パーソナリティ障害を抱えている方の多くは、「社会になじめない」「人間関係がうまくいかない」などの悩みを抱えています。パーソナリティ障害への治療では精神療法が有効とされており、周囲の関わりや家族の協力が必要不可欠です。
本記事では、パーソナリティ障害の方の特徴や関わり方のポイントをご紹介します。
パーソナリティ障害は10種類に分類される
パーソナリティ障害は人格障害とも呼ばれ、考え方や感情のバランスが著しく偏り、日常生活や対人関係に大きな影響を与えてしまう精神疾患です。
思考の柔軟性が低いことから行動や心理機能に支障をきたし、「生きづらさ」などの主観的苦痛を生じます。ほかにも「社会に馴染めない」「人間関係でのトラブルが起こりやすい」などの社会機能障害が見られるケースも少なくありません。
パーソナリティ障害は、以下の10種類(さらに3つの群)に分類されます。
種類 | |
A群
(奇妙で風変わり) |
・妄想型
・シゾイド ・統合失調型 |
B群
(感情的で移り気) |
・反社会性
・境界性 ・演技性 ・自己愛性 |
C群
(不安で内向的) |
・回避性
・依存性 ・強迫性 |
それぞれ特徴や症状が異なるため、その人に合った関わり方が求められます。症状の程度によっては、抑うつや睡眠障害などの精神的症状をともなうこともあります。
パーソナリティ障害に共通して見られる症状
パーソナリティ障害は種類によって特徴や症状は異なりますが、共通して以下のような症状が見られます。
・考え方が偏っている
・感情や衝動のコントロールが苦手である
・行動に一貫性がない
・安定した人間関係を築くのが苦手である
思考の柔軟性が乏しく「自分は一人で何もできない」「この人は信用できない」などと思い込むことが多くなります。偏った思考は、過度な被害妄想であったり自己中心的であったりするのが特徴です。
さらに、感情の起伏が激しく(感情表出が乏しい種類のパーソナリティ障害もあります)、一貫性のない突発的な行動が見られるケースも珍しくありません。この影響から、社会活動でのトラブルに発展しやすく、安定した人間関係を築くことが難しいとされています。
パーソナリティ障害の治療には目標に合った関わり方が必要
パーソナリティ障害の治療は、本人と医療者の間で明確な目標を立てて進められる場合が多いです。設定する目標は、主に以下の4つです。
1.苦痛を緩和する
2.本人が疾患に対する理解を深める
3.社会に不適切な行動を減らす
4.困難の原因となるパーソナリティ特性を修正する
まずは抑うつや不安、睡眠障害など、苦痛の原因となる症状の緩和が最優先で進められます。状況に応じて、抗不安薬や抗うつ薬などが使用されるケースもあります。
治療目標に向かって進めていくには、本人が疾患に対しての理解を深めることが大切です。多くの場合、精神療法(認知機行動療法や集団療法など)を行い、偏った認知を修正していきます。これによって、社会活動を送るうえでの不適切な行動を減らせるでしょう。
「叫ぶ」「暴力を振るう」などの問題行動が見られた場合には、受診や治療(精神療法やカウンセリングなど)を中止して、本人の行動を制限するケースも少なくありません。このときに重要なのが、スタッフ間で基準を決めて、関わり方を統一することです。さらに、問題となるパーソナリティ特性(依存性や不信感など)を修正するには時間がかかるため、長期間の治療となることを理解する必要があるでしょう。
パーソナリティ障害の方への関わり方のポイント
パーソナリティ障害の方と接する際、その人に合った治療法や関わり方を選択しましょう。
・治療目標に対して共通認識を持つ
・本人と医療者間で一定の距離感を保つ
・スタッフの関わり方を統一する
パーソナリティ障害の方への関わり方で重要なのは、医療者と本人(家族も含む)が同じ治療目標に向かって進むことです。なかには、自身の行動や思考には何も問題がないと思い込んでいる方もいます。まずは問題に目を向けて、その行動や思考を改める(変えていく)関わりが必要です。
また、本人と医療者間は一定の距離感を保ちつつ、過度な期待を抱かせないこともポイントです。対応にバラつきがあると「あの人はやってくれたけれど、あなたはしてくれない」などの不信感につながります。そうすると、「見捨てられた」「自分のことが嫌いなんだ」と誤認してしまう恐れがあるので注意しましょう。
提供するサービスには基準を決めて、スタッフが変わっても毎回同じ関わりをすることが大切です。信頼関係が築けてくるとなんでもやってあげたくなりますが、その気持ちをグッと抑えて、統一した関わりを意識しましょう。
パーソナリティ障害の方への関わり方を理解して訪問看護で働こう
パーソナリティ障害の方と接する際には、今回ご紹介したポイントを押さえて、患者さま一人ひとりに合った関わり方を意識しましょう。
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