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間欠性爆発性障害の接し方|爆発中・落ち着いた後・受診を促す方法を解説

精神科訪問看護とは

「些細な一言で突然火がついたように怒り出す。次にいつ爆発するかと思うと怖くて何も言えない」 「機嫌が良いときは普通なのに、スイッチが入ると別人のように物を壊したり怒鳴り散らしたりする」

あなたの身近に、このようにコントロールできない激しい怒りを繰り返す人はいませんか。家族や職場の同僚、友人として同じ空間を過ごす中で、「私の言い方が悪かったのだろうか」「どう接すれば平和に過ごせるのだろうか」と、常に相手の顔色をうかがい、心身ともに疲れ果てている方は決して少なくありません。

毎日、地雷を踏まないように気を張り詰めて過ごすことは、想像を絶する苦労です。「相手の顔色をうかがってばかりで情けない」とご自分を責める必要は全くありません。あなたが今「つらい」「怖い」と感じている、その事実だけで十分に休む理由になるのです。

もしかすると、その激しい怒りの裏には「間欠性爆発性障害」という、脳の感情コントロールに関わる疾患が隠れているかもしれません。この記事では、間欠性爆発性障害の可能性がある人に対して、爆発が起きた瞬間の対応から、落ち着いた後の関わり方、そして関係性別の接し方のポイントまでを解説します。

完璧な接し方を探す前に、まずはあなた自身の心と身体を守る方法を一緒に考えていきましょう。

※本記事は、人間関係に悩む方へ向けた一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断やアドバイスに代わるものではありません。相手の言動に身の危険を感じる場合や、ご自身の心身に不調が現れている場合は、速やかに医療機関や専門の相談窓口へご相談ください。

ご不安な気持ちが強い時や、文章を読むのがお辛い時は、無理をせず私たちにお声がけください。

精神科の専門スタッフが、あなたの状況に合わせてお話をお伺いします。まずはお気軽にご相談ください。

大阪市、寝屋川市、守口市、
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06-6105-1756 06-6105-1756

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間欠性爆発性障害の人に接する前に知っておくこと

「怒りたくて怒っているわけではない」という理解

相手の突然の理不尽な爆発を目の当たりにすると、「なんて性格が悪いんだろう」「自分をコントロールするためにわざと大声を出しているのではないか」と感じてしまうのは無理もないことです。しかし、間欠性爆発性障害の場合、その怒りは本人の意志や性格の問題ではなく、脳の神経伝達物質の働きなどに関わる機能的な問題である可能性が高いとされています。

つまり、本人は「怒りたくて怒っている」わけではなく、湧き上がる衝動を自分自身の脳のブレーキで止めることができずに苦しんでいる状態なのです。この「脳の反応である」という事実を知るだけでも、相手の怒りを「自分への悪意」として真正面から受け止める必要がないことに気づき、少しだけ心が軽くなるかもしれません。

しかし、ここで絶対に誤解してはならない重要なポイントがあります。それは、「病気や脳の反応であることを理解すること」と、「相手の暴力や暴言といった被害を受け続けること」は、全く別の問題だということです。病気だからといって、あなたがサンドバッグになって耐え忍ぶ義務はどこにもありません。あなたが被害を受け続けて良い理由はないのです。理解を示すことは大切ですが、それは決して「理不尽な怒りを許容し続けること」を意味するわけではないと、強く心に留めておいてください。

接する側が消耗しないための心構え

間欠性爆発性障害の傾向がある人を支えたり、関わったりする上で最も重要な心構えは、「相手の性格や病気を自分の力で変えようとしないこと」です。

家族や親しい友人ほど、「私がもっとうまく接すれば、あの人は怒らなくなるはずだ」「私の愛情でなんとか治してあげたい」と献身的に努力し、結果的に深く傷ついてしまいます。しかし、専門的な治療なしに周囲の接し方だけで劇的な改善を見込むのは非常に困難です。あなたが最優先すべきは、相手を変えることではなく、あなた自身の安全と心の平穏を確保することです。支える側が倒れてしまっては、共倒れになってしまいます。まずはご自身を守るためのバリアを張ることを第一に考えてください。逃げることも、物理的に離れることも、とても勇敢な選択です。

