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非定型うつ病になりやすい人は?原因として考えられていることを整理

精神科訪問看護とは

調子が悪い状態が続き、「なぜ自分がこうなってしまったのか」と、その理由を懸命に探そうとするお気持ちは痛いほどわかります。インターネットで検索すると、「こういう性格の人がなりやすい」といったリストがたくさん出てきて、そこに自分を当てはめ、かえって深く落ち込んでしまったという経験はないでしょうか。この記事では、そうした表面的な性格の話ではなく、状態の背景として実際にどのようなことが語られているのかを整理していきます。

 

ご不安な気持ちが強い時や、文章を読むのがお辛い時は、無理をせず私たちにお声がけください。

精神科の専門スタッフが、あなたの状況に合わせてお話をお伺いします。まずはお気軽にご相談ください。

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06-6105-1756 06-6105-1756

平日・土曜・祝日 9:00〜18:00 
【日曜・お盆・年末年始休み】

※訪問は20時まで
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「なりやすい人」を性格で語ることの限界

インターネット上で情報を探していると、特定の性格を挙げたリストを目にすることが多いかもしれません。しかし、それらの情報の多くは確かな出典が示されておらず、根拠を確認することができません。では、なぜこのような「性格リスト」がこれほどまでに広く出回っているのでしょうか。それは、不調に直面して「なぜ自分が」と答えを求める気持ちに対して、手軽で分かりやすい答えを提示してくれるからです。

こうしたリストに当てはまる人が実際にいること自体は否定されません。しかし、それはあくまで「そういう傾向を持つ人もいる」という一つの記述に過ぎず、「その性格であるからこそ発症する」という因果関係を説明するものにはなりません。むしろ、状態の背景を「性格の問題」として理解してしまうと、ご本人は「自分の性格が悪いから病気になったのだ」「考え方を変えない自分がダメなのだ」という強い自責の念に駆られてしまいます。これは、回復を目指すうえで大きな重荷になります。

この記事では、ご自身の人格を評価するような視点を持つことはしません。そうではなく、どのような負荷のかかり方がご本人に影響を与えているのかという、より客観的な視点から背景を整理していきます。

 

非定型うつ病の原因は特定されていない

まず前提として、「非定型うつ病」という言葉について整理します。これはアメリカ精神医学会の基準である「DSM-5-TR」において、独立した病名として存在するわけではありません。正確には、うつ病の経過の中で見られる「非定型の特徴を伴う」状態を指す用語です。

この状態の発症について、明確にお伝えしておかなければならない事実があります。それは、原因は特定されていないということです。「これがあれば必ず発症する」という単一の決定的な要因は、現在のところ明らかになっていません。

一般的には、生まれ持った特性と、生活する中での環境要因が複合的に関わり合って発症に至ると考えられています。ここで重要なのは、「原因が特定できない」ということは、決して「状態が軽い」という意味でも、「治療法がない」という意味でもないということです。

関連記事:非定型うつ病とは?定型うつ病との違い・症状・接し方をわかりやすく解説

 

背景として語られていること

原因が一つに特定できない中でも、発症の背景として影響を与えていると考えられている要素があります。これらは「原因」ではなく、あくまで「関連するかもしれない要因」として語られるものです。

 

生まれ持った気質や感受性の違い

私たちはそれぞれ、生まれ持った気質や感受性の違いを持っています。同じ出来事を経験したとしても、それをどれくらい強い刺激として受け取るかには、大きな個人差があります。ある人にとっては軽く流せることでも、別の人にとっては深く心に刻まれるほどの衝撃になることがあります。この感受性の違いは、日常の中できめ細やかな気配りや豊かな共感性として役に立つ場面も多く、それ自体が欠点や弱点というわけではありません。しかし、日々の細かな刺激を強く受け止める分、負荷が蓄積しやすいという側面が影響を与えると考えられています。

 

