
外見の悩みが頭から離れず苦しい思いをしているご本人や、その様子が気になっているご家族に向けた内容です。実際には存在しない外見上の欠点や、他人から見るとささいな欠点にとらわれることで、強い苦痛が生じたり、日常生活に支障が出たりする状態は、医学的に身体醜形症(醜形恐怖症)と呼ばれます。強迫症に関連する疾患のグループに分類されています。
とらわれを自分で抑えることができず、欠点だと思う部分について1日に何時間も思い悩むことがあります。とらわれに非常に多くの時間を使い、深い苦悩や生活への大きな支障が生じている点で、外見についての普通の悩みや見栄とは区別されます。このセルフチェックは診断ではなく、専門機関への相談を考えるための目安としてご活用ください。
このセルフチェックの見方
このチェックは、3つのブロックに分かれています。これらは、医師が診断の際に見る3つのポイントである「外見へのとらわれ」「繰り返す行動」「苦痛と生活への支障」に沿ったものです。診断は、医師がご本人の話やこれまでの経過をもとに行うものであり、チェックの数だけで決まるものではありません。
醜形恐怖症の人は、自分の外見を正常だと自覚しにくい傾向があります。自分の状態をどの程度客観的にとらえられるかは人によって違いますが、多くの場合とらえにくいものです。そのため、ご自身の見た目が醜いかどうかではなく、実際に何をしているかや、どれくらい困っているかという視点で答えてみてください。 [[要リンク:醜形恐怖症とは]]
醜形恐怖症セルフチェック(17項目)
ここ最近のご自身の様子を思い浮かべてみてください。毎日の生活のなかで、当てはまるものにチェックを入れてみてください。ご自身の行動や生活への影響を振り返る手がかりになります。
A 外見へのとらわれ
このブロックで見るのは、外見の一部分が頭から離れない状態です。実際には存在しない欠点や、他人から見るとささいな欠点にとらわれることで、強い苦痛が生じます。ご本人には嫌っている部分が本物の欠点として見えていて、おそらく、あるいは確実に異常で、醜く、魅力がないと心から信じています。
□1. 周りの人は気にしていないように見える外見の一部分が、自分にはとても目立つように感じる □2. 気になる部分のことを考え始めると止められず、1日に何時間も考えてしまう □3. 気になる部分を「醜い」「変形している」「魅力がない」と感じている □4. 外見のせいで、周りの人にじろじろ見られている、笑われていると感じることが多い □5. 気になる部分が複数ある、または、気になる部分が時期によって変わってきた
悩みの対象になる部分は顔や頭が多いですが、体のどの部分も対象になりえます。複数の部分が対象になることもあれば、時間とともに対象が変わることもあります。悩みが体型と体重だけで、食事の仕方にも問題がある場合は、醜形恐怖症よりも摂食障害のほうが当てはまる可能性があります。
B 繰り返してしまう行動
とらわれから、自分の姿を確かめる、他人と比べる、過剰に整える、隠すといった行動が繰り返されます。鏡で自分の姿を何度も確認する人もいれば、逆に鏡を避ける人もいます。この2つが交互に現れる人もいて、行動の現れ方はさまざまです。
□6. 鏡で自分の姿を何度も確認してしまう。あるいは、鏡を見ないようにしている □7. 自分の外見を、他人の外見と比べてしまう □8. 身だしなみを整えるのに、必要以上に時間や手間をかけてしまう □9. 気になる部分の皮膚をいじったりむしったり、毛を引っ張ったり抜いたりしてしまう □10. 気になる部分について「変じゃない?」と人に何度も確かめてしまう □11. 服を何度も着替えてしまう □12. 帽子をかぶる、ひげを伸ばすなどして、気になる部分を隠そうとする □13. 気になる部分を直そうと、美容関連の治療(皮膚科、歯科、外科など)を何度も受けたことがある
C 苦痛と生活への影響
外見についての普通の悩みや見栄と区別されるのは、この苦痛と生活への支障の部分です。とらわれに非常に多くの時間を使い、深い苦悩や生活への大きな支障が生じます。外見を強く意識するため、仕事、学校、人の集まりなどを避けがちになり、日常生活を送ることが難しくなることもあります。
□14. 外見のことで、強い苦痛を感じている □15. 外見が気になって、学校や仕事、人の集まりを避けたことがある □16. 外見が気になって、夜にしか外出しなかったり、外出できなかったりすることがある □17. 外見の悩みのために、人付き合い、仕事、学業などに支障が出ている
チェック結果の目安
結果は当てはまった数ではなく、どのブロックに当てはまったかで見てください。チェックの結果はあくまで目安であり、診断できるのは医師だけです。ご本人の話やこれまでの経過をもとに、医師が総合的に判断します。
3つのブロックすべてに当てはまった場合
3つのブロックすべてに心当たりがある状態は、医師が診断で見ているポイントに該当しています。強い苦痛が生じたり、日常生活に支障が出たりしている状態です。精神科や心療内科への相談を考えてよい段階であり、醜形恐怖症の可能性があります。
「苦痛と生活への影響」に当てはまった場合
他のブロックの当てはまり方にかかわらず、苦痛や生活への支障が出ているなら、それだけで精神科や心療内科へ相談してよい理由になります。とらわれに非常に多くの時間を使い、深い苦悩が生じている状態です。症状の重さは一定でないことがあり、適切に治療しないと長引く傾向があるため、早めの相談をご検討ください。
「とらわれ」と「行動」だけに当てはまった場合
