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自己愛性パーソナリティ障害の母親|特徴と成人した子ができること

精神科訪問看護とは

「何を言っても否定される」「いつも母親の機嫌に振り回されている」「親の期待に応え続けなければならない」——そんな息苦しさをずっと抱えてきた方もいるかもしれません。大人になってから「自己愛性パーソナリティ障害」という言葉を知り、長年の違和感の正体がそこにあるのではないかと感じている方もいらっしゃるでしょう。

この記事では、自己愛的な傾向を持つ母親との関係を見つめ直し、成人した子どもが自分自身の人生を歩むために、今から取れる距離の置き方や考え方をお伝えします。

ご不安な気持ちが強い時や、文章を読むのがお辛い時は、無理をせず私たちにお声がけください。

精神科の専門スタッフが、あなたの状況に合わせてお話をお伺いします。まずはお気軽にご相談ください。

大阪市、寝屋川市、守口市、
門真市、大東市、枚方市、吹田市、尼崎市全域対象

“精神科に特化”した
訪問看護ステーション
「くるみ」

06-6105-1756 06-6105-1756

平日・土曜・祝日 9:00〜18:00 
【日曜・お盆・年末年始休み】

※訪問は20時まで
対応させていただいております。

 

母親との関係が苦しいと感じるとき、何が起きているのか

幼い頃からずっと「母親との関係がどこか苦しい」と感じ続けてきた場合、そこには親子の枠組みだけでは捉えきれない心の背景が存在していることがあります。子どもは親を無条件に慕い、期待に応えようとするものですが、その思いが常にすれ違ったり、コントロールや支配の対象として扱ったりすることで、心が深く疲弊してしまうケースがあります。これは単なる反抗期や親子の相性の問題ではなく、母親自身のパーソナリティの傾向が影響していることがあります。

 

「親だから」で説明がつかなくなるとき

「親だから子どものために厳しくしている」「親だから心配している」といった言葉では説明がつかないほど、感情のぶつけられ方や言葉に傷ついてきた方もいらっしゃるでしょう。自己愛性パーソナリティ障害とは、ありのままの自分を愛することが難しく、他者からの称賛を強く必要とするなどの特徴を持つ状態です。こうした傾向が母親にあると、子どもは「親を支え、称賛するための存在」として扱われやすくなり、関係性に苦しさが生じることがあります。

関連記事:自己愛性パーソナリティ障害(人格障害)診断チェックリスト|口癖・行動17項目

 

自己愛的な傾向のある母親に見られやすい関わり方

母親に自己愛的な傾向がある場合、子どもとの関わりにおいていくつかの特徴的なパターンが見られることがあります。あくまでそうした傾向があるということであり、診断を決定づけるものではありませんが、以下のような関わり方が挙げられます。

関連記事:自己愛性人格障害の女性の特徴|行動パターン・職場・恋愛での傾向と接し方

 

子どもの成果が母親のものとして扱われる

子どもが仕事や学業でよい成績を収めたとき、それを子どもの努力として純粋に喜ぶのではなく、「私が立派に育てたからだ」と母親自身の成果として周囲にアピールすることがあります。子どもを一人の独立した人間としてではなく、自分の価値を高めるための延長として捉えてしまう傾向があるためです。

 

否定と称賛が入れ替わる

母親の思い通りに行動しているときは過剰なほどに称賛される一方で、少しでも意に沿わない行動をとったり、母親の意見に反論したりすると、手のひらを返したように激しい否定や非難の言葉を浴びせられることがあります。感情の振れ幅が極端であり、子どもは常に顔色をうかがいながら行動するようになることがあります。

 

きょうだいの間で扱いが分かれる

複数の子どもがいる場合、一人の子どもを「自分の理想を体現する素晴らしい子」として特別扱いし、もう一人の子どもを「ダメな子」「問題のある子」として扱うことがあります。こうした極端な扱いの違いによって、きょうだい間の関係に亀裂が生じたり、子ども同士が不必要に比較されて傷ついたりすることがあります。

 

親子関係だから難しくなること

自己愛的な傾向を持つ人が職場や友人関係にいる場合と、それが「母親」である場合とでは、難しさの種類が異なります。親子という逃れがたい関係ならではの難しさが存在します。

 

生まれたときからその関係しか知らない

子どもにとって家庭は最初の世界であり、母親との関係は人間関係の基盤となります。そのため、母親の言動がどれほど理不尽なものであっても、生まれたときからその環境で育つと「これが普通なのだ」「自分が悪いから怒られるのだ」と誤って認識してしまう傾向があります。本当の苦しさに気づくまでに、長い時間がかかることが多いのです。

 