関連記事:間欠性爆発性障害とは?症状・原因・治療法を徹底解説

関連記事:間欠性爆発性障害のチェックリスト|セルフチェックと他の疾患との見分け方

爆発が起きたときの正しい対応

いざ相手の激しい怒りが爆発してしまったとき、どのように対応するのが正解なのでしょうか。最も重要なのは、興奮状態にある相手に対して、絶対に言い返したり、正論で説得しようとしたりしないことです。怒りのピークにある人間の脳は一種のパニック状態に陥っており、どれほど筋の通った言葉であっても一切届きません。むしろ、相手は「反論された」「自分が否定された」と受け取り、怒りの炎をさらに燃え上がらせてしまう結果になります。

爆発が始まったら、可能な限り速やかにその場を離れ、物理的な距離を置くことが最善の防御策です。同じ部屋にいるなら別の部屋へ移動し、難しければ家の外や職場の別のフロアなど、相手の視界から外れる安全な場所へ避難してください。もしその場に子どもや他の人がいる場合は、その人たちを連れて一緒に避難し、守ることを最優先に行動します。

間欠性爆発性障害の怒りの発作は、火山の噴火のように激しい反面、多くは30分以内という比較的短時間でスッと収まるという特徴があります。嵐の真っ只中に飛び込んで風を止めようとするのではなく、安全なシェルターに隠れて嵐が通り過ぎるのをじっと待つのが、最も被害を最小限に抑える賢明な対応です。

とはいえ、恐怖で動けなくなってしまったり、うまく距離が取れなかったりした日があっても、決してご自分を責めないでください。「逃げられなかった自分」を責める必要はありません。まずは少しでも身の安全を確保できたなら、それで十分です。

やってはいけない対応

良かれと思って、あるいは売り言葉に買い言葉でついやってしまいがちな対応の中には、事態を深刻化させてしまう「NG行動」がいくつか存在します。

まず、相手の怒りに引きずられて感情的に言い返してしまうことは、最も避けるべき行動です。これは相手の攻撃性を限界まで引き出し、最悪の場合は暴力などの取り返しのつかない事態に発展するリスクがあります。また、相手がなぜ怒っているのか理解できないあまり、「なんでそんな些細なことで怒るの?」「何が不満なの?」と原因を問い詰めることも、相手をさらに混乱させ、怒りを増幅させる逆効果にしかなりません。

一方で、嵐を早く鎮めたいがために、自分は悪くないのに「ごめんなさい、私が悪かった」と平謝りし続けるのも危険な対応です。これを繰り返すと、相手の脳は無意識のうちに「激しく怒れば相手が自分の思い通りに従う」という誤った成功体験を学習してしまい、結果的に爆発の頻度や強度をエスカレートさせる(怒りを強化してしまう)要因になります。

さらに、相手が激昂している最中に、「あなたは間欠性爆発性障害という病気なんだよ!」「頭がおかしいから病院に行って!」と病名や専門用語を突きつけて非難することは絶対にやめてください。興奮状態にある相手は、これを強烈な侮辱や攻撃と受け取り、関係性が決定的に破綻するだけでなく、その後の受診や治療への道を完全に閉ざしてしまう極めて危険な行為です。

これらの「やってはいけない対応」を完璧に防ぐことは難しいかもしれません。もし、つい謝ってしまったり、言い返してしまったりした日があっても、「完璧な対処を目指さなくてOK」とご自身に許可を出してあげてくださいね。

落ち着いた後の関わり方

嵐のような爆発が収まり、相手が冷静さを取り戻した後の関わり方が、今後の関係性を左右する重要な鍵となります。多くの場合、本人は我に返った後に「またやってしまった」と深く後悔し、自己嫌悪に陥っています。

