精神科でも、便秘に悩む患者さまがいます。
便秘とは、排便回数の減少や体内に便が残りスッキリと出ない状態を指します。便秘による不快感は日常生活に支障をきたし、改善されずにいると、腹痛や食欲不振などの症状に悩まされる恐れがあります。
この記事では、精神科の患者さまになぜ便秘がよく見られるのか、便秘の原因や症状などを解説します。さらに、便秘で困っているときに自分で実践できる対処法も紹介するので、便秘に悩んでいる方は、ぜひお役立てください。
大阪市、寝屋川市、守口市、
門真市、大東市、枚方市全域対象
“精神科に特化”した
訪問看護ステーション
「くるみ」
平日・土曜・祝日 9:00〜18:00
【日曜・お盆・年末年始休み】
※訪問は20時まで
対応させていただいております。
精神科で便秘が見られる2つの原因
精神科で便秘が起こる原因には、次の2つが考えられます。
・うつ病や統合失調症などの疾患が引き起こす便秘
・向精神薬の服用が原因で起こる便秘
それぞれの原因を詳しく解説します。
うつ病・統合失調症などの疾患が引き起こす便秘
脳と腸の関係は脳腸相関といわれ、排便に関係する自律神経はストレスと深い関係があります。うつ病や統合失調症などの精神疾患を抱えている方は、強いストレスを感じていたり精神状態が不安定だったりするため、腸の働きに影響を与える可能性があるのです。
また、不眠などによる生活リズムの乱れや、意欲や活動量の低下も便秘の原因となる場合があります。
向精神薬の服用が原因で起こる便秘
向精神薬の多くが、抗コリン作用を持ちます。抗コリン作用とは、副交感神経の神経伝達物質であるアセチルコリンの働きを抑える作用です。アセチルコリンの働きが抑えられると、消化管の緊張・蠕動運動・腸液の分泌が抑制され、便秘しやすくなるのです。
精神科疾患では数種類の薬を長期的に服用している場合も、便秘が起こりやすいといわれています。
慢性便秘症について
便秘が長期間にわたり続く場合は「慢性便秘症」と診断されることがあります。慢性便秘症は排便回数が週に3回未満、便が硬く排便に強い力みが必要、排便後も残便感があるなどの症状が続く状態を指します。精神疾患のある方は慢性便秘症を合併するケースも多く、放置すると生活の質を大きく低下させます。精神科での治療とあわせて便秘への適切なケアを行うことが重要です。
便秘がもたらす悪影響
便秘の原因がわかったところで、次は便秘による影響をご説明します。
便秘は便が腸の中にとどまり、腹痛やお腹の張りなどの症状をもたらします。便やガスがたまると胃の働きが悪くなり、食欲低下が見られるケースもあるでしょう。
さらに便が硬くなり、排便時に肛門周囲の皮膚が切れたりいきんだ刺激で痔を発症したりする可能性もあります。
中には、思うように便が出ず、気分の落ち込みや不安を感じる方もいるかもしれません。
このように便秘は、心身共にさまざまな影響を引き起こす恐れがあるのです。
市販の便秘薬は使っても良い?
便秘に悩むと市販薬を試したくなる方も多いですが、精神科の薬と併用する場合は注意が必要です。向精神薬との相互作用によって副作用が強まるリスクもあります。そのため、自己判断で便秘薬を使うのではなく、必ず主治医や薬剤師に相談し、適切な薬を選ぶことが大切です。
薬剤性便秘の主な薬物療法
精神科で処方される薬によって便秘が起きた場合、医師は薬物療法を組み合わせて症状を改善します。ここでは代表的な薬剤を紹介します。
酸化マグネシウム
酸化マグネシウムは腸内に水分を引き込み、便を柔らかくする薬です。比較的副作用が少なく、長期使用にも向いています。向精神薬による便秘対策として広く用いられています。
ルビプロストン
ルビプロストンは腸の中に水分を分泌させる作用があり、便を柔らかくして排便を促します。慢性便秘症に使用されることが多く、耐性ができにくい点も特徴です。
リナクロチド
リナクロチドは腸の運動を促進するとともに、腹痛や膨満感を和らげる効果があります。慢性的な便秘に加え、便秘型過敏性腸症候群にも有効とされている薬です。
漢方薬
大黄甘草湯や麻子仁丸などの漢方薬も便秘に利用されます。体質や症状に合わせて処方されるため、副作用を避けつつ改善を目指せる場合があります。精神科での治療と併用されることもあります。
精神科における便秘の対策
便秘はいくつかのポイントを意識することで、自分でも対策できます。
ここでは、自宅でも簡単に取り入れられる便秘の対策をいくつかご紹介します。
食生活の改善
便秘には、食生活が深く関係しています。特に、水分が不足していると便秘になりやすいとされています。水分摂取が少ないと便が硬くなり、うまく排便できません。普段の生活で水分が足りていない方も多いといわれているため、意識した摂取が必要です。
ほかにも、食物繊維や乳酸菌を含んだ食品は便秘改善が期待できます。たとえば、こんにゃく・ひじき・いも類など食物繊維や乳酸菌やビフィズス菌を含むヨーグルト、納豆などの発酵食品も便秘改善に役立つでしょう。
適度な運動
適度な運動も便秘解消に効果的です。ウォーキングなどで体を動かすと血行が促進し、腸の動きが活発になるためです。さらにストレス解消にもつながるとされています。
また、腹筋の衰えも便秘につながります。腹筋はいきむ時に使うためです。適度に筋力を鍛えるなど、無理せずできる範囲で取り組みましょう。
リラクゼーション
ストレスは腸の働きに影響を与えるといわれています。ストレス解消のためにもリラクゼーションはおすすめです。
ストレスが原因となる便秘には、リラックス効果のあるヨガも有効です。ここではガス抜きのポーズをご紹介します。
1.仰向けに寝て、息を吸いながら片膝を胸に引き寄せて抱える
2.息を吐きながら、太ももをお腹に押しつけてゆっくり呼吸を5回
3.息を吸いながら、膝をゆっくり戻す
4.反対側も同じように行う
そのほかにも、便秘解消のツボを押す・手のひらでお腹をマッサージする方法も有効です。
便秘がなかなか改善されないときの対処法
今回ご紹介した方法を試しても便秘が改善されず、腹痛や食欲不振などが見られるときは、医師への相談をおすすめします。便秘が長期間続く場合、腸閉塞などを引き起こしている可能性も考えられます。
ほかには、服用している薬の副作用も考えられる場合には、医師から治療薬の変更や減量が提案されるでしょう。
また、状態によっては以下のような便秘改善薬が処方されることもあります。
・下剤
・整腸剤
・漢方薬
「服薬管理に不安がある」「便秘改善に適切な生活を送りたい」とお考えの方は、訪問看護の利用も選択肢の1つです。
精神疾患や向精神薬の服用による便秘は早めに対策しよう
便秘の原因は、食生活の乱れや運動不足のほかにも、精神疾患や向精神薬の服用なども考えられます。原因がわかれば、適切な対処法を見つけ、便秘の解消が期待できるでしょう。
「便秘に対しての不安が強い」「服薬管理に自信がない」などの方は、『訪問看護ステーションくるみ』へぜひご相談ください。
日常生活の支援から服薬管理のサポートまで、利用者さま一人ひとりに合った看護の提供が可能です。こちらから、お気軽にお問い合わせください。
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