外見を気にすること自体は誰にでもあり、普通の悩みとの違いは、時間、苦痛、生活への支障にあります。1日に何時間も考えてしまう場合は、時間の面ですでに負担が大きい状態です。苦痛が強くなったり、人の集まりを避ける場面が増えたりしたら、相談してよいタイミングです。
どのブロックに当てはまったかにかかわらず、知っておいてほしいことがあります。醜形恐怖症は、ほかの心の病気と比べても自殺の危険が高く、自殺を考える人が多い病気です。外見へのとらわれによる苦痛や生活への影響から、うつ病や、薬物やアルコールの問題、精神科への入退院の繰り返し、自殺行動につながることもあります。
「消えてしまいたい」「死にたい」と感じるほどつらいときは、一人で抱え込まずに相談してください。
- こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556
- #いのちSOS:0120-061-338
- よりそいホットライン:0120-279-338
受付時間は窓口や地域によって異なります。厚生労働省の「まもろうよこころ」では、子どもや若い世代向けの窓口も含めて、悩みや年代に合った相談先を探せます。
当てはまったときに知っておきたいこと
美容治療で解決しようとする前に
醜形恐怖症の人の多くは、欠点だと思う部分を直そうと、皮膚科、歯科、外科などの美容関連の治療をときに何度も受けます。しかし、期待した結果は得られないことが多く、かえってとらわれが強まることもあります。美容外科手術などの美容治療はほぼ効果がなく、結果に満足できないリスクが非常に高いため、治療として勧められていません。美容治療を重ねても悩みが軽くならないのは、ご本人が抱えているのが外見そのものの問題ではなく、自分の体のとらえ方の問題だからです。 [[要リンク:醜形恐怖症の治し方]]
受診先と、診断の受け方
相談先は精神科や心療内科になります。診断は検査ではなく、医師が本人の話やこれまでの経過にもとづいて行います。症状を打ち明けることをためらったり、恥ずかしく思ったりして、何年も診断されないままになることがありますが、打ち明けにくさがあって当然です。治療の中心は特定の抗うつ薬と認知行動療法であり、これらの治療は通常役に立ちます。
醜形恐怖症の人には、うつ病、薬物やアルコールの問題、社交不安症、強迫症をあわせ持つ人が多くみられます。外見の悩みだけでなく、ほかに困っていることがあれば、それもあわせて医師に伝えてかまいません。
関連記事:強迫性障害のセルフチェック
[[要リンク:社交不安障害のセルフチェック
家族が気づいたとき
ご家族から見えやすいのは、何度も鏡を確認したり過剰に身だしなみを整えたりする行動や、人の集まりなどを避ける様子です。ご本人には欠点が本物に見えていて、自分の状態をとらえにくいことが多いものです。大半の人は、自分の外見が実際には正常であることに気づいていません。症状を打ち明けることをためらうこともあり、治療を始め、続ける意欲を支える働きかけが必要になる場合があります。
よくある質問
- チェックに多く当てはまったら、醜形恐怖症ですか? チェックはあくまで相談を考えるための目安であり、当てはまる数だけで醜形恐怖症かどうかは決まりません。診断は、医師がご本人の話やこれまでの経過にもとづいて総合的に行います。他人から見るとささいな外見上の欠点にとらわれているか、繰り返す行動があるか、強い苦痛や生活への支障があるかというポイントに沿って確認されます。
- 整形や美容治療で治りますか? 美容外科手術などの美容治療はほぼ効果がなく、結果に満足できないリスクが非常に高いため、治療として勧められていません。美容関連の治療を何度も受けても、期待した結果は得られないことが多いものです。かえって外見へのとらわれが強まることもあります。
- 何科を受診すればいいですか? 精神科や心療内科にご相談ください。診断は、医師がご本人の話にもとづいて行います。ご本人が抱えている強い苦痛や、仕事、学校、人付き合いなどの生活への支障について伝えてみてください。
- どのような治療を受けるのですか? 治療の中心は、特定の抗うつ薬(SSRIまたはクロミプラミン)と、認知行動療法です。症状が重い場合は、両方を組み合わせるのが最善と考える専門家が多くいます。これらの治療は通常役に立ち、薬はしばしば非常に効果があります。 [[要リンク:醜形恐怖症の治し方]]
まとめ
このセルフチェックは、医師が診断で見る3つのポイントに沿って、「外見へのとらわれ」「繰り返してしまう行動」「苦痛と生活への影響」の3つのブロックで構成しています。結果は当てはまった数ではなく、どのブロックに当てはまったかで見ることが大切です。チェックはあくまで相談を考えるための目安であり、診断は医師がご本人の話をもとに行います。
外見を気にすること自体は誰にでもあることですが、とらわれに多くの時間を使い、強い苦痛や生活への支障が出ている点で、普通の悩みとは区別されます。醜形恐怖症の人は、自分の外見を正常だと自覚しにくく、症状を打ち明けることもためらいがちです。美容治療を重ねても悩みが軽くならないことが多く、治療としては勧められていません。
適切に治療しないと長引く傾向がありますが、治療の中心となる特定の抗うつ薬と認知行動療法は、通常役に立ちます。苦痛や生活への支障を感じているときは、一人で抱え込まず、精神科や心療内科への相談を考えてみてください。
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