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統合失調症の「陽性症状」とは?対応方法や看護のポイントを解説

2024.02.08 精神科訪問看護とは

統合失調症の患者さんとの関わりで難しいことは、「病識が薄く効果的な支援や治療が開始されにくい」点といわれています。特に幻覚・幻聴や妄想などの陽性症状は、事実であると認識されているケースが多く対応の仕方には工夫が必要です。

この記事では、統合失調症の特徴や症状を解説しながら「陽性症状」に焦点を当て、対応や看護についてご紹介します。


統合失調症は「陽性症状」や「陰性症状」が見られる精神疾患

統合失調症とは、神経伝達物質のバランスが崩れて発症する脳神経の疾患です。日本では人口の約1%が発症しているといわれており、気持ちや考えがまとまらないことが特徴的です。原因は解明されていませんが、さまざまな要因が関係しているといわれています。

統合失調症は、大きく以下の症状に分けられます。

・陽性症状(健康なときには見られなかった症状):幻覚・幻聴や妄想など
・陰性症状(健康なときにあったものが欠如する症状):意欲の低下や感情表現の減少など
・認知機能障害:記憶力や集中力の低下など

治療法では精神療法や薬物療法がメインとなり、抗精神病薬の服用によって症状の改善や再発防止に効果が期待できます。ほかにも状況によって、抗不安薬や気分安定剤などが選択されるケースもあります。



参照:国立精神・神経医療研究センター「こころの情報サイト|統合失調症」

統合失調症で見られる「陽性症状」への対応

ここでは、臨床現場ではもちろん、近年需要が高まっている精神科訪問看護での対処法や看護についても解説します。

統合失調症による陽性症状では、幻聴や妄想が特徴的です。普段は聞こえない声が聞こえたり「他人から悪口を言われている」と妄想したりといった症状が見られます。ほかにも考えがまとまらない「滅裂思考」や、自分の考えが他人に知られてしまうと感じる「考想伝播」などの症状が出現するケースも。

正しい対処法を知り、患者さんに合った対応を取ることがポイントです。


症状を個別性に捉える

統合失調症と一言でいっても、人によってあらわれる症状は異なります。そのため、まずは症状や状態を観察、アセスメントして個別的に全体像を捉えることが大切です。

なかには症状だけでなく、病気を受け入れられず治療に対して否定的な方もいます。訪問看護の場面でも、家での服薬を拒否したり通院しなかったりといった状態が見られる場合もあるでしょう。その際には、利用者さんの気持ちに共感しつつ、治療や服薬の必要性を繰り返し説明し、症状をどのように緩和するのかを一緒に考えることが大切です。


適度な距離感を保つ

幻聴・幻覚、妄想が見られている場合、本人はそれを自覚しておらず、真実だとして捉えていることが多いとされています。患者さんの言葉を一つひとつ真に受けていると、自分が精神的ダメージを受けてしまうおそれがあります。

幻覚や妄想によるものだと理解し、あまり干渉せずに対応するのがポイントです。適度な距離感を保ちつつ、時間をかけて患者さんとの関係性を築いていくとよいでしょう。

警戒心が強い利用者さんだと、訪問しても部屋に入れてもらえないケースもあるかもしれません。その場合には無理に踏み込まず、玄関先での対応や家族による様子の確認だけでもよいでしょう。利用者さんやその家族に寄り添いながら、臨機応変に対応しましょう。


症状に対する対処法を一緒に考える

統合失調症の方は、幻覚や妄想に対して自分なりの対処法を持っている場合もあります。普段どのように対処しているのかを、直接聞いてみるのも有効です。そして実際にそれで対応できそうか、無理なのかを判断して、状況に合った対処法を一緒に考えましょう。

また、陽性症状だけではなく、過剰な不安や不眠といった精神症状をともなっているケースもあります。その場合には医師へ報告して、抗不安薬や睡眠導入剤などの処方を検討してもらうのも方法のひとつです。


ほかのスタッフや多職種と情報を共有する

統合失調症の患者さんとの関わりで重要な点は、ほかのスタッフや多職種と情報を共有しながら連携することです。症状に変化があれば医師へ報告し、治療や内服薬の変更を検討する場面もあるでしょう。

ときには、自傷行為や他害行為が見られることも。その場合には一人で対応せず、応援を要請して安全を確保する必要があります。訪問看護で一人の場合には、利用者さまと自分の安全を確保しながら、状況の把握に努めましょう。話を聞いて落ち着くようであれば、一人でも対応可能なパターンもありますが、危害が生じた際には早急にステーションへ報告して指示を仰ぎましょう。


統合失調症における「陽性症状」の対応に悩んだら周囲に相談しよう

統合失調症の「陽性症状」では、幻覚や幻聴、妄想といった状態が見られます。本人は事実であると自覚しているケースも多く、対応が難しい場合もあるでしょう。

今回ご紹介したポイントを意識しながら、個別性に考慮した対処法を検討することが大切です。
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