大阪市全域を訪問区域とする『訪問看護ステーションくるみ』の代表、中野誠子が綴る『社長エッセイ』第22弾!
私たちの仕事ってなんだろうと考えた
春って近づいてくるたびに周りも暖かくなるし、お洋服の色も明るくなるし、うれしい季節ですね♪
その季節の足音を感じる今日この頃。
私もなんだかワクワクして「今年こそはお花見に行くんだ🌸」という、固い決意をしている中野です。
今回から新しいテーマ『訪問看護である理由』について語っていきたいと思います。
このテーマを聞いたときにまず私たちの仕事について考えましたので、今回はそのお話をしていこうと思います。
私たち看護師の仕事の一つに療養上の世話があります。
療養とは「病気やけがの手当てをし、からだを休めて健康の回復をはかること。」とあります。
引用:goo辞書『療養』https://dictionary.goo.ne.jp/word/療養/
では、人は療養をどこでするのだろうと考えたときに真っ先に家だと考えました。
病院はあくまでも治療をする場所であり、患者さんにとっては非日常なわけです。
よく考えると大部屋に他人と一緒に衣食住をともにして、自分のスペースがないと感じるなか、治療に励まなければなりません。
ゆっくりできないですよね。
その患者さんたちが病院での治療を終えたあと、どこに帰るのかというと「家」です。
ゆっくりと自分のペースで好きなことをしながら健康回復に努める。
家こそが私たち看護の力が発揮できる場所ではないかと考えたとき、訪問看護が頭に浮かび、家で生活をする方の支援ができればいいなと感じていました。
しかしその反面、不安も多く出てきました。
自分のペースで生活ができる「家」だからこそ、そこに介入するとなると……。
利用者さんがどうしてほしいと思っているのかがわからないと、支援が支援じゃなくなると感じたのです。
支援がお節介や迷惑になってしまいます。
気持ちがしんどいときにお伺いして、自分の言いたいことが言えるだろうか?
こうしたことを考えつづけているうちに、これって自分たちがする直接的な支援のことしか考えていないんじゃないかと気付き、ハッとしました。
私たち看護師ができることを整理しながら考えた結果、「環境調整」が大きな仕事だと考えました。
そして「利用者さんが23時間30分を自分で考えて生活するために、私たちが30分で何をするかを考えること」が看護を考えるうえで大きな軸となることがわかりました。
地域で生活をされている方の家ではなく「人生にお邪魔する」という意識を持ちながら、その方が今、困っていることを聞き、どうしたいかを聞きながら支援を一緒に考えることこそが訪問看護の醍醐味であり、それが看護師ができる面白さであり難しさだという考えにいきついたとき、やっぱり訪問看護でやっていきたいと思ったのです。
その後、「訪問看護ステーションを」支援を行うスタッフの目線だけでなく、看護師の社長としてマネジメントを行う立場として考えていくということも必要になりました。
支援を行ううえで大切なのが現場の意見です。
現場で実際に看護を行うスタッフが感じてアセスメントしたことを基に、支援に向かって考える。
そうなると私の仕事の一つに「仕事をまかせる」という課題が出てきました。
これまで、自分で仕事をしたほうが早いとすべて「自分でやります」と言ってきた私にとって、任せることはとても難しかったです。
今までの自分のままでは間違いなくできなかっただろうし、ここはあえて役職がついたからこそできたことだと思っています。
そうは言っても、もちろん役職がついていきなりできるようになったわけではありません。
仕事を任せるうえで必要な、相手を信じること。
まずは信じることができるように、積極的にコミュニケーションをとることを意識しました。
くるみに在籍してくれている看護師は経験もさまざまなので、もちろん考え方も一人ひとり違います。
その看護師一人ひとりの考えを知ること、その結果に至るまでのプロセスを聞くことで、だんだん信じることができるようになり、安心して任せることができるようになりました。
こうして、今日も現場で看護を行ってくれている看護師たちから、いろいろな話を聞き、支援を考える……。
改めて、「環境整備」の大切さを実感しているところです。
私の大好きな理論家の一人、フローレンス・ナイチンゲールが「環境整備は看護の基本」と考えています。
私は看護師になってから何回も看護覚書を読み返し、環境整備を大切に看護を行ってきました。
私も環境整備は単なる環境を整えるだけでなく、利用者さんが安心・安全な生活が送れるための支援であり、環境整備の質は看護の質だと思っています。
いろんなことを書きましたが看護師にはさまざまな仕事があると思っています。
これと決めてかかるよりは、これも仕事かな? と考えながら支援をしていくほうがいいと感じています。
常に「利用者さんにとって」を考えることが、私たちの最大の仕事なんだろうなと思っています。
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