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看護師の必須スキル「傾聴」とは?三原則や効果、実際に活用できる技法も解説

2024.05.02 精神科訪問看護とは

看護師の必須スキル「傾聴」

コミュニケーションで大事なのは、傾聴・共感・受容といわれています。そのなかでも傾聴は看護師に必須のスキルとされており、高齢化が進む現在、介護や福祉の現場でも需要が高まっているスキルの1つです。

この記事では、傾聴の定義や効果などを解説します。
さらに、傾聴技法や傾聴力を高めるコミュニケーションのポイントも紹介していますので、ぜひ最後までお読みください。

大阪市、寝屋川市、守口市、
門真市、大東市、枚方市全域対象

“精神科に特化”した
訪問看護ステーション
「くるみ」

06-6105-1756 06-6105-1756

平日・土曜・祝日 9:00〜18:00 
【日曜・お盆・年末年始休み】

※訪問は20時まで
対応させていただいております。

看護師におけるスキル「傾聴とは」

看護師におけるスキル「傾聴とは」

傾聴とは、相手の話に注意深く耳を傾けることを意味します。その中でも看護師における傾聴とは、信頼関係を築いていくために「相手の感情や思考に共感し、相手の自己表出を促していく行為である」とされています。

相手を評価したり指導したりするような聴き方ではなく、相手を受容し安心感を与える聴き方を意識するのが大切です。

傾聴の意味と使い方

傾聴は「聞く」よりも深いレベルで「聴く」行為を示します。言葉だけでなく表情や声のトーンなど非言語的な要素も含めて受け止める姿勢が必要です。看護師が傾聴を実践すると、患者は安心感を得やすくなり、自らの思いを率直に伝えられるようになります。単なる情報収集ではなく、心に寄り添うことが目的です。

看護師による傾聴の効果

看護師による傾聴の効果は、以下の3つです。

・信頼関係が構築できる
・自己理解・自己受容が進む
・カタルシス効果が得られる

誠実に相手に対応する傾聴は「不安や悩みを話してもよい人」という安心感を与え、信頼関係の構築につながります。そして安心感持って話すことで、相手は会話の中で自分の気持ちや考えに気づけ、自己理解と自己受容が進むでしょう。

ネガティブな感情を口に出して苦痛が緩和される状態を「カタルシス効果」といいます。信頼関係が構築できていると、相手からネガティブな感情も引き出せるでしょう。

ヒアリングとの違い

ヒアリングは事実確認や情報収集が目的ですが、傾聴は感情や価値観の理解を目的としています。例えば、患者の「痛い」という言葉を傾聴では感情の背景まで汲み取り、安心を与える声掛けにつなげます。看護師はヒアリングと傾聴を適切に使い分け、双方をバランスよく活用することが求められます。

傾聴の3原則

共感的理解

共感的理解とは、相手の立場に立ち、その気持ちに寄り添いながら理解しようとする姿勢を意味します。単に「分かる」と口にするだけでなく、相手が置かれている状況や感情を自分のことのように受け止めることが大切です。

看護師が共感的理解を示すことで、患者は「気持ちを理解してもらえた」という安心感を得られ、本音を打ち明けやすくなります。信頼関係の形成や心理的安全性の確保に直結するスキルです。

無条件の肯定的関心

無条件の肯定的関心は、相手の話を善悪や好き嫌いで評価せずに受け止める姿勢です。たとえ患者が社会的に否定的な内容を話したとしても、最初から否定するのではなく「なぜそう考えるようになったのか」という背景に関心を持って聴くことが大切です。

この態度があることで患者は安心して思いを表現でき、看護師に信頼を寄せるようになります。批判や否定をしない姿勢は、患者の心を開くための鍵といえます。

自己一致

自己一致とは、聴き手である看護師が相手に対しても自分自身に対しても誠実であることを指します。もし相手の話に理解できない部分があれば曖昧にせず「よく分からなかったので教えてください」と確認することが求められます。

分からないことをそのままにしておくのは自己一致に反します。看護師が自然体で正直に関わることで、患者は「信頼できる相手だ」と感じ、安心して本音を話すことができます。

参照:厚生労働省 こころの耳/傾聴とは

看護師に必要な5つの傾聴スキル

看護師に必要な5つの傾聴スキル

ここでは、看護師に必要な傾聴技法を5つ紹介します。

技法 特徴
姿勢 穏やかな表情と清潔感のある服装は、相手に安心感を与えられます。

腕や足を組むといった横柄な態度や、拒絶感を与える姿勢は控えましょう。

単純受容 「うなずき」「あいづち」「繰り返し」をして、聴いている姿勢を示します。

相手の話をさえぎらないのがポイントです。

事柄・感情への応答 事柄的・感情的な表現を聞き取り、それを言い換えて返答します。

相手は自分の話や感情を理解してくれたと知り、安心できます。

要約 長い話を簡単に要約して返答します。

これにより相手が考えをまとめ、自分を見つめ直すサポートができます。

質問 相手が自由に回答できるオープンクエスチョンを心がけます。

聴き手が相手に関心を持っていることを示し、相手は自己理解が深まります。

患者さまは、気軽に話せない思いや遠慮、相談しにくい背景を抱えている場合があります。相手に姿勢や態度で安心感を与えるとともに、事柄・感情への応答や要約、質問を行うことで、話に関心があると示せるため信頼関係が築きやすくなるでしょう。

関連記事:【精神科訪問看護師が解説!】精神疾患を抱える方への重要な看護師のコミュニケーション方法とは?

