精神疾患を抱える方とのコミュニケーション技法を精神訪問看護師が解説
精神科訪問看護とは
精神科訪問看護では主にコミュニケーションをメインで行います。
精神科や訪問看護の現場に興味を持ち働いてみたいものの、実際の関わり方がわからず踏みとどまっている看護師もいるのではないでしょうか。
今回は精神疾患を抱える方へ対して重要なコミュニケーション方法についてポイントを解説していきます。
精神科に興味を持っている方も、現場で働いているという方もぜひ参考にしてください。
大阪市、寝屋川市、守口市、
門真市、大東市、枚方市全域対象
“精神科に特化”した
訪問看護ステーション
「くるみ」
平日・土曜・祝日 9:00〜18:00
【日曜・お盆・年末年始休み】
※訪問は20時まで
対応させていただいております。
精神看護におけるコミュニケーションの目的
コミュニケーションといってもただ話すだけではなく、コミュニケーションを取ることには看護としての目的があります。まずは精神看護におけるコミュニケーションの目的を解説します。
主な目的は下記の4つです。
・利用者さまとの距離感を縮める
・コミュニケーションの練習の場となる
・人との関わりによって社会性を保つ
・精神的不調や心理的な変化を把握する
それぞれ解説していきます。
利用者さまとの距離感を縮める
精神科において利用者さまと関わる中で、実際の悩みや思い、病状などをお話ししていただくためにも、利用者さまと心の距離感を縮めることが重要です。
さまざまなコミュニケーションを技法を用いるといった手もありますが、あくまでも個人の特性を理解しながら少しずつ対話を重ねていく必要があるでしょう。
コミュニケーションの練習の場となる
精神疾患を抱えている方の中には、コミュニケーションを苦手としている方が多いです。
実際にコミュニケーションに自信がなく他者との交流をうまく持てなかったり、他者とトラブルを起こしたりしてしまう場合もあります。
実際に看護師が精神疾患の方とコミュニケーションをとる中で、相手を傷つけないような言葉遣いや言い方を伝えたり、「素直に伝えられる点はとても素敵ですね」などとコミュニケーションの中で長所と感じた部分を支持したりすることで、コミュニケーションの練習となり日常生活での他者とのコミュニケーションが上達する場合もあります。
人との関わりによって社会性を保つ
精神疾患を抱える方は、仕事をしていないケースやなかなか続けられないケースがあり、社会性を保つのが難しい場合があります。
コミュニケーションの中で周囲との関わりや自分の社会における立場の認知、社会におけるルールなど、社会性の獲得を促していくのも看護師の役目であり、コミュニケーションの目的の1つです。
精神的不調や心理的な変化を把握する
精神疾患を持つ方は、うつ病や双極性障害の抑うつ状態や統合失調症の幻聴や妄想がある状態などから、他者と関わらず家に閉じこもり人との関わりが希薄になる方が多い傾向にあります。
そのため不調のサインに誰も気づかず、気づかないうちに症状が悪化し再入院となったり他害行為といって周囲を傷つけるような行為や自傷行為に発展してしまったりするケースも中にはあります。
そういった場合に訪問看護が介入し、定期的にコミュニケーションを取ることで精神的な不調や、怒りっぽさや落ち込み、何らかに怯えている様子などの心理的な変化を把握することが可能です。
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精神的な不調を抱える人に見られやすい傾向とは
精神疾患のある方は、見た目では分かりにくい困りごとを抱えていることが多く、周囲の理解が重要になります。まずは、よく見られる特徴を知ることが、適切な関わりの第一歩です。
背景となる病気や状態が多岐にわたる
精神疾患と一口にいっても、うつ病、不安障害、統合失調症、発達特性など、その背景はさまざまです。同じ診断名であっても症状の現れ方は人それぞれ異なり、一律の対応が難しい点が特徴です。
外からは状態が分かりにくいことが多い
精神的な不調は、体のケガのように目に見えるものではありません。そのため、本人のつらさが周囲に伝わりにくく、「元気そうに見えるのに」と誤解されてしまうこともあります。見えにくい不調があることを前提に関わる姿勢が大切です。
人とのやり取りに苦手意識を持ちやすい
症状や不安の影響で、自分の気持ちを言葉にすることが難しかったり、相手の反応を過剰に気にしてしまったりする方もいます。会話が続かない、誤解が生じやすいといった場面も少なくありません。
看護師が精神疾患の方とコミュニケーションをとる上で注意するポイント
ここまで解説したコミュニケーションの目的を踏まえて、看護師が精神疾患の方とコミュニケーションをとる上で注意するポイントをみていきましょう。
ポイントは下記の5つです。
・無言の時間に無理に話題を作らない
・質問攻めにしない
・いきなりプライベートな話題をしない
・表情や仕草も観察する
・声のトーンや話すスピードも意識する
それぞれ理由とともに解説していきます。
無言の時間に無理に話題を作らない
人と話をする際に、無言の時間を気まずく感じてしまい、ついつい無理に話題を作ろうとしてしまう方はいませんか。
