パニック障害を持つ方は突発的に強い不安や恐怖を感じ、うまく日常生活を送れないことがあります。
この記事では、パニック障害の方を看護する際のポイントを解説します。
訪問看護師ならではの役割についてもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
パニック障害の方における看護の必要性
パニック障害は、強い不安恐怖などの精神的症状に加えて、身体的な症状が短時間に生じる「不安障害」の一種です。
パニック障害は主に、以下の3つの特徴が見られます。
・パニック発作
・広場恐怖
・予期不安
パニック発作は、瞬間的に強い不安や恐怖を感じ、精神的・身体的な症状が現れる発作です。一方で広場恐怖症は、パニック発作が生じた場所や状況を避けるようになる状態、予期不安は「発作が起こったらどうしよう」と障害そのものに不安を感じてしまう状態を指します。
人によって症状や不安を感じる要素は異なるため、患者さまに合った関わりや看護を検討することが大切です。
看護が必要となるパニック障害の症状
パニック障害で生じる精神症状と身体症状は、以下の通りです。
精神症状 | 身体症状 |
・「死ぬかもしれない」と恐怖を感じる
・正気を失うことを怖がる ・自制心がなくなるような気がする ・現実味を感じない ・違和感がある ・自分から離脱する感覚がある |
・胸痛や胸部不快感
・めまいやふらつき ・窒息する感覚 ・悪寒や顔面の紅潮 ・悪心や腹部の不快感 ・手足のしびれや震え ・動悸や心拍数増加 ・息切れまたは息苦しさ ・発汗 |
これらの症状に冷静に対応できるよう、特徴や患者さまごとの症状を頭に入れておきましょう。
参照:国立保健医療科学院/パニック障害(パニック症)の認知行動療法
パニック障害の方に対する看護のポイント
ここでは、パニック障害の方を看護するポイントを3つ紹介します。
症状を細かくアセスメントする
パニック障害の程度や症状のあらわれ方、日常生活への影響などは人それぞれです。日常生活のどこが障害されているか、どのような看護を提供するべきかなどを細かくアセスメントする必要があります。
特にパニック発作が出現するきっかけのアセスメントは大切です。不安を感じたシーンや出来事など、発作が起きたときの様子をこまかく観察し、原因を把握しましょう。
「パニック障害重症度尺度」などを使用し客観的に評価すると、患者さまごとの障害の程度がわかりやすくなります。
穏やかなコミュニケーションを意識する
パニック障害を抱えている方とのコミュニケーションは、優しく落ち着いて実施するのがポイントです。
否定するような言葉や不安をあおるような発言、大きな声や強い言葉遣いは発作の引き金になります。相手が落ち着いて話せるようやわらかな態度で接し、傾聴や相手の意思を尊重する会話を心がけましょう。
発作が起きたら落ち着いて対処する
ケア中にパニック発作が起こった場合は落ち着いて対処しなければいけません。
患者さまの症状や様子に影響され慌てると、不安を強め症状を悪化させるおそれがあります。
発作が生じた場合は「深呼吸を促す」「優しく言葉をかける」「背中をさする」などの対応をとり、発作が落ち着くまで冷静に対応しましょう。
訪問看護師はパニック障害の方の精神的な支えとなる
訪問看護師は、パニック障害を抱えながら生活する方の精神的な支えになります。
パニック障害になると、自宅にいる間にも発作を生じてしまう場合もあるでしょう。訪問看護ステーションによっては、発作を生じた方に対して電話対応や臨時訪問などのサポートを実施しているところもあります。
パニック障害を抱える患者さまにとって「訪問看護師がついている」ことは安心材料となり、生活を送りやすくなるでしょう。
関連記事:精神科特化型訪問看護ステーションとは?看護師の役割や仕事内容を解説
パニック障害の方に対する訪問看護師の役割
この章では、パニック障害を持つ方に対する訪問看護師の役割について解説します。
日常生活の自立を支援する
パニック障害の方が、自立した生活が送れるよう支援することも看護師の重要な役割です。
服薬に関するサポートや、外出・買い物への同行など、患者さまの調子を伺いながら日常生活への復帰を支援します。
自立後の再発を予防する
パニック障害は一定期間発作が生じない場合があり、自立後に再度症状が出現する可能性があります。
環境整備や心理面のサポートを実施し、発作を予防するための支援も大切です。
家族の協力を得られるようサポートする
家族がいる方の場合、パニック障害についての理解と協力を得ることで、障害の克服につながります。
パニック障害がどのような精神疾患で、どういった配慮が必要か説明しましょう。家族の受け入れ状態や協力体制を確認しておくことも大切です。
パニック障害の方への看護ではポイントを押さえておくことが大切
パニック障害を持つ方は、急に訪れる強い不安や恐怖から日常生活に支障をきたす可能性があります。患者さま一人ひとりに合った看護を提供することが大切です。
訪問看護師は在宅で暮らす利用者さまに対し、自立に向けたさまざまなサポートを提供します。「在宅医療に興味がある」「パニック障害の患者さまを支えたい」とお考えの方は、『訪問看護ステーションくるみ』で一緒に働きませんか?ぜひこちらから、お気軽にお問い合わせください。