希死念慮(きしねんりょ)の意味とは?自殺念慮との違いや原因を解説
精神科訪問看護とは
「希死念慮(きしねんりょ)」は、精神医学で用いられる専門用語で、「死にたい」「消えてしまいたい」と感じる強い思いを指します。
こうした感情を抱くのは決して「甘え」からくるものではありません。心が限界を超え、SOSのサインを発している状態です。
本記事では、希死念慮の正しい意味や自殺念慮との違い、背景にある主な原因について解説します。ご家族がサインに気づいたときの対応や、適切な相談先も紹介していますので、一人で抱え込まずに参考にしてみてください。
ご不安な気持ちが強い時や、文章を読むのがお辛い時は、無理をせず私たちにお声がけください。
精神科の専門スタッフが、あなたの状況に合わせてお話をお伺いします。まずはお気軽にご相談ください。
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希死念慮とは何か
希死念慮とは、精神医学や心理学の分野において、「死にたい」「消えたい」という思いや願望を表す言葉です。
「今すぐ命を絶ちたい」という具体的な意志だけでなく、「生きるのがつらい」「目を覚ましたくない」といった漠然とした感覚も含まれます。なお、希死念慮は独立した病名ではなく、心の状態や症状の一つです。
「死にたいと思うのは自分の甘えだろうか」とご自身を責めてしまう方も少なくありません。しかし、これは過度なストレスや疲労、疾患などによって脳の働きが低下した結果生じるものです。本人の意思の弱さではなく、適切なケアと休息が必要な状態であることを知っておいてください。
ちなみに、インターネット上などで「起死念慮」と表記されているケースがありますが、正しくは「希死念慮」です。
参照:厚生労働省/こころの耳 希死念慮
参照:厚生労働省/ⅳ)現在の死にたい気持ち(自殺念慮・希死念慮)の確認
希死念慮・自殺念慮・自殺企図の違い
希死念慮と混同されやすい言葉に「自殺念慮」があります。心の状態の深刻さによって、大きく以下の3つの段階に分けられます。
- 希死念慮(きしねんりょ) 「消えてしまいたい」「生きているのがつらい」といった、死に対する漠然とした思いや願望を抱いている段階です。
- 自殺念慮(じさつねんりょ) 漠然とした思いから一歩進み、自ら命を絶つための具体的な手段や場所などを考え始める段階です。
- 自殺企図(じさつきと) 実際に命を絶つ行動に移そうとする、あるいは行動を起こしてしまった段階を指します。
このように、希死念慮の段階では直ちに行動へ移す危険性は比較的低いです。ただ、一人で抱え込んで放置すると、自殺念慮から自殺企図へと段階が進んでしまう恐れがあります。
深刻な事態を防ぐためにも、希死念慮の段階で早めに専門機関へ相談し、サポートを受けることが大切です。
関連記事:希死念慮とは?「死にたい」と口にする原因や相談先を解説

希死念慮が起きる主な原因
希死念慮は単一の理由で生じるわけではなく、精神的な疾患や社会的な背景、身体の病気などが複雑に絡み合って現れます。
精神疾患との関連
うつ病や双極性障害の抑うつ状態では、気分の落ち込みに伴い「死にたい」という思いを抱きやすくなります。
ただ、うつ病だけで起こるわけではありません。統合失調症や不安障害、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの症状として現れることもあります。
また、ADHD(注意欠如・多動症)やASD(自閉スペクトラム症)といった発達障害が背景にあるケースも見られます。社会生活でのつまずきから二次的な障害として、希死念慮を抱えてしまうことがあるのです。
心理的・社会的要因
心理的、あるいは社会的な要因も引き金となります。
・心理的要因:強い孤独感や自己肯定感の低下、過去のトラウマ体験などから「自分には生きる価値がない」と思い込んでしまうケース。 ・社会的要因:学校でのいじめ、職場でのハラスメント、失業や借金といった経済的困難など。
過酷な環境下で「どこにも逃げ場がない」と感じ続けると、心身が疲弊しきって希死念慮につながるリスクが高まります。
