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【社長エッセイ】Vol.74 正しさが人を苦しめるとき

くるみの社長エッセイ精神科訪問看護とは誠子さんシリーズ

大阪市全域を訪問区域とする『訪問看護ステーションくるみ』の代表、中野誠子が綴る『社長エッセイ』第74弾!

 

4月になりました。
1年の4分の1が終わってしまい、少し恐怖を感じて一人で焦っています。

皆さんは今年の目標、どの程度達成できていますか?
一度立ち止まって考えてみるのもいいかなと感じています。

今回このテーマで書こうと思ったのは、最近「正しさってしんどいな」と感じたことがきっかけです。
実は私は、人と関わることがとても得意ではありません。

だからこそ、人の言葉の一つひとつや言い方に敏感になりますし、いろいろと考えすぎてしまうこともあります。

 

大阪市、寝屋川市、守口市、
門真市、大東市、枚方市全域対象

“精神科に特化”した
訪問看護ステーション
「くるみ」

06-6105-1756 06-6105-1756

平日・土曜・祝日 9:00〜18:00 
【日曜・お盆・年末年始休み】

※訪問は20時まで
対応させていただいております。

 

正しさは、ときに人を追い詰める

人と関わる仕事をしていると、「それは違う」と思う場面があります。

もっとこうしたほうがいい、その言い方は違う、それではうまくいかない。
そう感じることは、誰にでもあると思いますし、実際にその考えが正しいこともあります。

けれど現場では、その“正しさ”が人を苦しめてしまう場面があります。
なぜなら人は、「何を言われたか」だけではなく、「どう言われたか」を強く感じ取っているからです。

正しさは、とても強い力を持っています。
だからこそ使い方を間違えると、相手を守るどころか、追い詰めてしまうこともある。

「あなたのためを思って」
「間違っているから伝えている」
「正しいことを言っているだけ」

こうした言葉の奥には、ときに不安や劣等感、認められたい気持ちが隠れていることがあります。

自分が間違っているかもしれない怖さ。
自分の価値を保ちたい気持ち。
自分は正しいと思っていたい安心感。

人は不安なときほど、自分の正しさを強く握りしめてしまうものです。
だからこそ、正しさを振りかざしてしまう人は、本当に強い人ではなく、どこか不安を抱えている人なのかもしれません。

私はそう思っています。

 

看護の現場における「正しさ」の難しさ

精神科の訪問看護でも、この「正しさ」はとても難しい問題です。

薬を飲んだほうがいい。
生活リズムを整えたほうがいい。
お風呂に入ったほうがいい。
人と話したほうがいい。

それは確かに、一般的には正しいことかもしれません。

でも、その人にはその人の事情があります。
価値観や考え方があります。

一見普通に見えても動けない日もあるし、人と会うことが苦しい日もある。
何もできない自分を責め続けている毎日の中で、
「少しは外に出てみてはどうですか」と正しさだけをぶつけられると、
その人は「できない自分」をさらに責めてしまうことになります。

支援とは、正しさを押しつけることではありません。

相手の背景や苦しさを理解しながら、その人に届くカタチを探していくことだと思います。
相手の気持ちを置き去りにした正しさは、支援ではなく、時に支配になってしまいます。

 

組織の中で問われる「余白」

これは組織の中でも同じことがいえると思います。
正しいことを言っている人が、必ずしも信頼されるわけではありません。

周囲を安心させる人。
相手の立場を考えられる人。
言葉の先にいる人を想像できる人。

そういう人が、結果として信頼されていくのだと思います。

本当に強い人は、「自分が間違っているかもしれない」という余白を持っています。
自分の正しさだけでなく、相手の事情や背景にも目を向けることができる。

その姿勢こそが、関係性をつくっていくのだと感じています。

 

さいごに

正しさは、人を守ることもできます。
でも、使い方を間違えれば、人を深く傷つける「ナイフ」にもなり得ます。

だからこそ、その正しさは本当に相手のためのものなのか。
自分を守るための正しさになっていないか。

一度立ち止まって考えてみてほしいと思います。

今の自分の発言は、自分の思いだけで発していないか。
相手の立場や気持ちを想像できているか。

そう意識しながら、優しさと少しの余裕を持ってコミュニケーションを取ることで、
自分の伝えたい「正しさ」も、きっと相手に届くのではないかと思います。

さて、次は何を書こうかな。

この記事を書いた人

中野誠子

株式会社Make Care 代表取締役社長

中野 誠子

看護師 / (元)重症心身障害児者認定看護師

精神科病棟勤務・看護学校教員として経験を積み、「こころに寄り添う看護」を志す。石森・濱𦚰とともに株式会社Make Careを創業。現在は訪問看護ステーションくるみの代表として現場に立ちつつ、メディアにも積極的に登場し、地域精神医療の啓蒙とアップデートに挑む。

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