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間欠性爆発性障害と離婚|別れる前に知っておきたいこととできること

精神科訪問看護とは

「さっきまで笑っていたのに、信じられないようなことで突然激怒して暴言を吐く」 「物が壊れる音や怒鳴り声に、私と子どもはいつも怯えている」

こうした夫の日常的な怒りの爆発に、心身ともに疲れ果てていませんか。話し合おうとしても火に油を注ぐだけで、何度「もうやめて」と懇願しても同じことの繰り返し。限界を感じ、「このままでは自分も子どもも壊れてしまう。もう離婚するしかないのではないか」と思い詰めてしまう方もいらっしゃるでしょう。どうか、ご自身だけで抱え込まないでください。

一方で、「これは『間欠性爆発性障害』という病気かもしれない」と気づいたとき、あなたはまた別の苦しみに直面しているはずです。「病気だと分かったのに、見捨てて逃げるのは冷たいのではないか」「家族なら、治るまで私が我慢して支えなければいけないのではないか」と、自分を責める気持ちと葛藤していることでしょう。

この記事では、間欠性爆発性障害の可能性があるパートナーとの離婚を考える際、知っておくべき法的な知識や、決断の前に試せる選択肢、そして何より「あなたと子どもを守るための道筋」について解説します。

※本記事は、間欠性爆発性障害についての理解を深め、関係性に悩む方へ向けた一般的な情報を提供するものです。医学的な診断や法的な判断に代わるものではありません。正確な診断は精神科などの専門医へ、離婚に関する具体的な法的手続きは弁護士等の専門家へのご相談をおすすめします。

ご不安な気持ちが強い時や、文章を読むのがお辛い時は、無理をせず私たちにお声がけください。

精神科の専門スタッフが、あなたの状況に合わせてお話をお伺いします。まずはお気軽にご相談ください。

大阪市、寝屋川市、守口市、
門真市、大東市、枚方市全域対象

“精神科に特化”した
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「くるみ」

06-6105-1756 06-6105-1756

平日・土曜・祝日 9:00〜18:00 
【日曜・お盆・年末年始休み】

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対応させていただいております。

間欠性爆発性障害が夫婦関係に与える影響

まずはここを押さえましょう。夫の怒りが病気によるものであっても、それが家庭という密室で引き起こす破壊的な影響は計り知れません。あなたが今どれほどの過酷な状況に置かれているのかを、客観的に見つめ直してみましょう。

爆発的な怒りが繰り返されることで起きること

間欠性爆発性障害の特徴である「状況に不釣り合いな激しい怒り」が繰り返されると、夫婦間の信頼関係は根底から崩れ去ります。妻は常に「いつまた爆発するかわからない」という恐怖を抱えます。そのため、夫の顔色をうかがい、地雷を踏まないように息を潜めて生活することになるのです。これは、家庭が「安らぎの場」から「戦場」に変わってしまったことを意味します。

このような極度の緊張状態が長く続けば、妻の心身が激しく消耗するのは当然の結果です。慢性的な不眠や頭痛、食欲不振に悩み、「私が至らないから怒らせてしまうのだ」と自己肯定感が底辺まで削り取られてしまうことも少なくありません。さらに、父親の激昂を目の当たりにする子どもへの心理的な影響も深刻です。このような環境で「離婚して離れたい」と考えるのは、逃げでもわがままでもなく、人間としての正常な防衛本能であり、ごく自然な感情だと言えます。

「病気だから仕方ない」と我慢し続けることの危険性

「夫の怒りは間欠性爆発性障害という病気のせいだから、私が我慢して理解してあげなければ」と思い込むことは、非常に危険な落とし穴です。たしかに、病気が原因であるなら、本人にもコントロールできない苦しみがあるのは事実でしょう。しかし、病気への理解を示すことと、理不尽な被害を受け続けることを受け入れることは、全く別の問題です。

あなたが感情の捌け口になり続けても、夫の症状が自然に良くなるわけではありません。むしろ、我慢が限界を超えれば、妻であるあなた自身がうつ病や適応障害などを発症し、心身を完全に壊してしまうリスクがあります。家族だからといって、自分の身を削ってまで相手の病理の犠牲になる義務はありません。「病気を理解すること」は、「暴言や暴力に耐え続ける理由」にはならないということを、どうかご自身の心身を守ることを最優先にお考えください。

関連記事:間欠性爆発性障害の夫への対処法|妻が自分と子どもを守るためにできること

関連記事:間欠性爆発性障害とは?症状・原因・治療法を徹底解説

間欠性爆発性障害を理由に離婚できるのか

いざ離婚を考えたとき、法的な側面も気になるところです。「病気を理由に離婚なんてできるのだろうか」「夫が同意してくれなかったらどうなるのか」という不安は、多くの方が抱くものです。ここでは、法的な観点から見た離婚の考え方について整理します。

