大阪市全域を訪問区域とする『訪問看護ステーションくるみ』の代表、中野誠子が綴る『社長エッセイ』第41弾!
本当だったら少しづつ季節が移り変わっていくことで身体も順応していくのに、最近の気候は暑さも寒さも急に訪れることが多くて、その急激な変化に心身ともに驚かされる日々です。
もっと日本の美しい四季を感じながら毎日を穏やかに過ごしていきたいと思う中野です。
さて今回は、看護学校での出会いの中で今の私を形成する大きな影響を与えてくれた方についてお話をしていきます。
その方を初めて見たときは、私が学生時代に怖いと思っていた先生に似ていたため、この先生もきっと怖いだろうなという先入観を持って接していました。
今思えばとても失礼な話ですよね。
でも、実際にお話ししてみると全然怖くなくて「よかったぁ」とホッとしたのを覚えています。
”その方”とは、T先生です。
T先生との思い出の中で印象深いのは「始業前と仕事終わりのミニカンファレンス」です。
私が過ごした精神科や施設では約7割が紙カルテを使っていました。
そのためいつも始業の1時間前には職場へ行き、夜勤の看護師さんたちの邪魔にならないように避けながら必死に情報を集めていました。
その癖は今でも抜けません。
1時間前には職場に着いていないとソワソワして、吐きそうになります(笑)。
学校に就職したときも、もちろん同じように1時間前には着いていました。
すると、そこにはいつもT先生がいて、いつしか自然に話をするようになりました。
T先生と話をする機会が増えたことで、T先生が何を考えて、どのような思いで学生さんと関わっているのかを知ることができました。
また、私が悩んでいたときも、私の思考を整理してくださったこともあります。
私にとって朝と帰り際のT先生とのお話は、楽しく、学びの時間になっていました。
そんなある日、外部研修に参加したときのことです。
研修中、「これ知ってる……?」と思う内容がいくつも出てきました。
「なんでかな?」とその理由を考えたとき、真っ先にT先生の顔が浮かびました。
日々T先生とお話ししていた内容が研修の内容と繋がっていたのです。
実践の中で悩み、それをT先生に解きほぐしてもらうことで疑問点が明確になり、そのおかげで研修内容がスッと頭に入ってきたのだと思います。
「実践なくして学びなし」とはよく言ったものです。
毎日悩み、考え、うまくいかなくて悔しい思いをしながらもリフレクションを行い、内省を深めることで理論と実践を結びつけられるようになったと感じています。
しかし、振り返りをしているつもりでも学びに繋がらず、解決策があまり役に立たないと感じることもありました。
その理由を考えると、自分を客観視できていないことが大きかったのだと今は思います。
自分の感情に振り回され、できなかった自分を責めるあまり、周りが見えなくなっていました。
T先生と話をすると、まず「できているところ」を伝えてくださっていました。
それが純粋に嬉しかったですし、その後の指摘もスムーズに入っていくような感覚がありました。
T先生のように、相手の話を聞いてさまざまな視点からすぐにフィードバックをするためには、豊かな視点をもつことが必要なんだと思います。
一方で、私は自分に自信がなく、できていないところばかりに目が向いてしまっていたため、そのような視点をもつことが難しかったのです。
そこで私はまず「自分を認める」ということから始めました。
できていることも、できていないことも「受け入れる」努力をしました。
そうすると、自分にも他人にも優しくなり、自分自身の心境にも変化が現れ、考え方が柔軟になっていきました。
もともと頑固でこだわりが強い性格だった私にとって、この変化はとても大きいものでした。
当時20代だった私では考えられなかったような、他者の意見を自然に受け入れられる柔軟性が身につきました。
それができたのも、目の前にお手本となるT先生がいてくださったからです。
学校を辞めるとき、T先生から教わった大切なことは、「教えたい気持ち」よりも「相手が何を知りたいのか、その興味関心から学習ははじまる」という考え方でした。
「共育」を行ううえで大切なことを教えてくれたT先生は、学校を辞めるときも私の背中を押してくださいました。
もう一生会えないと思っていましたが、今では一緒に働いています。
人生ってわからないものですね。
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