傾聴のメリット

傾聴を取り入れることで、看護師と患者の関係は大きく改善します。患者の安心感が高まるだけでなく、業務効率の向上にもつながります。ここでは代表的な2つのメリットを解説します。

信頼関係の構築

傾聴を実践すると、患者は「自分の気持ちを理解してもらえた」と感じ、看護師への信頼感が高まります。信頼関係が深まることで、治療やケアに積極的に協力する姿勢が生まれ、回復への意欲も高まります。また、患者が本音を語りやすくなるため、看護師はより正確な情報を得られ、適切な支援を提供しやすくなります。傾聴は患者と看護師双方の安心感と協力関係を築く基盤です。

業務の効率化

傾聴を通じて患者の本音や背景を理解できると、不要な検査や誤解による対応を減らすことができます。その結果、限られた時間の中で効率的に看護を進めることが可能となり、業務負担も軽減されます。さらに、患者が安心して情報を共有するようになるため、トラブルや再確認の手間が少なくなり、医療チーム全体の連携強化にもつながります。傾聴は効率と質を両立させる有効なスキルです。

傾聴力を高めるコミュニケーションの5つのポイント

傾聴力を高めるコミュニケーションの5つのポイント

最後に、傾聴力を高めるコミュニケーションのポイントを3つ紹介します。

相手を理解し尊重する

相手の話をしっかりと聴き、相手の価値観や意見を否定しないことが大切です。相手を思いやる気持ちは自然と姿勢や態度、表情など非言語的コミュニケーションとして現れます。

相手を受容し、安心感を与える聴き方を心がけましょう。

ミラーリングやバックトラッキングを意識する

ミラーリングとは、相手と同じしぐさや表情をすることです。安心感を抱いたり信頼関係を形成したりすることにつながります。

バックトラッキングとは、言葉や感情を言い換えたり要約したりして返答する手法です。相手の話を聴いていることを示し、相手に自分が発した言葉を再認識してもらうために行います。「相手に自分の話を理解してもらえている」との認識を与えられるでしょう。

オープンクエスチョンを心がける

質問するときは、相手が自分の気持ちを自由に答えられるよう、開かれた質問を意識しましょう。

5W1Hの質問をすることで、より具体的な話を引き出せるだけでなく、聴き手も相手自身も解決すべき問題を明確にできます。ただし、うまく自分から話し出せない患者さまに対しては、「はい」「いいえ」で答えられるクローズドクエスチョンも効果的です。

表情や声のトーンを意識する

看護師の表情や声の調子は、患者にとって大きな安心材料です。穏やかな表情や落ち着いた声で対応することで、患者は安心して話しやすくなります。反対に、無表情や不機嫌な態度は信頼関係を損ないます。非言語的な要素がコミュニケーション全体に与える影響は大きく、看護師は自分の表情や声を常に意識することが重要です。

聴くのは8割、話すのは2割

会話の中心は患者であり、看護師は聴くことに重点を置くべきです。自分の話を控えめにし、相手の話に耳を傾ける姿勢を取ることで、患者は「受け止めてもらえている」と感じます。聴く割合を多くすることで、患者の本音を引き出せるだけでなく、必要な情報も的確に把握できます。傾聴の実践には、聴く姿勢を主体とする意識が不可欠です。

看護師は傾聴を用いたコミュニケーションが大切

看護師における傾聴とは、単なるコミュニケーションの手段ではなく、相手を全人的に理解しようとし、信頼関係を築くための行為です。傾聴技法やポイントを押さえたコミュニケーションを意識することで、相手に安心感を与えられるでしょう。

傾聴スキルは、病院だけでなく訪問看護でも大いに役立ちます。特に精神科領域では、傾聴が必要となる場面が多くあるでしょう。在宅医療に携わりながらスキルを身につけたい方は、『訪問看護ステーションくるみ』で一緒に働きませんか?興味のある方は、こちらからお気軽にお問い合わせください。

大阪市、寝屋川市、守口市、
門真市、大東市、枚方市全域対象

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対応させていただいております。

この記事を書いた人

鬼頭怜那

鬼頭 怜那(きとうれな)

看護師 / 産業心理カウンセラー

看護師資格を取得後、産科病棟で勤務。その後、精神科の急性期・慢性期病棟にて、精神疾患だけでなく身体疾患のある患者の看護にも携わる。精神科の訪問看護での勤務経験も活かしながら、現在はライターとして医療・薬理・在宅ケア・メンタルヘルスに関する記事を執筆中。

この記事を監修した人

石飛美春

株式会社Make Care Webクリエイター

石飛 美春

看護師 / Webクリエイター

看護師として臨床を経験後、一度Web業界に転身。ものづくりの楽しさを知る一方で、やはり人と関わる現場に戻りたいという想いから、訪問看護ステーションくるみに入職。現在は訪問業務とあわせて、Web制作の経験を活かし、HPやSNSの更新を担当している。

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