焦って話題を作ろうとしても、その焦りは利用者さまにも伝わってしまいます。また無理に作った話題はあまり広がらないことがほとんどです。
また、精神科において無言の時間は悪いわけではありません。
前述のように、精神疾患を抱える方の中には、コミュニケーションが苦手な方もいます。そのため無言で気まずいと看護師が感じたとしても、その無言と感じた時間は次の話題や話の返答を利用者さまが考えている時間の場合もあります。
そして精神科の場合、選択性緘黙(かんもく)や無言症などのように、症状として無言の時間が生まれるケースもあるでしょう。
人によっては無理に話題を作ろうとせず、寄り添っているだけの時間も落ち着く時間だったと感じてもらえることもあります。
質問攻めにしない
初対面の利用者さまや、看護師自身が緊張している場合に行いやすいのが、利用者さまを質問攻めにしてしまうことです。
精神の疾患を抱えている方の場合、特にプレッシャーを感じたり、さらに緊張感を強く感じたりしてしまう場合もあります。
コミュニケーションとは一方的に話を投げかけるのではなく、やりとりをすることです。
矢継ぎ早に問いかけるのではなく、一つの質問をしたら返事を待ってみたり、一つの質問から話を広げたりしてみましょう。
いきなりプライベートな話題をしない
人とコミュニケーションを取る際に、いきなりプライベートな話題を出されたら利用者さまはどう感じるでしょうか。
相手の情報や状況を知りたいからといって、ご家族の話や出身の話、学生の頃の話などプライベートな話題をいきなりするのは失礼に当たります。
看護師の情報収集といっても、訪問看護の場ではいきなりすべての情報を集めるのではなく、信頼関係を築きながら情報を集めていくのが基本です。
そのためいきなりプライベートな話題に突っ込むのは避けましょう。
表情や仕草も観察する
看護の一環として行うコミュニケーションでは、表情や仕草の観察も忘れないようにしましょう。
利用者さまの中にはコミュニケーションを取る中で、表情や仕草が全く変わらない方もいるかもしれません。しかしほとんどの方は表情や仕草に変化が現れます。
気が重くなる話の時は少し目を背けたり、爪をいじったりする、また楽しいと感じる話の時は看護師の顔をよくみて嬉しそうに話すなどの表情や仕草の変化がみられるでしょう。
また精神症状がよくない時は手の震えが強くなる、表情の変化が乏しくなる、というような方もいます。調子が良い時の表情や仕草と、調子が良くない時の表情や仕草を知っておくのも、看護師が精神疾患を抱える方とコミュニケーションを取る上で重要なポイントです。
声のトーンや話すスピードも意識する
精神疾患を抱えた方は対人不安や恐怖を抱えている方も多く、看護師が話す声のトーンや話のスピードも非常に重要で意識する必要があります。
ついつい緊張すると早口で喋ったり、気持ちが高まって大きな声で話してしまったりすると、利用者さまが恐怖を感じるという場合もあります。
優しく落ち着いた話し方で話すように心がけましょう。また、必ず「敬語」で関わるのも忘れてはいけません。
今日から使える精神看護のコミュニケーション技法3選
精神疾患のある方との関わりでは、特別な技術よりも「安心して話せる空気」を作ることが大切です。ここでは、すぐに実践しやすいコミュニケーションのポイントを紹介します。
ミラーリングとペーシング
ミラーリングとペーシングは、相手の話し方や表情、声のトーン、話すスピードなどにさりげなく合わせるコミュニケーション技法です。相手と同じリズムで関わることで、「受け入れてもらえている」「安心できる」という感覚が生まれやすくなります。特に精神的な不調を抱える方は緊張や警戒心が強いことがあるため、無理に会話を進めず、相手のペースを尊重する姿勢が信頼関係の土台となります。
バックトラッキング
バックトラッキングとは、相手が話した内容をそのまま、または少し言い換えて繰り返すことで、理解していることを伝える方法です。「〇〇がつらかったんですね」「△△が不安だったんですね」と返すことで、相手は安心して話を続けやすくなります。アドバイスや評価を急がず、まずは言葉を受け止めることが重要です。精神的に不安定な状態の人にとって、「聞いてもらえた」という感覚は大きな支えになります。
「WHAT・WHY」を使った質問をする
WHAT(何があったのか)やWHY(なぜそう感じたのか)を使った質問は、相手が自分の気持ちや状況を整理する助けになります。ただし、問い詰めるような聞き方にならないよう注意が必要です。「どういう出来事だったの?」「どうしてそう思ったのかな?」と穏やかに尋ねることで、相手は自分の内面を言葉にしやすくなります。答えを引き出すことより、考える時間を支える姿勢が大切です。
精神科訪問看護においてコミュニケーションは非常に重要なスキル
ここまで看護師に必要な精神疾患の方に対するコミュニケーションの目的や注意点、ポイントを解説しました。
精神科訪問看護ではコミュニケーションがメインとなるため、非常に重要なスキルといえます。
精神科未経験の方でも徐々に利用者さまとの関わりを繰り返しながら上達していきましょう。
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