他者の評価に敏感になりやすい傾向

対人関係において、他者からの批判や拒絶に対して極度に強く反応してしまう「拒絶過敏性」と呼ばれる特徴を伴うことがあります。この傾向があると、相手の何気ない言葉や態度に過剰に反応してしまい、対人場面での精神的な負荷が人一倍積み重なりやすくなります。評価が気になりやすい状態が長く続くと、人と実際に会う前の段階ですでに神経をすり減らし、大きな消耗を感じてしまうことになります。これは人格の評価ではなく、外部からの刺激に対して負担を感じやすい状態であると捉えることができます。

関連記事:拒絶過敏性とは?ADHD・非定型うつ病との関係と、つらさへの向き合い方

 

環境が大きく変わる時期の負荷

進学、就職、異動、転居など、生活環境が大きく変化する時期は、心身に多大なエネルギーを要求します。たとえそれが本人にとって喜ばしい変化であったとしても、新しい環境に適応しようとすること自体が大きな負荷となります。なお、こうした環境の変化による影響は、変化の真っ只中に現れるとは限りません。一見すると何とかやり過ごせたように見え、しばらく時間が経ってから心身の不調として表面化してくることも少なくありません。

 

否定される経験が積み重なった場合

学校や職場などの生活の場で、長期にわたって「あなたはできない」「ダメだ」と否定的な評価を受け続けた経験が、背景として影響を及ぼしていると語られることがあります。一つひとつの出来事はそれほど大きく見えなくても、否定されるような体験が繰り返されることで、心身の負荷は確実に蓄積していきます。特定の誰かだけを悪者として特定できるわけではありませんが、そうした環境のなかで自己肯定感が削られ続けた結果、バランスを崩してしまうという文脈です。

 

「親が原因」という説明について

インターネット上などでは、「親の育て方が原因ではないか」という説明を目にすることがあるかもしれません。実際に、ご自身が育ってきた環境が背景の一つとして語られることはあります。しかし、特定の育て方と発症を直接的に結びつける説明は、確かな根拠のあるものではありません。これは「誰の責任である」と確定できるような問題ではないのです。

一方で、実際にご家庭でつらい経験をしてきた読者の方もいらっしゃるでしょう。その経験を「発症とは関係ない」と否定する必要はありません。あなたが感じた苦痛は事実です。ただし、「その経験がつらく苦しいものであったこと」と、「それが現在の状態の唯一の原因であると特定できること」は、分けて考える必要があります。

また、ご自身のお子さんがこの状態になり、「自分の育て方が悪かったのではないか」と深く悔やんでいる親御さんもいらっしゃるかもしれません。しかし、繰り返しますが、特定の関わりが原因だと言い切れるものではありません。

原因を確定させることにエネルギーを注ぎ続けるよりも、今どのような負荷がかかっているのか、どうすればその負担を少しでも減らせるのかという「これから」に目を向けるほうが、結果としてご本人もご家族も負担が軽くなる場合があります。

 

遺伝や家族歴はどう考えるか

家族の中に同じような状態の人がいると、「遺伝するのではないか」と不安に思われるかもしれません。これについては、体質的な傾向が関与する可能性が指摘されることはある、という水準にとどまります。

つまり、ご家族に同じような経験をした方がいるからといって、必ずしも自分や自分の子どもが同じ状態になるわけではありません。あくまで様々な要因の一つとして考えられているに過ぎず、遺伝的な要素だけで発症が決まるわけではないという視点を持つことが大切です。

 

「当てはまる」と感じたときに

ここまで挙げてきた背景の要素に、自分がいくつも当てはまると感じた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、これらの要素に当てはまるからといって、それだけで必ず発症するわけではありません。

