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【専務エッセイ】Vol.83 夏の暑さとこころの変化

くるみの社長エッセイハムさんシリーズ精神科訪問看護とは

大阪市全域を訪問区域とする『訪問看護ステーションくるみ』の代表、濱脇直行が綴る『専務エッセイ』第83弾!

 

みなさん、こんにちは。
専務の濱脇です。

さあ、もう夏本番です。

訪問看護では、車で移動することも多いのですが、ちょっと訪問に行っている間に駐車場に30分くらい車を置いていただけで、次に乗るときの車内は、サウナなんて優しい感じのものではありません。
ある意味、罰ゲームではなかろうかと思うことがあります。
ドアを開けた瞬間、むわっとしたなんともいえない熱気が押し寄せて、シートに座れば背中も熱いし、ハンドルも「火で炙りましたか?」と思うくらい熱い。
エアコンをつけても、最初に出てくるのは、なぜか温かい風です。
ただ車に乗っただけで、まだ何もしていないのに、「もう疲れているやん……」と思う日もあります。
気温は40℃でも、車内は50℃を超えていることもあるので、本当にヤバさを感じますね。

そんな夏の暑さですが、身体だけではなく、こころの状態にも影響することがあります。
今回は、夏の暑さと精神状態の変化について、訪問看護の現場で感じることを交えながら、お話ししていきたいと思います。

 

大阪市、寝屋川市、守口市、
門真市、大東市、枚方市、吹田市、尼崎市全域対象

“精神科に特化”した
訪問看護ステーション
「くるみ」

06-6105-1756 06-6105-1756

平日・土曜・祝日 9:00〜18:00 
【日曜・お盆・年末年始休み】

※訪問は20時まで
対応させていただいております。

 

暑さは身体だけでなく、こころも消耗させる

夏は、外に出るだけでも体力を使います。
汗は滝のように流れ出るし、身体はなんとか体温を下げようと働き続けています。
そこに食欲の低下や寝苦しさなどが重なってくると、普段どおりに過ごしているつもりでも、少しずつ余裕がなくなってくるものです。

そして、この「余裕のなさ」は、当然のようにこころにも変化をもたらします。

普段なら流せることにイライラしたり、頭がぼーっとして考えがまとまりにくくなったり。
何をするにも「めんどくさいなあ……」と感じたりするようになることもあります。

なんとなく人と話すこともしんどくなって、外出を控えているうちに、昼夜が逆転してしまうこともありますよね。
そうなると、TikTokやYouTubeの動画が、もうお友達ですよ。
夜更かしして動画を見たり、ゲームをしたりして、結局は朝起きられなくなる。
そうなると、悪循環の扉を開いてしまった、という感じです。

暑さを避けようとして日中をほとんど寝て過ごし、涼しくなった夜に目が冴える。
こうした生活リズムの乱れも、夏には起こりやすくなります。

なかでも、特に影響が出やすいのが「睡眠」です。
熱帯夜で暑くて寝つけない。
睡眠の質も悪くなって、夜中に何度も目が覚める。
そうすると、朝になっても全然疲れが取れていない、なんてことが起こります。
疲れを取るための睡眠が、逆に疲れを溜めるものになってしまうんですよね。
そんな日が続けば、そりゃ集中力も低下するし、気分も不安定になりやすくなります。

暑くて眠れない

↓

眠れないからイライラする

↓

イライラするから、さらに眠れない

↓

そして疲れだけが残る

夏は、こうした悪循環に入りやすい季節なんです。
ほんと、暑いだけでも厄介なのに。

昔、30年くらい前に私が子どもだった頃は、こんなに暑くなかったんですよ。本当に。
元気に外で遊んでいましたし、今よりずっと過ごしやすかったように思います。

年々暑さが厳しくなっている今だからこそ、身体だけではなく、こころの変化にも目を向けておきたいところです。

 


「こころの変化」だけだと思わないこと

一方で、精神疾患を抱えておられる方の場合は、生活リズムの乱れや睡眠不足が、もともとの症状に大きく影響してしまうことも少なくありません。
気分の落ち込みや不安が強くなる人もいれば、反対に活動的になりすぎたり、眠らなくても平気なように感じたりする人もいます。

