大阪市全域を訪問区域とする『訪問看護ステーションくるみ』の代表、中野誠子が綴る『社長エッセイ』第36弾!
みなさんこんにちは。
暑くないですか?(笑)
9月も中旬になるのに真夏日といわれるぐらい気温が高く、私の大好きな秋が短くなるのが嫌で嫌でしょうがない中野です。
さて今回からテーマをガラッと変えます。
私の人生に大きな影響を与えてくれた方との出会いについてお話をしていこうと思います。
Mr.Childrenと濱脇、石森の話はしましたのでもういいですね。
今回は精神科で出会ったお二人の話をしていきます。
利用者さんとの関わりについてはYouTubeで話していますのでそちらを見ていただけますと嬉しいです。
ではまず一人目。
私が初めて配属された病棟で出会った看護師のHさんです。
私のプリセプター(※1)をしてくださいました。
Hさんは私よりかなり年上で、初めてお会いしたときの印象は「めっちゃ怖そう……😨」。
日勤で一緒になることも多く、夜勤も慣れるまではほとんど一緒でした。
Hさんとの出会いがどうして私の人生に大きく影響を与えたのかといいますと……。
Hさんから最初に教わったのが「仕事への向き合い方」だと感じています。
新人看護師として働きはじめたばかりのころの私は、学校で学んだこと以外に覚えることがあまりにも多すぎて焦っていました。
不器用な私ははやく仕事を覚えて迷惑をかけないように、と必死にメモを取っていました。
そんな私を見たHさんはある日「中野さん、どうしてそんなにメモを取ってるの?」と言いました。
そのときの私は、「え? どういうこと?」と思いましたが、「自分が仕事を覚えたいから」と伝えました。
するとHさんは「それだけ?」と。
Hさんからの思わぬ問いかけにパニックになりながらも「それだけです」と答え、モヤモヤしながら働きました。
それからも仕事を覚えるためにメモを必死に取っていたのですが、いまいち仕事を覚えられず困ることが多かったです。
数日後、またHさんから「もう一回聞くよ。なんでメモを取ってるの?」と聞かれました。
私はまた「仕事を覚えたいからです」と、あの日と同じように答えました。
Hさんは「だからダメなのよ。この前から何か変わった?」と。
そのときの私もまた「すみません……」と言うしかありませんでした。
しかし、そのあとの私は、自分自身で振り返りをしてHさんの言葉の意味を考えました。
Hさんはなぜ私にあの質問をしたんだろう?
考えても考えても、Hさんの言葉の意味がわからなかった私は、勇気を振り絞ってHさんに聞きにいくことにしました。
「一生懸命考えたけれど、わかりませんでした。教えてください」
Hさんは「あなたの行動の主語は誰?」と言い、私はその言葉にハッとしました。
「私や!! 自分のことしか考えてない!!」
そのことにやっと気づけたのです。
「わかった?」と聞かれ、私は涙が止まりませんでした。
私ははやく仕事が覚えたいと思い、仕事の手順や準備物品を必死にメモしていました。
そこに患者さんがいなかったのです。
それを教えてくださいました。
その後も、自分の考えがうまくまとまっていないときやモヤモヤしているときは、必ずHさんが来て話をしてくださいました。
当時の未熟だった私は、時にはいじめられていると感じることもありました。
2年目になって後輩もでき、少しずつ自分でできることが増えて、スムーズに仕事ができるようになってきました。
当時の私は「なんでうまくいったんだろう?」と感じていましたが、理由はいまいちわかっていませんでした。
まだまだ必死に業務をこなしていたからですね。
その後病棟を異動することになり、Hさんとは離れました。
離れてから気づいたのですが、Hさんは私の仕事を見ながら『意味付け』をしてくださっていたのかな、と感じています。
私がよく学生やスタッフに「その行動の目的は何? どうしてそう考えたの?」と言っていますが、これは全部Hさんに教わったことです。
学生やスタッフに言いながら自分自身にも「自分軸になっていないか?」「考えている先に患者さんや利用者さんがいるか?」を問いかけています。
私は必死になりすぎると視野が狭くなる特性があると思っています。
よくいうと集中力があるとも言えます。
「その先に患者さんはいるのか?」を教えてくださったHさんは、私の看護師人生に大きな影響を与えてくださった人です。
またお会いすることができたら、少しは成長した姿が見せられたらいいなと思っています。
さて次は異動した病棟で出会った看護師さんの話をします。
※1 プリセプター …… 先輩看護師が新人看護師の指導する役割を担う人
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