法的に離婚が認められる条件

夫婦の話し合いで合意できれば(協議離婚)、理由を問わず離婚は成立します。しかし、夫が離婚を拒否し、裁判手続き(調停や裁判)に移行した場合、法的に離婚が認められるには民法で定められた「離婚事由」が必要になります。

間欠性爆発性障害による度重なる暴言や暴力、物を壊す行為などは、法律上定められた離婚理由の一つである「婚姻を継続し難い重大な事由(夫婦関係が修復不可能なほど破綻している状態)」に該当する可能性があります。ただし、間欠性爆発性障害という診断名がついているからという理由だけで自動的に離婚が認められるわけではありません。重要なのは、その病気や症状によっていかに夫婦関係が破綻し、修復不可能な状態に陥っているか、そしてこれ以上婚姻生活を続けることが妻や子どもにとって過酷であるかという具体的な事実です。個別のケースで法的にどう判断されるかについては、迷ったときには、まずは弁護士などの専門家へご相談いただくことをおすすめします。

記録が重要な理由

話し合いでも法的手続きでも、夫の言動を客観的に証明するための「記録」が極めて重要になります。間欠性爆発性障害の場合、本人は爆発中の記憶が曖昧であったり、「お前が怒らせたからだ」と責任転嫁したりすることが多いため、日々の事実関係を正確に残しておくことが大切です。

いつ、どのような状況で、どのような暴言や破壊行為があったのか、手書きのメモや日記、スマートフォンのアプリなどに詳細に記録しておきましょう。可能な範囲で、怒鳴り声の録音や、壊された物・散乱した部屋の写真を残しておくことも有効です。また、「夫に受診を勧めたが拒否された」といった経緯の記録も、あなたが夫婦関係の改善に努力した証拠となります。これらの記録は、法的な証拠となるだけでなく、あなたが「やはりこの状況は異常だ」と客観視し、決断を後押しするための大切な材料にもなるでしょう。

精神的DVとの関係

身体への直接的な暴力がなくても、大声で怒鳴り続けたり物を壊したりして相手を恐怖で支配しようとする行為は、「精神的DV(モラルハラスメント)」として認定される可能性が高いです。

間欠性爆発性障害の症状とDVは表裏一体となることが多く、身体的な暴力がないからといって「DVではない」と我慢する必要はありません。身の危険を感じたときや、精神的に追い詰められたときは、どうぞご無理なさらず、国が設置しているDV相談ナビ「#8008(はれれば)」や、お近くの配偶者暴力相談支援センターなどにご相談だけでもしてみてください。このような事情が重なったら、ご自身の安全を最優先に考えましょう。

関連記事:間欠性爆発性障害のチェックリスト|セルフチェックと他の疾患との見分け方

離婚を決める前に知っておきたい選択肢

「離婚か、今のまま耐えるか」という極端な二択だけで思い悩む必要はありません。最終的な決断を下す前に、ご自身のペースで選べるいくつかの選択肢があります。

一つの選択肢として、夫に受診と治療を促す道があります。間欠性爆発性障害は、適切な薬物療法や精神療法(アンガーマネジメントや認知行動療法など)によって、怒りの衝動をコントロールし、症状を改善できる可能性のある疾患です。もし夫が自身の問題行動を自覚し、治療に取り組む意志を見せるのであれば、専門医のサポートを受けながら関係修復を目指す道も残されています。ただし、受診を拒否されたり、治療の継続が困難であったりする場合は、次のステップを考える必要があります。

また、「別居」という選択肢も有効です。完全に離婚を成立させるには大変なエネルギーと時間がかかります。まずは夫と物理的な距離を置き、安全な場所で落ち着いて考える時間を確保してみてはいかがでしょうか。離れて暮らすことで、自分がどれだけ異常な緊張状態にいたかに気づき、冷静な判断ができるようになることも多くあります。

さらに、あなた自身が先に専門家やカウンセラーに相談することも忘れないでください。「夫の病気のことだから」と遠慮する必要はありません。今の苦しい状況を第三者に聞いてもらい、現状を整理するだけでも、心の重荷は大きく軽くなります。これらの選択肢は、「離婚しないで頑張れ」と押し付けるものでは決してありません。あなたが最も納得できる答えを見つけるためのカードとして、ぜひ心に留めておいてください。

子どもがいる場合に考えておくこと

お子さんがいらっしゃるご家庭では、さらに深い葛藤があるかもしれません。子どもの安全と未来をどのように守るべきか、慎重に考える必要があります。

子どもへの影響と安全の優先

先にも触れましたが、子どもの目の前で親同士が激しく口論したり、一方が暴言や暴力を振るったりすることは「面前DV」と呼ばれ、児童虐待に該当します。子どもの脳や心の発達に深刻な悪影響を及ぼし、生涯にわたるトラウマとなる危険性があります。