ただし、ここで勘違いしてはいけないのは、こうした変化をすべて「精神症状」と決めつけることはできないということです。

だるさ、食欲不振、ぼんやりする感じ、会話の受け答えの変化などは、暑さによる消耗や熱中症でも起こることがあります。
「精神的に不安定なんだろうな」と思っていたら、気づいたときには身体の状態が悪化していた、なんてこともあります。
だからこそ、夏は特に、身体とこころの変化を切り離さずに見ていく必要があります。

訪問看護で確認するのは「水分、取れていますか?」ということだけではありません。

エアコンをちゃんと使えているのか。
夜は眠れているのか。
食事量は減っていないか。
薬は決められたとおりに飲めているか。
外出や活動が極端に減っていないか。

そういったことも含めて、生活全体を見ていくことが大切なんですよね。

ご本人が「大丈夫です」と話していても、部屋がめちゃくちゃ暑かったり、冷蔵庫に飲み物がなかったり、いつもよりなんとなく会話が少なかったり。
そうした小さな変化を感じることがあります。

エアコンがあっても、電気代を気にして使っていない。
冷えすぎるのが苦手で止めている。
そういう場合も結構あります。

だから、言葉だけではなく、表情や受け答え、部屋の環境、生活の変化などを合わせて確認することが大切なんです。
これは、訪問看護だからこそできることのひとつだと思っています。

 


しんどいときこそ、訪問看護を頼ってほしい

暑いし、しんどいから「今日は訪問を休みたい」と思う日もあるのかなと思います。
でも、訪問看護は、元気なときだけ受けるものではありません。

むしろ、しんどいときこそ受けてもらいたい。

身体の状態や生活の崩れを一緒に確認できますし、そのときに必要なアドバイスや支援を提供することもできます。
なので、訪問をキャンセルしたり、中止したりする前に、まずは今のしんどさをスタッフへ伝えてもらえればと思います。

「今日はちょっとしんどいです」
それだけでもいいんです。

そこから一緒に考えればいい。

対策として、規則正しい生活、十分な睡眠、栄養のある食事などがよく挙げられます。
もちろん、どれも大切です。
でも、調子を崩しているときに、いきなり全部を整えるのは簡単ではありません。
しんどいときって、何にもしたくなくなることが多いですからね。

だから、まずは暑さを我慢しないこと。
エアコンなどを使って、涼しい場所で過ごすこと。
のどが渇いていなくても、こまめに水分を取ること。
食欲がなければ、食べられるものを少量でも口にすること。

ただし、医師から水分や塩分の制限を受けている場合は、その指示を優先してくださいね。

そして、眠れない日が続いたり、薬が飲めていなかったり、
「普段よりなんか腹が立つ」
「怒りっぽくなっている」
「気分の落ち込みや不安が強い」
といった変化があれば、早めに訪問看護へ相談してください。

また、呼びかけへの反応が鈍い、会話がかみ合わない、ふらふらしてまっすぐ歩けない、意識がぼんやりしているといった場合には、精神状態の変化だけでなく、重い熱中症の可能性も考える必要があります。
熱中症は、本当に気をつけないと命に関わります。

「いつもの精神症状かな」「暑いから、ちょっとしんどいだけかな」
と自己判断せず、いつもと違う変化があれば、早めに周囲や医療・介護のスタッフへ相談してほしいと思います。

 


さいごに

夏は、元気な人でも知らないうちに消耗します。
暑いから仕方ない、と全部を暑さのせいにしているうちに、身体もこころも限界に近づいていることがあります。
だからこそ、暑さを我慢することが「頑張ること」では決してありません。

身体を守ることは、こころを守ることにもつながります。
今年の夏も、めちゃくちゃ暑いですからね。

少し早めに休む。
少し早めに相談する。
そして、しんどいときは一人で抱え込まない。

訪問看護も頼ってください。
「こんなことで相談していいのかな」と思うくらいのことでも大丈夫です。

一緒に身体とこころの状態を確認しながら、この暑い夏を乗り切っていきましょう。

では、本日はこの辺で。

この記事を書いた人

濱𦚰直行

株式会社Make Care 専務取締役COO

濱𦚰 直行

看護師

オペ看護師としての豊富な経験を活かし、精神科訪問看護の現場へ。地域密着型のケアと現場主義を貫く実践派。石森・中野とともに株式会社Make Careを創業し、現在は訪問看護ステーションくるみの統括責任者として、現場支援と組織運営の両立に挑んでいる。

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