不眠症の症状を徹底解説!原因、種類、改善策を専門家が分かりやすく解説
精神科訪問看護とは
「夜、布団に入ってもなかなか寝付けない」「夜中に何度も目が覚めてしまう」「朝早く目が覚めてしまう」という悩みを持つ方は多いでしょう。こうした症状は、不眠症かもしれません。この記事では、不眠症の症状について詳しく解説し、原因や種類、改善策まで分かりやすくご紹介します。質の高い睡眠を取り戻し、心身ともに健康な毎日を送るために、ぜひお役立てください。
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不眠症の症状が出る原因

不眠症は、単に「眠れない」というだけでなく、様々な要因が複雑に絡み合って生じるケースが多い症状です。ここでは、不眠症を引き起こす主な原因を、身体的、精神的、環境的な側面に分けて詳しく解説します。
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身体的な原因
不眠症は、身体の不調が背景となって起こることがあります。たとえば、関節痛や頭痛、腰痛などの慢性的な痛みは、寝返りや姿勢の維持を難しくし、痛みへの意識から寝つきを悪くする原因の一つです。アトピー性皮膚炎による強いかゆみも、夜中の覚醒を引き起こします。
さらに、睡眠時無呼吸症候群や喘息などの呼吸器疾患は、睡眠中に呼吸が止まったり苦しくなったりするため、深い眠りを妨げかねません。心臓病や腎臓病、甲状腺機能亢進症といった全身の病気も体内バランスを崩し、不眠につながります。
加えて、カフェインやアルコールの摂りすぎ、特定の薬(ステロイド、降圧薬、抗うつ薬の一部など)の副作用によっても、睡眠の質が低下する場合があります。
精神的な原因
精神的な要因も、不眠症に深く関わっています。一般的なのは、仕事や人間関係、将来への不安などによる「ストレス」です。ストレスは自律神経のバランスを乱し、体を興奮状態に保つため、寝つきの悪さや中途覚醒につながります。
また、「不安障害」や「うつ病」、「適応障害」などの精神疾患も不眠症の主要な原因です。これらの疾患があると、思考が堂々巡りになったり、気分が落ち込んだりしやすくなります。その結果、心身がリラックスできず、睡眠の導入や維持が困難になることも少なくありません。
このように、精神的な健康状態は、睡眠の質に直接影響を与える要素の一つであり、心のケアも不眠症改善には欠かせません。
環境的な原因
睡眠の質は、周囲の環境に大きく左右されるものです。たとえば、寝室の騒音は自覚していないほど小さくても脳を刺激し、深い眠りの妨げになります。一方で、街灯やスマートフォンの強い光は睡眠ホルモンのメラトニン分泌を抑え、自然な眠気が起こりにくい状態を招きます。
さらに、室内の温度や湿度も留意したいポイントです。暑かったり寒かったり、乾燥した環境では体がリラックスしづらく、深い睡眠が得にくくなります。枕やマットレスなどの寝具が体に合っていない場合も、違和感によって睡眠を妨げかねません。
加えて、海外旅行による時差ボケや、夜勤と日勤を繰り返す交代勤務のように、生活リズムが崩れる状況も体内時計を乱し、不眠を引き起こす原因となります。自宅の環境や生活パターンを整えるだけで改善が見られるケースも多くあります。
【症状別】不眠症の種類
不眠といっても、症状の現れ方は人によって大きく異なります。「寝つけない」「途中で何度も起きてしまう」「早朝に目が覚める」「ぐっすり寝た感じがしない」など、悩みの種類はさまざまです。ここでは、症状別に不眠症の種類をわかりやすく整理していきます。
入眠障害
入眠障害とは、寝床に入ってから眠りにつくまでに30分〜1時間以上かかる状態が頻繁に起こる症状です。いわゆる「寝つきが悪い」状態を指します。
これにより、翌日の日中に眠気や集中力の低下、疲労感といった影響が出やすくなる点が特徴です。ストレスや不安、生活習慣の乱れなどが主な原因として挙げられます。
中途覚醒
中途覚醒は、一度眠りについても夜中に何度も目が覚めてしまい、その後なかなか寝付けない状態です。一般的に、夜中に2回以上目が覚め、その後に再び眠りにつくまでに時間がかかる場合に疑われます。特に高齢者に多く見られる点が特徴です。
頻繁な覚醒は睡眠の質を大きく低下させ、日中のパフォーマンスに悪影響を及ぼします。
早朝覚醒
