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【社長エッセイ】Vol.76 「頑張る」を分解してみる|訪問看護ステーションくるみ

くるみの社長エッセイ精神科訪問看護とは誠子さんシリーズ

大阪市全域を訪問区域とする『訪問看護ステーションくるみ』の代表、中野誠子が綴る『社長エッセイ』第76弾!

 

この前、金曜ロードショーで『魔女の宅急便』が放送されていました。
私は見られなかったのですが、ジブリ作品の中で一番好きな作品です。

キキが悩みながらも成長していく姿に、自分を重ねることがあります。
「私も頑張ろう」と思わせてくれる、元気をもらえる作品です。

さて今回は、私の口癖でもある「頑張る」という言葉について、少し深掘りしてみたいと思います。

 

大阪市、寝屋川市、守口市、
門真市、大東市、枚方市全域対象

“精神科に特化”した
訪問看護ステーション
「くるみ」

06-6105-1756 06-6105-1756

平日・土曜・祝日 9:00〜18:00 
【日曜・お盆・年末年始休み】

※訪問は20時まで
対応させていただいております。

 

「頑張る」という言葉の曖昧さ

私たちは、あまりにも自然に「頑張る」という言葉を使っています。実際、私自身もよく使います。
「頑張らないと」と、自分に言い聞かせるように使うことが多いです。

けれど、その一言に含まれている意味を、本当に理解しているだろうか。そんなことを考えるようになりました。

本来、「頑張る」とは、困難な状況の中で、自分の力を尽くして踏ん張ることを指す言葉だと思います。
ただ、そこには“本人の状態”という前提が含まれているはずです。

どこまでが踏ん張ることで、どこからが無理なのか。

その見極めがあって初めて、「頑張る」という言葉は成り立つのではないかと思うのです。

けれど現実には、その前提が抜け落ちたまま使われることも少なくありません。

努力することなのか。
我慢することなのか。
結果を出すことなのか。

言葉を分解してみると、人によって捉え方はまったく違います。
そしてこの言葉は、時に人を支え、時に人を追い詰めます。

 

看護師として感じる「頑張って」の重さ

精神科の現場では、「もっと頑張らないと」と、自分を責め続けている方に多く出会います。
すでに十分すぎるほど踏ん張ってきた人に対して、さらに「頑張って」と重ねることは、支援ではなく、圧力になってしまうことがあります。

看護師として大切なのは、言葉の正しさではなく、その言葉が相手にどう届くかだと私は思っています。

その人が何に耐えてきたのか。
何に疲れているのか。

そこに目を向けずに発せられる「頑張って」は、時に関係性すら壊してしまうことがあります。

一方で、「一緒にやってみましょうか」という言葉には、寄り添う力があります。
同じように前を向くための言葉でも、そこに“相手を理解しようとする姿勢”があるかどうかで、届き方はまったく変わるのだと思います。

 

人として、自分自身に向ける「頑張る」

私たちは日常の中で、「頑張ること」を美徳として扱いやすいのかもしれません。

努力している自分でいたい。
諦めない自分でいたい。

きっと、そんな思いがあるのだと思います。

けれどその一方で、「やめること」や「立ち止まること」を、自分自身に許せなくなってはいないだろうかとも感じます。

私自身、そういう傾向があります。

本当は休むべきタイミングなのに、自分を追い込み続けてしまう。
それは前向きさではなく、“無理の上塗り”なのかもしれません。

わかっていても、頑張ってしまう自分がいます。

だからこそ、頑張りすぎている人に伝えたいのです。
人として本当に大切なのは、「頑張り続けること」ではなく、自分の状態に気づけることなのではないかと。

 

さいごに

「頑張る」という言葉は、とても便利です。
だからこそ、思考を止めたまま使えてしまう言葉でもあるのだと思います。

けれど本来は、誰かの状態や限界に触れる、とても繊細な言葉のはずです。

その言葉を使うのか。
使わないのか。
それは相手の背中を押す言葉なのか、それとも違うのか。

その選択の一つひとつに、その人の“こころのかたち”が映し出されるのではないかと思っています。

私たちはこれからも、きっと「頑張る」という言葉を使っていきます。

そのとき、ほんの少しだけ立ち止まれるかどうか。
相手の気持ちを想像できるかどうか。

それだけで、同じ言葉でも、届き方は変わっていくのかもしれません。

さて、次は何を書こうかな。

この記事を書いた人

中野誠子

株式会社Make Care 代表取締役社長

中野 誠子

看護師 / (元)重症心身障害児者認定看護師

精神科病棟勤務・看護学校教員として経験を積み、「こころに寄り添う看護」を志す。石森・濱𦚰とともに株式会社Make Careを創業。現在は訪問看護ステーションくるみの代表として現場に立ちつつ、メディアにも積極的に登場し、地域精神医療の啓蒙とアップデートに挑む。

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