訪問看護師は質の高いケアを提供するため、さまざまな機関・職種と連携し、利用者さまの情報やサービスを共有しています。訪問看護に関わる連携について理解しておくことで、利用者さまへ適切なケアをスムーズに提供できるでしょう。
この記事では、訪問看護ステーションが連携する機関や職種について解説します。
精神科訪問看護領域の連携先について詳しくご紹介しますので、興味のある方はぜひ参考にしてください。
精神科訪問看護ステーション特有の3つの連携機関
精神科訪問看護ステーションでは、通常の訪問看護ではあまり関わらない機関とも密に連携をとる必要があります。精神疾患の利用者さまは身体の問題だけでなく、心の問題や社会復帰などに対しても支援する必要があるためです。
この章では、精神科訪問看護ステーション特有の連携機関について解説します。
就労移行支援事業所
就労移行支援事業所は、知識や技能の訓練を実施して、一般企業への就職を目指す方をサポートする機関です。精神疾患により就職・復職が困難な方に対して、仕事の適性を見極めたり業務の実習を行ったりしています。
就職までを支援する事業所と、就職後も継続でサポートする「就労継続支援A・B型」があり、利用者さまの状況に合わせた就労支援が提供されています。
訪問看護師が介入することにより「医療連携体制加算」の対象となるため、精神科の訪問看護師は関わる機会が多いでしょう。
移動支援事業
移動支援事業とは、障害のある方が円滑に外出できるよう支援する事業のことです。障害のある方が社会参加や余暇活動、病院への通院に支援を必要とする場合に、付き添いや送迎バスでの移動を提供します。
精神科訪問看護では、統合失調症やパニック障害などにより、公共交通機関での移動が難しい方に対して、移動方法を提案するケースもあります。
日常生活自立支援事業
日常生活自立支援事業は、主に都道府県や指定都市社会福祉協議会が運営し、福祉サービスの利用援助や金銭管理などのサービスを提供する事業を指します。福祉サービスや金銭の管理を必要とする利用者さまが、内容の理解や手続きを行えない場合に利用するサービスです。
精神疾患が原因で、日常生活に支障をきたす利用者さまも少なくありません。そのため訪問看護を実施するなかで、利用者さまがスムーズに日常生活を送れるよう、日常生活自立支援事業所の利用を提案する場合もあります。
訪問看護ステーションが連携することの多い機関
精神科領域の事業所に関わらず、訪問看護ステーションではさまざまな機関と連携し、利用者さまの生活を支えています。
この章では、一般的に訪問看護ステーションが連携することの多い機関について見ていきましょう。
医療機関
訪問看護師は、病院やクリニックなどの医療機関と情報交換することが非常に多い職種です。
訪問看護師は一人で利用者さまを看護する場面が多く、既往歴や入院中の経過など、詳細な健康状態を把握しなければなりません。訪問看護は「主治医の指示書」に基づいたケアの提供が必須なので、医師との連携頻度は多くなるでしょう。
利用者さまの状態変化や問題があれば、医者をはじめとする医療機関へ早急に連絡することが大切です。
福祉施設
訪問看護を必要とする利用者さまは、自宅だけでなく福祉施設に入居している方もいます。なかには、利用中の健康状態によっては途中で福祉施設に入居する場合もあるでしょう。
施設の看護師へ利用者さまの健康状態を伝えたり、入居先で訪問看護を継続する場合に情報を共有することも訪問看護師の重要な仕事です。
地域包括支援センター・居宅介護支援事業所
介護保険を利用する訪問看護では、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所と連携するケースもあります。
ケアマネージャーとケアプランの内容を調整したり、利用状況を共有したりと、利用者さまへ最適なケアを提供するために連携する機関です。
訪問看護ステーションが多職種と連携する必要性
訪問看護を含む「在宅医療」や「在宅介護」では、多職種が連携し、提供するサービスの質を高めることが大切です。地域に住む利用者さまの生活は、看護師の視点だけではサポートしきれない点も多く、さまざまな職種が協力して支援する必要があります。
連携により訪問看護師が介入できる視点も増え、より質の高いサービスを提供できるでしょう。どのような機関が利用できるのか、どのような状況で連携が必要になるのかを理解したうえで、利用者さまに必要な支援を検討することがポイントです。
訪問看護師の多職種連携については「精神科訪問看護師の多職種連携における役割とは?多職種連携の重要性や実際に関わる職種も解説」でも詳しく解説しています。
訪問看護ステーションは連携機関との協力が大切
質の高い看護を提供し、利用者さまの生活を支えるためにも、地域の医療機関や多職種との連携は欠かせません。さまざまな機関と連携するのは簡単ではありませんが、うまくやり取りすることで利用者さまの個別性に配慮した支援を提供できるでしょう。
特に、精神科訪問看護では、生活や社会への自立を支援するためにさまざまな機関と連携するため、やりがいを強く感じられます。在宅医療に興味のある方は、『訪問看護ステーションくるみ』で一緒に働きませんか?気になる方は、こちらからお気軽にお問い合わせください。