高齢化が進む日本では、地域ごとで高齢者に寄り添うケアが必要とされています。その拠点として設置されているのが「地域包括支援センター」であり、訪問看護とは切っても切れない関係です。
この記事では、地域包括支援センターと訪問看護ステーションが連携する理由や、連携が必要な場面について解説します。訪問看護師を目指す方や在宅医療に興味がある方は、ぜひお読みください。
訪問看護ステーションにおける地域包括支援センターの役割とは?
地域包括支援センターは、地域における在宅医療での中心的な機関として、各関連機関をつなぐ役割があります。さらに、訪問看護の利用者さまへ適切なケアを提供するためにも、重要な役割を果たすのです。
この章では、地域包括支援センターが担う役割と、地域包括ケアシステムの重要性について解説します。
参照:厚生労働省「地域包括支援センターの業務」
地域包括支援センターは地域の相談窓口
地域包括支援センターの主な役割は、地域住民の相談を受け、適切な助言や必要な支援を提供することです。保健師や社会福祉士、ケアマネージャーなどが在籍しており、健康や福祉に関する幅広い相談に対応しています。
地域包括支援センターの業務内容としては、以下があります。
・総合相談支援業務
・権利擁護業務
・介護予防ケアマネジメント業務
・包括的・継続的ケアマネジメント業務
介護・福祉に関する相談や、ケアマネージャーへの指導などを行い、地域住民が安心して生活するためにさまざまな支援を提供しています。ほかにも、介護保険の申請手続きや、要支援者に対するケアプランの作成なども業務の一つです。
地域包括システムは在宅医療で重要な役割を担う
高齢者に寄り添ったケアを提供する仕組みとして「地域包括ケアシステム」があります。地域包括ケアシステムとは、地域の高齢者が住み慣れた環境で自分らしく生活できるように、地域一体となって高齢者を支える仕組みのことです。
高齢者のライフスタイルは人それぞれ異なるため、個別性に配慮したケアを提供するには、多職種の連携が必要です。地域包括ケアシステムがうまく機能することで、高齢者も住み慣れた地域で安心して暮らせるでしょう。
関連記事:地域包括ケアシステムにおける看護師の役割とは?訪問看護の現場で働こう
地域包括支援センターと訪問看護ステーションが連携する必要性
訪問看護ステーションには、利用者さまに質の高いケアを提供し、医療・介護の側面から生活を支援する役割があります。一方で、利用者さまが訪問看護を利用するには、介護保険の申請やサービス利用開始の手続きが必要です。
地域包括支援センターでは、介護保険の申請補助や訪問看護ステーションへの紹介など、利用者さまが訪問看護を利用するためのサポートを行います。
このように、訪問看護ステーションが利用者さまの求めるケアを提供するには、地域包括支援センターとの連携が欠かせないといえるでしょう。
地域包括支援センターと訪問看護ステーションが連携する場面
この章では、地域包括支援センターと訪問看護ステーションが連携する場面を紹介します。
関連記事:精神科特化訪問看護ステーションが関わる連携機関と必要性を解説
ケアプランの共有
要介護認定を受けた方が介護サービスを利用する際、一人ひとりの個別性に配慮した支援の検討やケアプランの作成が必要です。地域包括支援センターでは、要支援1~2の方を対象にケアプランを作成し、利用する訪問看護ステーションへ情報を共有します。
また、サービス担当者会議への参加依頼や日程調整の際にも、双方の情報共有が必要です。サービス担当者会議とは、訪問看護などのサービスの利用内容や頻度、料金を確認する場であり、ケアプランの作成後や見直し後に開催します。
地域ケア会議
地域ケア会議とは、地域包括ケアシステムの連携力を高め、高齢者ごとの個別の問題を解決するために開かれる会議です。各関連機関の代表が集まり、地域課題や高齢者に関する情報を共有することで、包括的なケアの質を向上させる目的があります。
地域ケア会議には、包括職員やケアマネージャーをはじめ、医師や看護師など在宅医療に関わる職種が集まります。地域ケア会議の主催元は、市町村または地域包括支援センターです。訪問看護ステーションなどの各関連機関へ連絡し、参加を要請しています。
訪問看護ステーションの紹介
地域包括支援センターは、地域住民ごとの相談内容に応じ、介護サービスや訪問看護ステーションなどの紹介も行っています。
訪問看護ステーションと地域包括支援センターの連携により、利用者さまへスムーズな訪問看護サービスの提供が可能となるのです。
地域包括支援センターと訪問看護は密接な関係性にある
訪問看護師は地域包括支援センターをはじめ、多くの機関や職種と連携して地域住民を支えています。利用者さまをケアしながら多職種と連携をとるのは簡単ではありませんが、地域へ貢献しながら高齢者の生活を支える点では、やりがいを感じられるでしょう。
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