早朝覚醒とは、希望する時刻よりも2時間以上早く目が覚めてしまい、その後眠りにつくことができない状態です。例えば、朝7時に起きる予定なのに、毎日のように5時前に目が覚めてしまうといったケースが挙げられます。この症状も高齢者や、うつ病などの精神疾患を抱える方に多く見られます。
熟眠障害
熟眠障害は、十分な睡眠時間を取っているにもかかわらず「ぐっすり眠った感じがしない」「寝た気がしない」と感じ、日中に眠気や疲労感が残る状態を指します。睡眠時間は足りているのに、体の回復が追いつかないような感覚です。これは睡眠の「量」ではなく「質」が低下していることが原因であり、睡眠時無呼吸症候群やレストレスレッグス症候群などが背景にあることもあります。
不眠症の症状の診断方法
不眠症の疑いがある場合、まずはご自身の状態を客観的に把握することが大切です。ここでは、自宅でできる自己チェックの方法と、専門の医療機関で行われる検査について解説します。
自己チェック
ご自身の不眠の状態を把握するうえで、自己チェックは役立ちます。日々の睡眠パターンや日中の症状を記録しておくと、医療機関を受診する際の判断材料にもなります。
以下の項目に当てはまるかチェックしてみましょう。
- 寝付くまでに30分以上かかることが週に3回以上ある
- 夜中に目が覚めて、30分以上眠れない状態が週に3回以上ある
- 予定より早く目が覚めてしまい、その後眠れない状態が週に3回以上ある
- 十分に寝たはずなのに、日中に強い眠気を感じる
- 日中の集中力が低下したり、イライラしたりすることがある
- 睡眠の質の悪さが、仕事や学業、日常生活に支障をきたしている
また「睡眠日誌」をつけるのもおすすめです。就寝時刻、起床時刻、夜中に目が覚めた回数、日中の眠気などを毎日記録することで、ご自身の睡眠リズムや問題点を客観的に把握できます。
医療機関での検査
自己チェックで不眠症の可能性が高いと感じたり、症状が改善しない場合は、専門の医療機関を受診しましょう。不眠症の診療は、睡眠専門医、心療内科、精神科などで受けられます。
医療機関では、以下のような検査が行われることが一般的です。
- 問診:医師が睡眠に関する詳しい状況(いつから、どのような症状があるか、生活習慣など)を聴取します。睡眠日誌をつけている場合は、持参すると診断の助けになります。
- 睡眠ポリグラフ検査(PSG):睡眠中の脳波、眼球運動、筋電図、呼吸、心電図などを同時に記録し、睡眠の深さや質、睡眠時無呼吸症候群の有無などを詳細に調べます。入院して行うことが一般的です。
- アクチグラフィ:腕時計型やリストバンド型の機器を装着し、数日間〜数週間にわたって活動量を測定することで、睡眠・覚醒リズムを客観的に評価します。自宅で手軽に行える検査です。
これらの検査結果と問診を総合的に判断し、適切な診断と治療方針が決定されます。
不眠症の症状を治療する方法
不眠症の治療法は多岐にわたり、症状の原因や個人のライフスタイルに合わせて選択されます。ここでは、医療機関で受けられる主な治療法と、自宅でできる改善策について解説します。
睡眠環境の改善
質の良い睡眠を得るためには、寝室の環境整備が大切です。具体的には、寝室の温度を20℃前後、湿度を50〜60%に保つよう心がけましょう。また、光は睡眠を妨げるため、寝る前には部屋を暗くし、遮光カーテンを使用するのが効果的です。騒音も睡眠の質を低下させるため、耳栓の使用や、静かな環境作りを意識してください。さらに、快適な睡眠を得るには、自分に合った寝具(枕、マットレス、掛け布団)の選定も欠かせません。
生活習慣の改善
不眠症の改善には、日々の生活習慣の見直しが不可欠です。まず、毎日同じ時間に就寝・起床し、規則正しい生活リズムを確立しましょう。
日中に適度な運動も効果的ですが、就寝直前の激しい運動は避けましょう。また、カフェインやアルコールは睡眠を妨げる作用があるため、夕方以降の摂取は控えるべきです。就寝前にスマートフォンやパソコンなどの画面を見る「スクリーンタイム」も、脳を覚醒させてしまうため、避けた方がよいでしょう。
薬物療法
不眠症の症状が重く、他の方法で改善が見られない場合には、医師の判断のもとで薬物療法が選択されるケースががあります。主に用いられるのは、寝つきを良くする「睡眠導入剤」や、不安を和らげる「抗不安薬」、気分の落ち込みを改善する「抗うつ薬」などです。薬物療法は即効性がありますが、依存性や副作用のリスクもあるため、必ず医師の指示に従い、用法・用量を守って使用することが大切です。自己判断での中止や増量は絶対に避けましょう。
