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[中村エッセイ] 第15回 好きな映画を10本挙げてみる

中村エッセイ精神科訪問看護とは

看護師・中村がクライシス・プランの実践を軸に、看護のこと(時々それ以外も?)を自由に綴るエッセイ第15弾!

190分を差し出して得た、至福の映画体験

僕は映画が好きです。新しい映画も観ますが、古い映画もよく観ます。

先日、1945年公開のフランス映画『天井桟敷の人々』を初めて観ました。

観終わって最初に思ったのは、「どうして俺はこんなに素晴らしい映画を今まで観なかったんだ…!」ということ。これまで一度も観ようとしなかった過去の自分を恨んでしまうほどに。

もちろん、避けていた理由もあります。『天井桟敷の人々』の上映時間は約190分。3時間を超える映画となると、やはり観始めるにもそれなりの覚悟が要ります。「もう少し時間のある日にゆっくり観よう」と、先延ばし先延ばしにしているうちに、ずいぶん長いこと時間が経ってしまいました。

でも、実際に観てみれば、190分を差し出して得られるものの豊かさの方が、僕にとってはるかに大きかった観終わった直後に、「これは人生で好きな映画ベスト10に入るな」と思いました。

そうなると、改めて考えてみたくなります。僕はいったいどんな映画が好きなんだろう、と。

 

大阪市、寝屋川市、守口市、
門真市、大東市、枚方市、吹田市、尼崎市全域対象

“精神科に特化”した
訪問看護ステーション
「くるみ」

06-6105-1756 06-6105-1756

平日・土曜・祝日 9:00〜18:00 
【日曜・お盆・年末年始休み】

※訪問は20時まで
対応させていただいております。

僕の愛する10本の映画

ということで今回は、僕が愛してやまない10本の映画について、少し(?)偏愛気味に語ってみたいと思います。

改めて、1週間ほどかけて好きな映画を10本に絞ってみました。

これが非常に苦しかった……。好きな映画を挙げることは簡単でも、そこから何本も削って「10本だけ」にするのは、思っていた以上に辛かった。とてもじゃありませんが、順位などつけられません。

そんな苦悩の末に残った10本がこちら。

 

『トラック野郎 ご意見無用』(1975)

『ドラゴン怒りの鉄拳』(1972)

『グラン・トリノ』(2008)

『沈黙の戦艦』(1992)

『切腹』(1962)

『子連れ狼 三途の川の乳母車』(1972)

『海の上のピアニスト』(1998)

『街の灯』(1931)

『GO』(2001)

『天井桟敷の人々』(1945)

 

こうして並べて客観的に眺めてみると「統一感も節操もないなぁ」と思います。マルセル・カルネとスティーヴン・セガールが同じベスト10にいる。チャップリンの隣には若山富三郎がいて、そしてブルース・リーが(なんという光景!)。

でも、自分で選んだこの10本を眺めているうちに、あることに気づきました。一見バラバラに見える作品たちが、僕の中では不思議なくらい一本の線でつながっているのです。僕にとって、この10本は全部「アクション映画」なのです。

 

 

言葉より「画」の躍動

僕は、台詞ばかりで画が止まっている映画が苦手で、画が躍動するものに魅力を感じます。

例えば、『トラック野郎』の桃さんは、惚れた女性のためにトラックを爆走させます。『ドラゴン怒りの鉄拳』では、ブルース・リーが怒りを身体いっぱいに爆発させて戦い続けます。『子連れ狼』の乳母車からは、「そんなものまで出てくるのか」と笑ってしまうような武器が次々と飛び出します。

もちろん、いわゆる映画のジャンルとしての「アクション映画」だけではありません。

『海の上のピアニスト』では、嵐の船内で動き回るピアノに座ったまま、主人公が演奏を続ける場面が大好きです。『街の灯』のチャップリンは、全身を使って観客を笑わせます。有名なラストシーンはもちろん大好きですが、ボクシングの場面も同じくらい好きです。

そして、『天井桟敷の人々』。主人公のバチストは、パントマイム役者です。日常では言葉で自分の思いを伝えることすらうまくできない不器用な男が、ひとたび舞台に立つと、身体だけで何百人もの観客を笑わせ、心を震わせます。もうなんだか、観ている途中から「これは俺のためにある映画なんじゃないか」とすら思えてしまいました

80年以上前に作られた白黒映画の中の登場人物たちに、これほど自分を重ねて心を動かされてしまう。まったく、悪魔的な映画です。凄い。

ここまで書いてみて、僕が映画の何を好きなのか、映画に何を求めているのか、少し分かったような気がします。僕はどうやら、人間の内側にあるものが「動き」となって外に現れる瞬間が好きなようです。

怒っているから、戦う。誰かを想っているから、走る。伝えたいものがあるから、演じる。

感情が身体を動かし、その動き・行動を通して「この人はこういう人なんだ」と伝わってくる。僕にとっての映画の面白さは、そういうところにあるのかもしれません。

 

「人を知る」ことの手がかり

考えてみれば、「人を知る」ということも同じなのかもしれません。

僕たちは誰かを知ろうとするとき、その人について分かりやすい情報を集めます。例えば、年齢、仕事、家族、病気、困っていること……。

どれも大切な情報ですが、それだけでその人がどんな人なのか見えてくるでしょうか?

例えば僕について、「看護師」と知ってもらうことはできます。けれど、それだけでは僕が『沈黙の戦艦』を観て、セガールの理不尽なまでの無双っぷりに大喜びしている人間だということは分かりませんし、『グラン・トリノ』の衝撃的なラストシーンで胸がいっぱいになることも分かりません。

看護師としての僕は、もちろん僕の一つの側面ではありますが、『GO』で杉原の叫びに涙する僕も僕ですし、『天井桟敷の人々』のバチストに自分を重ねてしまう僕も、やっぱり僕です。

「人を知る」ためには案外そういうことの方が手がかりになってくると思うのです。その人が何に心を動かされるのかは、その人がこれまで歩んできた人生の積み重ねと無関係ではない。何を面白いと思い、何に腹を立て、何に涙するのか。そこには、その人がこれまで経験してきたことや、大切にしてきたこと、ものの見方や価値観が、示されているように感じます

というわけで、皆さんの好きな映画は何ですか? そして、その映画のどこが好きですか?

 

この記事を書いた人

中村義幸

中村 義幸

フリーランス看護師 / MIRAI訪問看護ステーション 非常勤取締役

芸術系の大学で音楽を学んだあと、看護の道へ進む。精神科急性期病棟および精神科訪問看護での勤務を経て、現在は大阪を拠点にフリーランスの看護師として、訪問看護ステーションで働く方々に向けた精神科に関する教育支援などを中心に活動している。あわせて、東京のMIRAI訪問看護ステーションにて非常勤取締役を務めている。

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