身体的な病気や慢性的な痛み
身体の病気や慢性的な痛みが原因となることもあります。
がんや難病などの進行性疾患では、完治の目処が立たない不安や治療の苦痛から「もう楽になりたい」という思いが生じがちです。また、慢性的な痛みは日常生活を制限し、孤独感を強める要因になります。
高齢者の場合は、加齢による身体機能の低下や介護の負担感、配偶者との死別などが重なり、希死念慮を引き起こすことがあります。
希死念慮のサインに気づいたら
希死念慮を抱えている方は、無意識のうちにサインを発している場合があります。周囲の方は、以下のような変化に気をつけてみてください。
・「消えてしまいたい」「遠くへ行きたい」といった言葉が増える ・これまで楽しんでいた趣味などに興味を失う ・急に身の回りの整理を始める、大切なものを人にあげる ・リストカットなどの自傷行為が見られる
こうした小さな変化を「ただの疲れだろう」と見過ごさず、気にかけることが第一歩です。
もしサインに気づいたとき、つい「そんなこと言ってはいけない」と正論で諭したり、「大丈夫だよ」と無理に励ましたりしてしまいがちです。しかし、それがかえってご本人を追い詰めてしまう場合があります。まずは「今はそれほどつらい状態なんだね」と、相手の苦しい気持ちをそのまま受け止める姿勢が求められます。
関連記事:心が壊れてる人の特徴とは?顔つき・言動・対処法を徹底解説
医療機関・相談先
希死念慮が続く場合、一人で抱え込まずに専門家の力を借りることが何より大切です。
「眠れない、食べられない」「死にたいという気持ちが頭から離れない」「日常生活や仕事に支障が出ている」といった場合は、精神科や心療内科の受診をご検討ください。医師の適切な診断と治療を受けることで、根本的なつらさが和らぐ可能性があります。
いきなり医療機関を受診するのにハードルを感じる場合や、今すぐ誰かに苦しい胸の内を聞いてほしい場合は、以下の公的な電話相談窓口も利用できます。多くの窓口では匿名での相談に対応していますが、詳細は各機関の公式ホームページでご確認ください。
・いのちの電話(ナビダイヤル:0570-783-556、フリーダイヤル:0120-783-556)
・よりそいホットライン(フリーダイヤル:0120-279-338)
・こころの健康相談統一ダイヤル(ナビダイヤル:0570-064-556)
※詳細は、各機関の公式ホームページで最新情報をご確認ください。
精神科訪問看護でできること
医療機関での治療と並行して、「精神科訪問看護」を利用するのも、ご本人とご家族を支える有効な手段です。
精神科訪問看護は、看護師や精神保健福祉士などの専門スタッフが定期的にご自宅を訪問し、療養生活をサポートするサービスです。外出が難しく通院が困難な状態でも、住み慣れた環境で支援を受けられます。
訪問看護では、以下のようなサポートを行っています。
・傾聴と精神的サポート:ご本人の不安やつらい気持ちを否定せずにじっくり伺い、心のケアを行います。 ・服薬管理:処方されたお薬を正しく、安全に飲めるようお手伝いします。 ・生活リズムの支援:昼夜逆転や睡眠障害など、乱れがちな生活リズムを整えるアドバイスを行います。 ・家族への心理的支援:日々の接し方に悩むご家族への助言や、精神的サポートも担います。 ・主治医との連携:ご家庭での様子を主治医に報告し、適切な治療につなげます。
『訪問看護ステーションくるみ』は、大阪市、寝屋川市、守口市、門真市、大東市、枚方市を対応エリアとし、地域に根ざした精神科訪問看護を提供しています。希死念慮を抱えるご本人や、対応に悩まれるご家族からのご相談も受け付けておりますので、必要に応じて選択肢の一つとしてご検討ください。
精神科訪問看護の支援内容について詳しく知りたい方や、利用をご検討の方はこちらからお気軽にご相談ください。
ひとりで抱え込まないでください。私たちがそっと寄り添います。
ご家族やご本人だけで抱え続けることの苦しさを、私たちは知っています。
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