精神科の訪問看護のニーズは徐々に高まってきていると同時に、興味を持つ看護師も増えてきています。しかしながら、訪問看護は実際どのような目的で利用されているのか気になる方もいるでしょう。
今回は、精神科の訪問看護の目的や役割、やりがいについて紹介していきます。
精神科の訪問看護の目的とは?
精神科の訪問看護の目的は大きく分けて以下の3つがあります。
・精神状態の悪化・再発予防
・生活状況の把握とサポート
・家族支援
それぞれ解説していきます。
精神状態の悪化・再発予防
精神疾患を持つ方は、在宅で過ごし社会生活に慣れていく中で様々な出来事を経験しますが、その中で精神状態が不安定になることがあります。
訪問看護では、定期的に看護師が介入することにより悪化しないように精神症状の観察をしていくことが目的です。
また、再発予防のため、精神症状のセルフコントロールの支援も行います。
生活状況の把握とサポート
利用者さまは、自身の症状と向き合いながら生活をしていくことで精一杯になり、セルフケアが上手くできない方がいるため、生活状況の把握をして状況に応じた対策をとります。
また社会生活を送る上で、人間関係は欠かせません。感じていることや、うまくいっていること・いっていないこと、ストレスに感じていることなどを傾聴をします。
精神症状が揺らぎやすい方やトラブルを起こしやすい方には、どうしたら人との付き合いがうまくできるか、解決策を一緒に考えます。
家族支援
精神疾患を持つ方は、1人暮らしや家族と同居、グループホームに住まれている方など様々ですが、多くの場合は親や兄弟がいます。
よく関わるご家族の中でもご家族の精神疾患への理解度やご本人との過去のトラブルなどにより、ご本人とうまく関係性が築けない場合があり、特に支援に積極的な方ほど疲弊する場合もあります。
本人の精神症状に対する向き合い方やコミュニケーションの取り方、悩んでいることをご家族から傾聴し、支援していくのも重要な看護師の役割です。
精神科の訪問看護の実際のケア内容とは?
精神科の訪問看護で実際に行われているケアの内容を紹介します。
身体・精神状態の把握
精神科は内服管理が重要となるため、内服できているか確認し、場合によっては内服介助・内服の促しをします。
また、生活が乱れやすく生活習慣病になっている方も多いので、フィジカルアセスメントも必要です。
生活状況の把握・セルフケア支援
食事摂取・調達できているか、睡眠状態・幻聴など睡眠を阻害するものはないか、入浴できているかなど、日常生活を送れているか確認します。
部屋を片付けるのが苦手な方だと、ゴミ出しができない場合があり不衛生になりやすいため、環境整備の介助をすることもあります。
また、病院の定期受診にいけているか、次の受診日はいつかも確認します。
社会参加へのサポート
社会参加が円滑にできるようにサポートします。人間関係のトラブルやストレスがないか、またその対応・対策を一緒に考えることが大切です。グループホームに住んでいる方は同居人との関係性もみていきます。
作業所・就労支援やデイサービスに行けているか、出席状況や参加状況をみて、あまり参加できていない場合にはどうすれば行けるようになるか、何が問題なのかを一緒に考えます。
またヘルパーとも協力しながら、なかなか一人で外出できなかったり、うつ状態が強く外出できなかったりするケースでは、買い物や散歩などの外出の促しを行うこともあるでしょう。
家族支援
利用者さまのご家族の精神的なサポートを行います。利用者さま本人に関する悩みを聞いたり、トラブル時や緊急時のサポート体制を話し合っておくのも重要です。
同居している場合には直接お会いし、そうでない場合には訪問時間外で電話、場合によってはメールなどでフォローします。
多職種連携
本人が生活できるのも、看護師だけでなく多職種の支えがあってこそと言えるでしょう。人によって違う一面を見せる方もいるため、その人となりを把握するためには多職種間での連携が必須です。
担当医・病院への普段の状況の報告・指示をあおぐことはもちろん、ケースワーカー・作業所職員・デイサービスとの情報交換や連携が重要です。多職種を交えてケアの方向性を一緒に考えていきます。
精神科の訪問看護のやりがいとは?
精神科の訪問看護を利用される方には、症状が落ち着いている方もいれば、強く症状が出ているにも関わらず入院できない・しない方もいます。
最後に、精神科の訪問看護にしか味わえないやりがいを紹介していきます。
1人1人とじっくり向き合ってサポートできる
精神科病院の看護だと、身体的な処置や多くのケアに追われて1人1人の要望に向き合うことがなかなか難しいでしょう。
精神科訪問看護では訪問時間内でじっくり話ができ、その人の価値観や考え方、物事の解決パターンを深く知った上で、その人にあった提案をしやすくなります。
長期的な関わりで症状が改善することがある
精神科の訪問看護の大きな特徴は、入院時以外では介入終了になることは少なく、長期でかかわるケースが多い点です。年単位での人間関係を構築していくなかで、徐々に改善がみられることがあり、長期的な関わりの中で変化が生まれた時には強くやりがいを感じられるのではないでしょうか。
看護師の個性やコミュニケーションが活かせる
精神科の訪問看護はコミュニケーションがメインです。看護師も1人の人間であり、性格や考え方、訴えに対する返答の言葉・表情・声のトーンは、個人によって異なります。よって、看護師個々の裁量による場面が大きく、それぞれの個性やコミュニケーション能力を活かせるため、やりがいに感じられるでしょう。
看護師主体でケアができることがメリット
今回は、精神科の訪問看護の目的や役割、やりがいについて紹介していきました。
看護師が主体で関わっていく仕事なので、しっかり1人1人に向き合ってケアをしていきたい人にはおすすめです。
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