わせる

まず、引きこもりの状態から、無理に連れ出そうとしないようにしましょう。

精神的に安定していない・準備ができていない状態で連れ出すことは、患者さまに大きな負担を与えるだけではなく、訪問看護師に対する不信感を抱くきっかけにもなってしまいます。

まずは外に出ることを目的とするのではなく、患者さまの悩みや困りごとに注目し、患者さまのペースに合わせていくようにしましょう。



参照:一般社団法人日本小児心身医学会「ひきこもり」


引きこもり当事者の思いを優先する

引きこもり当事者である患者さま自身にとって、やりたいことを支援するようにしましょう。
例えば、「近くのコンビニにスイーツを買いに行ってみたい」「人が少ない時間帯にカフェでコーヒーを飲みたい」など挑戦したいことがあれば、それを大事にして一緒に挑戦してみるのも良いでしょう。
支援側の都合で、今日は学校に連れていく、買い物に連れていく、という外出をするのではなく、引きこもり当事者である患者さまの思いを優先してみるようにしましょう。


引きこもりの患者さまの家族の意見も伺う

当事者である患者さまだけではなく、家族としてもどうしていきたいか、どうなって欲しいかなどの意見も伺うようにしましょう。
家族としてこれまで悩んでいたことや困っていたこと、苦労していたことなどを伺い寄り添う家族看護も大事な視点です。
ただし家族と患者さまの関係性がよくない場合は、患者さまに不信感を抱かれないように関わり方を工夫する必要があります。


引きこもりの方への支援は訪問看護へ転職して経験を積むのがおすすめ

ここまで引きこもりの方の訪問における関わり方について解説しました。
最初のうちはどう関わっていくのが正解なのかわからず、悩む方も少なくないでしょう。実際に訪問看護師として働きながら、経験を積んでいくのが大切です。

また、引きこもりの患者さまへの支援は、チームとしてカンファレンスを重ねながら、統一した対応をしていく必要もあります。

『訪問看護ステーションくるみ』は、精神科に特化した訪問看護で、心強い仲間と一緒に働ける環境です。
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