このタイミングで、「どうしてあんなに怒ったの!」と責め立てるのではなく、「さっきは大きな声を出されて、私はとても怖かったし、辛かったよ」と、あなた自身の感情を「私」を主語にして(アイメッセージで)冷静に伝えてみてください。相手を攻撃するのではなく、自分が受けたダメージを事実として伝えるのです。

その上で、「どうすればお互いに嫌な思いをせずに済むか、一緒に解決策を考えたい」という、寄り添い、協力する姿勢を示すことが大切です。相手が冷静に話を聞ける状態であれば、「どんなときにイライラしやすいのか(例えば、疲れている夕方や、急に予定が変更になったときなど)」という爆発のトリガー(引き金)になりやすい状況を、二人で一緒に振り返って把握するのも良いでしょう。そして、「大事な話し合いは、お互いが落ち着いているタイミングでしかしない」といった、安全のためのルールを平時のうちに作っておくことが、次回の爆発を防ぐための有効な手立てとなります。

もし、恐怖や疲労から直接伝える余裕がない日は、無理に話し合う必要はありません。紙に短く書き残すだけでも、あるいは何も言わずに少し距離を置くだけでも、それはあなた自身を守るための立派で大切なケアになります。

関係別の接し方のポイント

家族・パートナーとして接する場合

配偶者やパートナーなど、日常的に同じ生活空間を共にしているご家族の消耗は、他のどの関係性よりも大きくなります。四六時中、いつ爆発するかわからない地雷を抱えて生活しているようなものであり、心身の限界を迎えやすい立場です。

家族だからといって、すべてを受け止め、一人で解決しようとする必要はありません。ご家族が共倒れを回避することが、すべての解決の第一歩です。ご自身の「耐えられる限界」を明確に知り、これ以上は無理だと思ったら、物理的に別居して距離を置くことも、ご自身を守るための正当な選択肢です。家庭内という密室の問題だからこそ、医療機関や保健所、カウンセラーなどの外部サポートを積極的に使い、風通しを良くすることが不可欠です。

関連記事:間欠性爆発性障害の夫への対処法|妻が自分と子どもを守るためにできること

関連記事:間欠性爆発性障害と離婚|別れる前に知っておきたいこととできること

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職場の同僚・上司として接する場合

職場にすぐ激昂する人がいる場合、最も大切なのは「業務上の必要最低限の距離感を保つこと」です。相手の怒りの背景にある家庭環境や個人的な悩みにまで深く入り込み、感情的に巻き込まれることは避けてください。

業務の連絡は可能な限りメールやチャットなど記録に残る形で冷静に行い、業務の話と相手の感情的な問題をきっちりと切り離して対応することが身を守る術です。もし、その怒りの矛先が理不尽に向けられ、暴言や威圧的な態度が繰り返されている場合は、それは個人の問題ではなく「パワーハラスメント」という組織の問題です。一人で抱え込まず、必ず上司や人事部門、あるいは産業医などの適切な窓口へ相談し、組織として対応を求めてください。

関連記事:間欠性爆発性障害と職場|すぐキレる上司・同僚への対応と自分を守る方法

友人・知人として接する場合

友人が突然理不尽にキレるタイプであった場合、「私が話を聞いてあげなきゃ」「なんとか関係を修復したい」と頑張りすぎてしまう優しい方がいます。しかし、友人という立場であればこそ、自分の心がすり減らない「適度な距離感」を保つことが、結果的に関係を長く(あるいは無難に)続ける秘訣です。

相手の機嫌が悪いときや、爆発の予兆を感じたときは、無理に会ったり連絡をとったりする必要はありません。LINEなどの連絡が来ても「今は忙しいから、また今度ね」とすぐに返信しなくていい権利があなたにはあります。友人を救うことよりも、まずは自分自身のメンタルを守ることを優先して、決して罪悪感を抱かないでください。

