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【専務エッセイ】Vol.77 薬を飲むことは、負けではない

くるみの社長エッセイハムさんシリーズ精神科訪問看護とは

大阪市全域を訪問区域とする『訪問看護ステーションくるみ』の代表、濱脇直行が綴る『専務エッセイ』第77弾!

 

5月に入って、急に暑くなってきましたね。
なんだかこの時期に30℃なんて、「夏はどうなるんや…」と思ってしまいます。
このまま溶けてしまいそうですね。
脂肪も一緒に溶けてくれたらありがたいんですが(笑)。

そんな話はさておき、今回は「薬」についてです。
薬を飲むことに抵抗がある人は、結構多いのではないかと思います。

今日はそんなお話です。
ごゆるりと読んでいただけたら幸いです。

 

大阪市、寝屋川市、守口市、
門真市、大東市、枚方市全域対象

“精神科に特化”した
訪問看護ステーション
「くるみ」

06-6105-1756 06-6105-1756

平日・土曜・祝日 9:00〜18:00 
【日曜・お盆・年末年始休み】

※訪問は20時まで
対応させていただいております。

 

薬に抵抗を感じる気持ち

先ほども少し触れましたが、薬を飲むことに抵抗を感じる人は少なくありません。

よく聞く理由としては、
「薬に頼りたくない」
「飲み始めたら、ずっと飲み続けなければいけない気がする」
「薬を飲んでいる自分が弱くなった気がして嫌」
などがあります。

こういう気持ちは、決して変なことではありません。
特に精神科の薬になると、さらに重く感じる人もいると思います。

風邪薬や痛み止めならそこまで深く考えないのに、気持ちや眠り、不安を整える薬になると、急に「自分の心が弱いからなのかな」と感じたり、「飲んだことのない薬だから怖いな」と思ったりすることがあります。
でも私は、そこは少し違うのではないかと思っています。

はっきり言います。

「薬を飲むことは、負けではありません」

しんどいときに薬の力を借りることは、自分の人生を諦めることではないと思っています。
むしろ、崩れかけている生活をもう一度立て直すための、現実的な選択肢の一つなのではないでしょうか。

 

薬は生活の土台を支えるもの

例えば、眠れない日が続くと、それだけで人はかなり追い込まれることがあります。
寝不足になると考え方がマイナスに傾きやすくなったり、普段なら流せる言葉が妙に心に引っかかったり、少しのことでイライラしてしまったりすることがあります。
食事がとれなくなる人もいれば、逆に食べすぎてしまう人もいるでしょう。
そんな状態で、「生活リズムを整えましょう」「少し外に出てみましょう」と言われても、「その力がもう残っていないんだけど…」ということもあります。

薬は、そんなときに土台を少し支えてくれることがあります。

もちろん、薬だけですべてが解決するわけではありません。
仕事のしんどさ、家族との関係、孤独感、お金の不安、過去のつらい経験など……そういったものが、薬を飲んだからといってきれいになくなるわけではありません。
薬は人生を代わりに生きてくれるものではありません。
ただ、薬が合うことで少し眠れるようになったり、不安が少し落ち着いたり、気持ちの波が穏やかになったりする人もいます。
そうすると、人の話を聞けたり、「少し外に出てみようかな」と思えたり、自分の生活について考える余裕が生まれることがあります。

だから薬は、生活を整えるための最初の一歩を支えてくれる存在でもあると思っています。

 

訪問看護だから見えるもの

もちろん、薬に対する不安を軽く考えてはいけないとも思っています。
副作用によって、朝起きられないほど眠気が残ったり、日中ぼんやりしてしまったり、体重が増えて外出が億劫になったり、口の渇きや便秘、手の震えが出たりすることもあります。
※これはあくまで一例であり、必ず起こるものではありません。

だから「薬は飲めばいい」という話でもありませんし、「飲まないほうが偉い」という話でもありません。

大切なのは、その薬が今の生活を助けているのか、それとも生活の妨げになっているのかを、一緒に見ていくことだと思います。

薬を飲みたくないという気持ちにも、理由があります。
過去に副作用でつらい経験をした人もいるでしょうし、十分な説明がないまま薬が増え、不信感を抱いている人もいます。
家族や周囲から言われた言葉で、不安が強くなっている人もいます。

だから、「とりあえず飲んでください」だけでは足りないのだと思います。

訪問看護では、薬そのものだけでなく、「薬が生活の中でどう扱われているか」を見ることがあります。
飲み忘れが多いからといって、本人の意思が弱いとは限りません。

生活リズムが崩れているのかもしれない。
薬の種類や量が多くて分かりにくいのかもしれない。
副作用がつらくて、あえて飲まない日を作っているのかもしれない。
あるいは、そもそも薬を飲むことに納得できていない場合もあります。

そこを見ずに「ちゃんと飲めていないだけ」と考えてしまうと、その奥にある気持ちや、本当に困っていることを見落としてしまうかもしれません。

 

さいごに

薬を飲むことは、自分の弱さを表すことではありません。
でも、「薬を飲んでいるから安心」という単純な話でもありません。

効果、副作用、生活リズム、そして本人の納得感。
そういったものを一緒に見ながら、その人に合っているかを考えていくことが大切なのだと思います。

薬を飲むことは、負けではありません。
自分の生活を守るために、必要な力を借りる。

それくらい現実的な話でいいのではないかと思っています。

では、今日はこの辺で。

この記事を書いた人

濱𦚰直行

株式会社Make Care 専務取締役COO

濱𦚰 直行

看護師

オペ看護師としての豊富な経験を活かし、精神科訪問看護の現場へ。地域密着型のケアと現場主義を貫く実践派。石森・中野とともに株式会社Make Careを創業し、現在は訪問看護ステーションくるみの統括責任者として、現場支援と組織運営の両立に挑んでいる。

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