認知行動療法
認知行動療法(CBT-I)は、不眠症に対する非薬物療法として効果が科学的に証明されている治療法です。これは、不眠に関連する誤った考え方や行動パターンを修正する目的で実施します。
具体的なアプローチとしては「刺激制御法」で寝室を睡眠のみの場所として再認識させる方法が挙げられます。また「睡眠制限法」で一時的に睡眠時間を制限して睡眠効率を高める手段も一般的です。
そのほか「認知再構成法」では、不眠に対するネガティブな思考を現実的なものへと変えていきます。薬物療法に抵抗がある方や、薬物療法と併用してより根本的な改善を目指したい方にとって効果的な治療法といえるでしょう。
【セルフケア】不眠症の症状の改善策

不眠症の改善には、日々の生活の中で実践できるセルフケアが大切です。ここでは、自宅で手軽に試せる具体的な方法をご紹介します。
リラックス法
就寝前に心と体をほぐす時間をつくると、スムーズな入眠につながります。たとえば、38〜40℃ほどのぬるめのお湯に20〜30分ゆっくり浸かる入浴は、深部体温を一度上げ、その後に下がる過程で自然な眠気を引き出すうえで効果的な方法です。就寝の1〜2時間前を目安に済ませると、より眠りに入りやすくなります。
また、ラベンダーやカモミール、サンダルウッドなどのアロマを取り入れる方法もおすすめです。芳香浴や入浴時に使用すると、心地よい香りが緊張を和らげ、睡眠モードへの移行を助けてくれます。さらに、静かな場所での瞑想や深呼吸もよいでしょう。ゆっくりとした呼吸に意識を向けることで心拍数が落ち着き、頭の中の雑念が整理されやすくなります。
寝る前の軽いストレッチも、身体のこわばりをほぐし血行を促すよい習慣です。激しい運動ではなく、筋肉をゆっくり伸ばす動きを選び、心身ともにリラックスできる状態を整えましょう。
食事
日々の食事も睡眠の質に大きく影響します。睡眠を助ける食品を積極的に取り入れ、逆に避けるべき食品を知っておきましょう。
睡眠を助ける栄養素としては、セロトニンの原料となるトリプトファンや、神経の興奮を抑えるマグネシウムが挙げられます。トリプトファンは、牛乳、チーズ、大豆製品、ナッツ類、バナナなどに豊富です。マグネシウムは、海藻類、ナッツ類、ほうれん草などに含まれます。夕食は就寝の3時間前までに済ませ、消化の良いものを心がけましょう。
一方で、就寝前に避けるべき食品もあります。カフェイン(コーヒー、紅茶、エナジードリンクなど)は覚醒作用があるため、夕方以降の摂取は控えるべきです。アルコールは一時的に寝つきを良くする効果があるように感じられますが、睡眠の質を低下させ、中途覚醒の原因となるため、避けるのが賢明です。また、消化に時間がかかる脂質の多い食事や、刺激の強い香辛料も、胃腸に負担をかけ、睡眠を妨げる可能性があります。
睡眠導入を助けるグッズ
快適な睡眠環境を整えるために、市販の睡眠グッズを取り入れるのも効果的です。例えば、アイマスクは光をしっかり遮断できるため、視覚からの刺激を減らし、より深い眠りへ導きます。周囲の物音が気になる場合には耳栓が役立ち、家族の生活音や外の騒音が響きやすい環境でも、落ち着いて眠れる空間をつくり出せるでしょう。
また、リラックス効果のある香りを広げるアロマディフューザーは、自然と心を落ち着かせ、入眠をサポートするアイテムとして人気です。あわせて、加湿器を使って湿度を50〜60%に保つと、乾燥による喉や鼻の刺激を防ぎ、睡眠の質を守りやすくなります。さらに、遮光カーテンは朝日や街灯の光を遮り、睡眠ホルモン・メラトニンの分泌を助けるため、安定した睡眠につながります。
抱き枕を活用する方法もおすすめです。体への負担を軽くし、自然な寝姿勢を保てるだけでなく、包まれるような安心感が心の緊張を和らげてくれます。
これらのアイテムは、自分に合うものを選ぶことが大切です。いくつか試しながら、最も心地よく眠れる組み合わせを見つけてみましょう。
不眠症の専門医を受診する目安

不眠症の症状は、日々のストレスや一時的な生活リズムの乱れからくることもありますが、それが慢性化すると心身に深刻な影響を及ぼす可能性があります。ご自身の状態がどの程度で専門医の助けを借りるべきか、判断に迷う方もいるかもしれません。ここでは、医療機関を受診する具体的な目安について解説します。
いつ、どのような場合に受診すべきか