受診を促したいとき

相手の爆発的な怒りが頻繁に起こり、人間関係や社会生活に明らかな支障が出ている場合、専門的な治療へ繋げることが根本的な解決への道となります。しかし、その促し方には細心の注意が必要です。

「あなたは病気だから、早く精神科に行って治してきて」といった、相手を問題扱いするような直接的な言い方は、強烈な反発を招くため避けてください。代わりに、「最近、なんだかすごくイライラしていて、とても疲れているように見えて心配だよ」「夜も眠れていないみたいだし、一度一緒に先生に相談に行ってみない?」と、あくまで「あなたの体調や疲れを心配している」という、味方として寄り添うスタンスで提案するのが効果的です。

もし、一緒に病院へ行こうという提案を相手が強く拒否したとしても、それはあなたの責任ではありません。そのような場合は、無理に連れて行こうとせず、まずはご家族や周囲の方が「先に自分だけ専門家に相談に行く」という方法も非常に有効な手段です。専門家から、そのケースに合った具体的な接し方のアドバイスを受けることができます。

また、本人がどうしても家から出られない、あるいは病院へ行くことへの抵抗感が強すぎる場合には、「精神科訪問看護」という心強い選択肢があります。これは、精神科の専門知識を持った看護師などのスタッフがご自宅に訪問し、住み慣れた環境の中で本人の体調確認や、ご家族へのサポートを行う制度です。病院という非日常の空間ではなく、リラックスできる自宅で専門家と繋がることができるため、治療への第一歩として非常に有効です。

「まだ相談するのは早いかも」と思う時ほど、まずは気軽に心の荷物を分かち合うつもりでお声がけください。私たち「くるみ」でも、ご家庭内の緊迫した空気を和らげ、安心できる日常を取り戻すためのサポートを行っています。

まとめ

間欠性爆発性障害の可能性がある人との関わりは、常に薄氷を踏むような緊張感と疲労を伴います。「どうすれば怒らせずに済むか」「どんな完璧な言葉をかければいいのか」と、正解探しに奔走してご自身をすり減らしてしまう方は本当に多いものです。

しかし、どうか覚えておいてください。接し方の最大の基本は、相手をコントロールすることではなく、「あなた自身の安全と穏やかさを守ること」です。爆発が起きたら離れ、落ち着いているときにだけ話し合い、無理なときは距離を置く。そして専門家を頼る。あなたが自分を守るために選んだ行動は、すべて「正しい」選択です。

そして、この難題を、決してあなた一人で解決しようとしないでください。家族や友人だけで抱え込むには、この問題はあまりにも重すぎます。専門的な知識を持つ医師やカウンセラー、そして訪問看護のスタッフなど、外部の専門家を頼ることこそが、ご本人にとっても、そして何よりあなた自身にとっても最善の選択なのです。相談することは決して弱さではありません。自分と周りを守るための、立派な強さです。

精神科訪問看護ステーション「くるみ」は、怒りの嵐に疲弊し、どこに助けを求めていいかわからずにいるご家族の、最も身近な相談相手になりたいと願っています。一人で限界を迎える前に、どうぞお気軽に私たちにお声がけください。一緒に、安全で穏やかな毎日を取り戻す方法を考えていきましょう。

参照:DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)

 

ひとりで抱え込まないでください。私たちがそっと寄り添います。

ご家族やご本人だけで抱え続けることの苦しさを、私たちは知っています。

「少し話を聞いてほしい」だけでも大丈夫です。まずはお気軽にご相談ください。

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この記事を監修した人

中野誠子

株式会社Make Care 代表取締役社長

中野 誠子

看護師 / (元)重症心身障害児者認定看護師

精神科病棟勤務・看護学校教員として経験を積み、「こころに寄り添う看護」を志す。石森・濱𦚰とともに株式会社Make Careを創業。現在は訪問看護ステーションくるみの代表として現場に立ちつつ、メディアにも積極的に登場し、地域精神医療の啓蒙とアップデートに挑む。

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