大切なのは、当てはまる要素を見つけて自分を分類し、特定のラベルを貼ることではありません。自分の傾向を知る目的は、自分を型にはめて制限することではなく、「日常生活のなかでどのような場面や状況に直面すると、自分の心身に過度な負担が増えてしまうのか」を事前に把握するためのものです。自分が負担を感じやすいポイントをあらかじめ知っておくことが、実際の生活のなかで対策を立てるための現実的な助けになります。

自分の性格を無理に変えようとする必要はありません。変えるべきなのは、ご自身にかかっている負荷の大きさや、負荷のかかり方です。気になる状態が続いているのであれば、当てはまるかどうかを一人で考え続けるより、専門家に相談したほうが確実な一歩を踏み出せます。

関連記事:非定型うつ病の治し方は?回復に向けて生活のなかでできること

関連記事:非定型うつ病の人への接し方|「昨日は元気だったのに」が禁句になる理由

 

相談を考えるタイミング

以下のような状態が見られる場合は、一人で抱え込んだり理由を探し続けたりせずに、相談を考えるタイミングだと言えます。

  • 気分の落ち込みや激しい波が続き、仕事や学校、家事が継続できなくなっている
  • 昼夜逆転など生活リズムが大きく崩れ、自分の力では立て直せない
  • 他人からの評価が怖くなり、人と会うことや外出を極端に避けるようになっている
  • ご家族もどのように対応すればよいか分からず、家庭内で行き詰まりを感じている

このような状態にあるときは、精神科や心療内科への相談を検討してください。原因がはっきりしなくても、今のつらさを和らげるための治療やサポートを受けることは十分に可能です。

また、通院そのものが負担になってしまう場合や、生活のなかでの困りごとをご自宅で継続的に相談したい場合には、精神科訪問看護を利用するという選択肢もあります。専門のスタッフが定期的に関わることで、生活の場での実践的なサポートを受けることができます。

 

よくある質問

  1. 非定型うつ病になりやすい性格はありますか? 特定の性格と発症を直接結びつける説明には、確かな根拠が示されていません。性格の問題として捉えるのではなく、ご自身にどのような負荷がかかっているかという視点で捉えるほうが実際的です。
  2. 若い女性に多いというのは本当ですか? そのような記述を見かけることがあるかもしれませんが、確かな根拠を示せる情報ではありません。年齢や性別といった属性だけで区切れるものではないため、誰にでも起こりうる状態だと考えるのが自然です。
  3. 親のせいでしょうか? 育った環境が背景として語られることはありますが、特定の誰かの責任として説明できるものではありません。原因を単一のものに求めることは困難です。
  4. 遺伝しますか? 体質的な傾向が関与する可能性が指摘されることはありますが、必ず受け継がれるものではありません。遺伝はあくまで複合的な要因の一つに過ぎません。

 

まとめ

「非定型の特徴を伴う」状態の発症について、明確な原因は特定されていません。生まれ持った気質や環境の変化など、複数の要素が絡み合って起きると考えられています。

インターネット上の情報を見て、性格の問題として自分を責めたり、過去の原因探しに没頭したりする必要はありません。原因を完全に確定させることよりも、今ご自身にかかっている負担をどう減らしていくかに目を向けてよいのです。一人で悩み続ける前に、医療機関などの専門家に相談する視点を持ってください。

 

ひとりで抱え込まないでください。私たちがそっと寄り添います。

ご家族やご本人だけで抱え続けることの苦しさを、私たちは知っています。

「少し話を聞いてほしい」だけでも大丈夫です。まずはお気軽にご相談ください。

 

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参照:MSDマニュアル

この記事を監修した人

中野誠子

株式会社Make Care 代表取締役社長

中野 誠子

看護師 / (元)重症心身障害児者認定看護師

精神科病棟勤務・看護学校教員として経験を積み、「こころに寄り添う看護」を志す。石森・濱𦚰とともに株式会社Make Careを創業。現在は訪問看護ステーションくるみの代表として現場に立ちつつ、メディアにも積極的に登場し、地域精神医療の啓蒙とアップデートに挑む。

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