産後うつは、症状が悪化すると日常生活へ支障をきたすおそれがあるため、早期の気づきと対策が必要です。産後うつは誰しも発症する可能性があり、原因も多岐にわたります。そのため、正しい知識や理解を持つことが大切です。
本記事では、産後うつの症状や解決方法、子育てママ・パパが悩むポイントなどを解説しています。産後うつについて知りたい、育児の悩みがある方はぜひ最後までお読みください。
育児の悩みが生み出す疾患や問題
出産・育児によって引き起こされる問題として、産後うつやマタニティブルー、育児ノイローゼなどがあります。
これらは医療的ケア・治療が必要なものもあればそうではないものもあり、特徴や症状はさまざまです。中には、症状が続くことで重要な問題を引き起こすケースもあるため、症状や対処方法などを事前に知っておくと安心です。
この章では、育児の悩みが原因となる疾患や問題をいくつか解説します。
産後うつ
出産後に発症する代表的な心の疾患が、産後うつです。
産後うつによって起こる主な症状は、以下の通りです。
・気分が落ち込む
・意欲が低下する
・子どもに対して愛情を持てなくなる
・育児や家事に集中できなくなる
・パートナーに対していらだちを感じる
・何をしていても楽しいと思えない
・寝つきが悪くなる
・食欲がなくなる
・自殺念慮が見られる
上記の症状が数週間から数ヶ月ほど続き、人によっては日常生活に支障をきたすおそれがある疾患です。
出産経験者全体の、10〜15%が発症する可能性があるとされています。産後うつの原因はまだ明確に特定はされていませんが、リスクを高める要因としては、以下のものが考えられます。
・精神疾患の既往
・人間関係や経済的な問題によるストレス
・周囲からのサポートが得られにくい環境
・ホルモンバランスの急激な変動
・睡眠不足 など
人によって、きっかけになる出来事や原因は異なります。
参照:MSDマニュアル/産後うつ病
関連記事:産後うつで受けられる看護ケアとは?看護師を頼るメリットも解説
マタニティブルー
マタニティブルーは、出産直後から数日頃までに発症し、気分の急激な浮き沈みなど、心身の不調が見られます。
具体的には以下の症状が主に出現します。
・物忘れ
・集中力の低下
・食欲不振
・不安や緊張感
・倦怠感や疲労感 など
ただし、一過性であり自然軽快が見込めるため、基本治療の必要性はないとされています。
マタニティブルーは、出産後の女性の30〜50%程度が経験するといわれています。原因として考えられているのは、出産にともなう急激なホルモンバランスの変動です。
育児ノイローゼ
育児ノイローゼは、育児によるストレスやプレッシャーなどによって精神的な症状が表れている状態を指します。「ノイローゼ」は神経症と呼ばれ、以下のような症状が見られるとされています。
・不安や恐怖
・気分や感情の落ち込み
・睡眠障害
・自己肯定感の低下 など
なお、育児ノイローゼは疾患ではありません。まじめな方や、育児に対して協力を依頼したり相談したりできる人がいない場合は、リスクが高くなりやすいため注意が必要です。
産後うつとの区別がつきにくいため、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。
育児における悩みの種とは?
育児に悩みはつきものです。中には周りと比較して、落ち込んでしまう方もいるかもしれません。
ここでは、育児に対してよく聞かれる3つの悩みを3つご紹介します。
1.子どもとの関わり方がわからない
自分に余裕がなくなると、つい感情的になってしまう方もいるかもしれません。子どもの言動や態度に寛容になれず、どう関わればよいのか迷うケースもあるでしょう。
子育てに明確な正解はありません。親子とはいえ、性格や価値観は違って当然です。子どもを1人の人間として見つめ、ゆっくりと向き合ってみましょう。
2.相談できる人や頼れる人が近くにいない
子育て・家事・仕事などで余力がないにもかかわらず、周囲に頼れる人や相談できる人がいないとの悩みを抱く方は決して珍しくありません。
1人で育児に対する不安やストレスを抱え込んでしまうと、心身ともに疲弊し、産後うつなどの精神疾患をきたすリスクが高くなります。家族になかなか協力が得られないなどの状況であれば、相談窓口や医療機関のサポートなどを積極的に利用するのも1つの方法です。
関連記事:産後うつで訪問看護は利用できる?受けられるケアやメリットを解説
3.発育や発達が気になる
ほかの子どもと比べ、発語や歩き始めなどが遅いと成長を心配する方もいるでしょう。今はインターネットや育児本などで簡単に多くの情報を入手できます。子どもの発達は個人差が大きく、成長につれできることは増えていきます。
不安になる気持ちもわかりますが、親の感情は子どもに伝わりやすいため、焦らずに今できている部分を一緒に喜んであげることが大切です。
育児の悩みで心身が疲れないためには周囲に頼ることが大切
育児での悩みや不安は誰しも感じるものでしょう。ただし、1人ですべて抱え込んで向き合おうとすると、心身の健康のバランスを崩してしまうおそれがあります。家族に協力してもらうことが大切ですが、難しい状況であれば医療機関や相談窓口などを頼るのも方法の1つです。
もし、今回ご紹介した精神症状が見られる場合には、早い段階で医療機関を受診しましょう。「毎回の受診が苦痛」「日常生活における不安が強い」などの場合は、訪問看護サービスを利用するのもおすすめです。
育児に対する強い精神的不安や悩みがある方は、ぜひ『訪問看護ステーションくるみ』へご相談ください。精神科に通院されている方の場合は訪問看護ステーションで看護師の支援を受けることも可能です。