「子どもから父親を奪っていいのか」と悩む母親は非常に多いですが、それ以上に「子どもが安心して過ごせる環境が奪われている」という事実を重く受け止めなければなりません。離婚や親権の判断においても、裁判所は「子どもの心身の安全と福祉」を最優先に考えます。爆発的な怒りから子どもを遠ざけることは、親としての責任を果たす立派な行動だと言えます。焦らず、まずは安全な環境作りを第一歩として考えてみましょう。

子どもを連れて別居・避難する場合

夫の爆発がエスカレートし、あなたや子どもに危険が及ぶ恐れがある場合は、躊躇せずに子どもを連れて家を出る(避難する)ことを優先されることをおすすめします。

その際、「勝手に家を出て不利にならないか」と不安になるかもしれませんが、DVや身の危険から逃れるための別居は正当な行為と認められます。一人で準備を進めるのが怖い場合や、行き先がない場合は、配偶者暴力相談支援センターやDV相談ナビ「#8008」などに頼ってみてください。一時保護シェルターの案内や、安全に家を出るための具体的な支援を受けることができます。専門知識を持ったスタッフがあなたとお子さんを安全な方向へ導いてくれます。

離婚の過程と離婚後の自分を支えるために

離婚を決断し、夫に伝え、話し合いや調停を進めていく過程は、想像以上に莫大なエネルギーを消耗します。特に相手が間欠性爆発性障害の傾向を持つ場合、激しい怒りや理不尽な反発にさらされることも覚悟しなければならないかもしれません。その手続きの中で心身が削られ、限界を感じることもあるでしょう。

また、無事に離婚が成立し、物理的な安全が確保された後でも、すぐに心が晴れやかになるとは限りません。長期間にわたって夫の怒りに怯え、張り詰めていた神経が急に解けることで、どっと疲れが出たり、ふとした瞬間に過去の恐怖がフラッシュバックしたりと、精神的な回復には長い時間が必要になることがほとんどです。

だからこそ、離婚の前後を通じて専門家のサポートを活用し続けることが大切です。弁護士による法的なサポートはもちろんのこと、心の傷を癒すための医療的なサポートも不可欠です。もし、外出することすら辛いほど精神的に追い詰められている場合は、ご自宅に専門スタッフが訪問してケアを行う「精神科訪問看護」という選択肢をご一考ください。

訪問看護は、離婚の過程で心身が限界に達してしまったあなた自身のケアはもちろん、もし夫が治療を決意して別々の道を歩むことになった場合、夫本人の地域生活を支えるためにも利用できる制度です。私たち精神科訪問看護ステーション「くるみ」では、ご家族がこれ以上傷つかないよう、専門的な知識を持ったスタッフが寄り添い、新しい生活へ向けた心の基盤づくりをサポートします。

関連記事:間欠性爆発性障害の治し方|本人・家族ができることと専門的な治療法

まとめ

「もう限界だ」「離れたい」というあなたの声は、過酷な環境から自分と子どもを守るための、正当で大切なSOSです。病気だからといって、あなたが全てを犠牲にして耐え忍ぶ必要はありません。離婚を考えることは決して「逃げ」ではなく、より安全で穏やかな未来を手に入れるための勇敢な選択の一つです。

ただし、相手の特性上、決断を焦ったり、感情のままに一人で事を進めたりすることは危険を伴う場合があります。迷ったときや不安なときには、弁護士や医療機関、DV支援センターなどの専門家へご相談いただき、安全第一で一歩ずつ進めていくことをおすすめします。

あなたに寄り添い、ともに歩むスタッフがいます。迷い、傷つき、立ち止まってしまいそうなときは、私たち「くるみ」へご相談ください。あなたがあなた自身の人生を取り戻し、安心して深呼吸できる明日を迎えるために、私たちはいつでもそばで伴走したいと願っています。

参照:DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)

ひとりで抱え込まないでください。私たちがそっと寄り添います。

ご家族やご本人だけで抱え続けることの苦しさを、私たちは知っています。

「少し話を聞いてほしい」だけでも大丈夫です。まずはお気軽にご相談ください。

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この記事を監修した人

中野誠子

株式会社Make Care 代表取締役社長

中野 誠子

看護師 / (元)重症心身障害児者認定看護師

精神科病棟勤務・看護学校教員として経験を積み、「こころに寄り添う看護」を志す。石森・濱𦚰とともに株式会社Make Careを創業。現在は訪問看護ステーションくるみの代表として現場に立ちつつ、メディアにも積極的に登場し、地域精神医療の啓蒙とアップデートに挑む。

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