間欠性爆発性障害はセロトニン不足が原因?関係を解説
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ご自身やご家族の突然の激しい怒りについて調べる中で、「間欠性爆発性障害」という言葉とともに「セロトニン」という神経伝達物質の名前に行き当たった方は多いかもしれません。
「セロトニンが不足しているのが原因なのだろうか」「それなら、セロトニンを増やす工夫をすれば怒りは収まるのではないか」と考えるのは自然なことです。しかし、実際には「増やせば解決する」といった単純なものではありません。この記事では、間欠性爆発性障害とセロトニンの関係について、現在指摘されていることと、注意すべき考え方を整理して解説します。
関連記事:間欠性爆発性障害とは?症状・原因・治療法を徹底解説
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間欠性爆発性障害はセロトニン不足が原因なのか
結論から申し上げると、間欠性爆発性障害は「セロトニンが不足していることが直接の原因である」と断定できるものではありません。確かに、脳内のセロトニンの働きが関与している可能性は広く指摘されていますが、それがすべてを説明する単純な因果関係として確定してはいないのが現状です。
間欠性爆発性障害は、一つの明確な原因だけで起こるものではなく、さまざまな要素が複雑に絡み合って生じる状態だと考えられています。
セロトニンは体の中で何をしている物質か
セロトニンとは、私たちの脳内で情報をやり取りするために働いている「神経伝達物質」の一つです。人間の感情や気分の安定、精神状態のコントロールなどに深く関わっている物質であると考えられています。
脳内には無数の神経細胞があり、セロトニンなどの物質はその間で情報を伝える役割を担っているとされています。ただし、どの物質がどの感情にどう対応しているといった形で、単純に整理できるものではありません。
セロトニンと怒りの関係で指摘されていること
それでは、なぜ間欠性爆発性障害の文脈でセロトニンの名前が挙がるのでしょうか。現在指摘されている関係性について解説します。
感情にブレーキをかける働きとの関わり
セロトニンは、脳内で感情の高ぶりや衝動的な行動に対して、ある種の「ブレーキ」のような役割を果たしている可能性が示唆されています。何らかの理由でこのセロトニンの働きが低下したり、バランスが崩したりすると、突発的な怒りの感情や攻撃的な衝動をうまく抑えきれなくなるのではないかと考えられています。
つまり、些細なきっかけで激しく爆発してしまう状態の背景には、この感情のブレーキシステムがうまく機能していない状態があるのではないかと指摘されているのです。
「不足している」と言い切れない理由
ここで注意が必要なのは、セロトニンについて語られるとき、「不足している」「足りない」と簡単に言い切ることはできないという点です。
なぜなら、現在の医学では、生きている人間の脳内でセロトニンが具体的にどれくらいの量存在しているのかを、直接測定して調べることはできないからです。「血液検査をすればセロトニンの量が少ないと分かる」といった性質のものではありません。
そのため、量そのものが不足しているのか、受け取る機能に問題があるのか、あるいは他の物質とのバランスが崩れているのかなど、詳細なメカニズムは完全には解明されていません。あくまで「働きの異常が関与している可能性がある」という推測の段階にとどまっています。
セロトニンを増やせば怒りは収まるのか
「セロトニンの働きが関わっているなら、生活の中でセロトニンを増やす行動をとれば怒りは収まるはずだ」と考える方がいらっしゃいます。この疑問について整理します。
生活習慣で対処できるのかという疑問について
インターネット上には「〇〇をすればセロトニンが増える」といったさまざまな情報があふれています。確かに、日々の食事や睡眠のリズムを整え、健康的な生活習慣を心がけることは、心身の土台を整えるうえで非常に大切です。
しかし、「特定の生活習慣を取り入れればセロトニンが増えて間欠性爆発性障害が治る」というような単純なものではありません。「これさえすれば怒りが収まる」という安易な自己対処に頼ることは、根本的な解決を遅らせるリスクがあります。体調を整えることは大切ですが、それが医療機関での治療の代わりになるものではありません。生活の工夫と、医療機関での相談は、どちらかを選ぶものではなく、並行して考えていくものです。
医療機関ではどのように扱われるか
医療機関では、セロトニンという物質そのものを直接の標的として治療方針が決められるわけではありません。 実際に行われるのは、怒りの爆発がどれくらいの頻度で起きているのか、生活にどのような支障が出ているのかを確認したうえで、その方に必要な対応を検討していくことです。
関連記事:間欠性爆発性障害の治し方|本人・家族ができることと専門的な治療法
セロトニン以外に指摘されている要因
間欠性爆発性障害の背景には、セロトニンなどの脳の働きの問題だけが存在するわけではありません。
遺伝的な要素や、これまでに経験してきたことなど、さまざまな要因が複雑に重なり合って影響していると考えられています。脳内の物質の問題だけで説明がつくものではなく、環境や心理的な側面にも目を向ける必要があります。
また、激しい怒りの爆発が見られるからといって、必ずしも間欠性爆発性障害であるとは限りません。他の状態との違いを整理することも大切です。
関連記事:関連記事:間欠性爆発性障害の原因|遺伝・環境・脳の特性から解説
関連記事:間欠性爆発性障害のチェックリスト|セルフチェックと他の疾患との見分け方
よくある質問
Q1 セロトニンが足りているかどうか、検査で分かりますか
現在のところ、脳内のセロトニンの量を直接測定して、足りているかどうかを調べるような検査方法はありません。血液検査や脳の画像を撮る検査などで「セロトニン不足」と診断されるものではないことをご理解ください。
Q2 食生活を変えれば、怒りっぽさは改善しますか
バランスの良い食生活は心身の健康の土台となりますが、特定の食品を食べたり食生活を変えたりするだけで、間欠性爆発性障害の激しい怒りが改善するわけではありません。自己流の対処で治療を代替することはできません。
Q3 セロトニンが原因なら、本人の性格の問題ではないということですか
単純な「本人の性格の悪さ」や「わがまま」といった問題ではなく、脳の働きなどが関与している状態である可能性はあります。しかし、だからといって、本人が暴力を振るったり暴言を吐いたりすることを、周囲の家族が我慢して受け入れなければならないという意味では決してありません。
まとめ
間欠性爆発性障害とセロトニンの関わりについては、以前から指摘されてきました。 ただし、それは「セロトニンが不足していることが原因だ」と言い切れるような、 単純な因果関係として確定しているわけではありません。 そもそも脳内のセロトニンの量を直接測って調べる方法がない以上、 「足りているかどうか」を判断すること自体ができないのが現状です。
だからこそ、「セロトニンを増やせば怒りが収まるはずだ」という考え方には、 慎重になっていただきたいと思います。 生活のリズムや食事を整えることは、心身の土台としてもちろん大切なことです。 しかし、それが医療機関での治療に代わるものではありません。
激しい怒りの爆発という状態の背景には、脳の働きだけでなく、 さまざまな要因が重なり合っていると考えられています。 原因を一つに絞ろうとするほど、かえって行き詰まってしまうことも少なくありません。 ご自身やご家族だけで答えを出そうとせず、 まずは医療機関で相談してみることを考えてみてください。
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参照:DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)
参照:連合小児発達学研究科