不眠の症状が一時的なものではなく、日常生活に支障をきたしている場合は、専門医への相談を検討しましょう。特に、以下のいずれかの状態に当てはまる場合は、早めの受診をおすすめします。
- 不眠が1ヶ月以上続いている場合: 寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、朝早く目が覚めてしまうといった症状が週に3回以上あり、それが1ヶ月以上継続している場合は、慢性不眠症の可能性があります。
- 日中の生活に支障が出ている場合: 睡眠不足によって、日中に強い眠気を感じたり、集中力が低下したり、仕事や学業のパフォーマンスが著しく落ちていると感じる場合。また、イライラしやすくなるなど、精神的な不調を伴う場合も受診を検討しましょう。
- セルフケアを試しても改善が見られない場合: 睡眠環境の改善やリラックス法の導入など、ご自身でできる対策を講じても、症状が改善しない場合は、専門的なアプローチが必要な可能性があります。
- 精神的な不調を伴う場合: 不眠とともに、気分の落ち込み、不安感、意欲の低下などの精神的な症状が強く現れている場合は、うつ病などの精神疾患が背景にある可能性も考えられます。この場合、心療内科や精神科を受診することが重要です。
専門医に相談することで、不眠の原因を特定し、適切な治療法や改善策を見つけることができます。一人で抱え込まず、専門家のサポートを受けることで、質の高い睡眠を取り戻す第一歩を踏み出しましょう。
よくある質問
不眠症に悩む多くの方が抱える疑問や不安に対して、Q&A形式で詳しく解説します。
Q1: 睡眠薬を飲み続けるのは危険ですか?
睡眠薬の服用は、医師の指示のもと適切に行えば、不眠症の症状を改善し、生活の質を高める上で有効な手段です。しかし、自己判断での長期服用や増量は、依存性や副作用のリスクを高める可能性があります。
睡眠薬には、効果の持続時間や作用機序が異なる様々な種類があります。医師は、患者さんの症状や体質に合わせて最適な薬を選択し、服用量や期間を決定します。漫然と服用を続けるのではなく、定期的に医師の診察を受け、現在の状態や薬の効果、副作用について相談することが重要です。自己判断で服用を中止したり、量を増やしたりすることは避け、必ず医師の指導に従いましょう。
Q2: 不眠症は自然に治りますか?
一時的な不眠と慢性的な不眠症は区別して考える必要があります。ストレスや環境の変化などによる一時的な不眠であれば、原因が取り除かれれば自然に改善することもあります。
しかし、不眠の症状が1ヶ月以上続き、日常生活に支障をきたしている場合は「慢性不眠症」と診断される可能性が高く、自然治癒は難しいケースがほとんどです。慢性不眠症は、生活習慣の乱れ、精神的な要因、身体的な疾患など、複数の原因が複雑に絡み合って生じることが多く、適切な診断と治療が必要です。放置すると、日中の集中力低下、イライラ、うつ病のリスク増加など、さまざまな悪影響が生じる可能性があります。
Q3: 昼寝は不眠症に影響しますか?
昼寝は、疲労回復や集中力向上に効果的ですが、不眠症の症状に影響を与える可能性があります。短時間の適切な昼寝は、夜間の睡眠を妨げにくいとされています。
理想的な昼寝の時間は15分から30分程度で、午後3時前までに済ませるのが良いとされています。これより長く寝すぎたり、夕方以降に昼寝をしたりすると、夜間の睡眠リズムが乱れ、寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めやすくなったりすることがあります。不眠症の方は、昼寝の取り方に注意し、夜の質の高い睡眠を優先することが大切です。どうしても眠気が強い場合は、仮眠の時間を短くする、もしくは、一度起きて体を動かすなどして、夜間の睡眠に影響が出ないよう工夫しましょう。
まとめ
不眠症は、「眠れない」という単一の問題ではなく、寝つけない、途中で目が覚める、早朝に起きてしまう、熟睡感が得られないなど、いくつかのタイプに分けられます。背景には、精神的ストレスや身体の病気、生活習慣、睡眠環境の乱れなど多様な原因があり、自分の症状や状況を正しく理解することが改善の第一歩です。
不眠をそのままにせず、セルフケアと専門的なサポートの両面から向き合う姿勢が大切です。できることから少しずつ取り組むことで、質の高い睡眠を取り戻し、心身ともに健やかな毎日へ近づいていけるでしょう。