周囲から「親孝行」を期待される

社会一般には「親を大切にするべき」「母親には感謝するもの」という価値観が強く存在します。そのため、他人に母親との関係の悩みを打ち明けても、「親だって完璧じゃない」「そのうち分かり合える」といった言葉で片付けられてしまうことがあります。周囲からの理解を得にくく、ご自身の結婚や離婚などのライフイベントにおいても親の問題が絡み、一人で孤立しやすい環境が作られてしまいます。

 

介護や相続という形で関係が続いていく

友人や職場の人間関係であれば、関係を断って物理的に離れることも比較的容易です。しかし親子の場合は、親の老いとともに介護の問題が発生したり、将来的に相続の手続きが必要になったりと、人生のさまざまな節目でどうしても関係が続いていく現実があります。完全に離れることが難しいため、距離感に悩み続けることになります。

関連記事:自己愛性人格障害の弱点と逃げるが勝ちな理由|離れようとすると何が起きる?

 

成人した子が今から取れる距離の置き方

過去の親の関わり方を変えることはできませんが、大人になった今、自分自身の心を守るために適切な距離を取り直すことは可能です。

関連記事:自己愛性パーソナリティ障害の嫌がること・特徴・対処法|話が通じない理由も解説

 

会う頻度と場所を自分で決める

母親のペースに巻き込まれないためには、物理的な距離をコントロールすることが有効です。連絡の頻度や、実家に帰る回数を自分自身の判断で減らしても構いません。会う場合も、密室となる実家ではなく、第三者の目があるカフェなど、ある程度時間が制限される場所を選ぶことで、必要以上の干渉を防ぎやすくなります。

 

期待に応えないことを選んでよい

長年、母親の顔色を見て期待に応えるように行動してきた方は、「親をがっかりさせてはいけない」という強い罪悪感を抱きがちです。しかし、成人したあなたは、親の期待を満たすために生きているのではありません。母親の要求に対して「それはできない」「私はこう思う」と断り、期待に応えないという選択をしてよいのです。

 

親を変えようとしないという選択

「どうにかして自分の気持ちを分かってほしい」「間違いに気づいて変わってほしい」と願うのは自然なことです。しかし、他人のパーソナリティや考え方を変えることは、プロの専門家による治療であっても非常に困難です。「親を変える」ことにエネルギーを注ぐのではなく、「親は変わらないかもしれない」という前提に立ち、自分がどう対応していくかに目を向ける方が、結果的にご自身の心が守られます。

 

受診・相談の目安

母親との関係を振り返る中で、読者ご自身に心身の不調が現れている場合は注意が必要です。夜眠れない、気分の落ち込みが続く、不安や自己嫌悪に押しつぶされそうになる、仕事や日常生活に支障が出ているといった状態があれば、それは心が限界のサインを出している状態です。

長年の親子関係で蓄積された負担は、一人で抱えきれるものではありません。そのようなときは、心療内科や精神科のクリニックを受診したり、専門機関の支援を頼ることを検討してください。母親をどうにかすることよりも、まずはご自身の健康を取り戻すためのケアを優先して構いません。

 

よくある質問

 

Q1 母親に受診を勧めたほうがよいですか

ご本人が困り感を持っていなければ、家族が受診を勧めても反発されることが多く、かえって関係が悪化する可能性があります。母親を病院に連れて行くことよりも、まずはご自身の心を守るための距離の取り方や対処について、専門家に相談することを優先してください。

 

Q2 親と縁を切るべきでしょうか

親との関係をどうするかは、最終的にご自身が判断する問題であり、正解はありません。連絡を絶って絶縁することが自分を守るために必要なケースもあれば、一定の距離を保ちながら適度に関わる方が安心できるケースもあります。ご自身の負担が最も少なくなる形を探ることが大切です。

 

Q3 自分も同じようになってしまうのではと不安です

自己愛的な親のもとで育った方が、「自分も子どもや周囲に対して同じような振る舞いをしてしまうのではないか」と不安を抱くことはよくあります。しかし、その不安を感じて自分を客観的に見つめようとしている時点で、母親とは異なる視点を持っています。不安な場合は専門家のサポートを受けながら、ご自身の行動パターンを整理していくことができます。

 

まとめ

母親との関係に苦しさを感じ続けてきたことは、決してあなた自身の努力不足や思いやりが足りないせいではありません。自己愛的な傾向を持つ親との関わりは周囲に理解されにくく、長い間ひとりでその負担を抱え込まれてきたことと思います。まずは、ご自身が今まで懸命に向き合ってきた事実を認めてあげてください。

大人になった今、大切なのは「母親の原因や障害の有無を診断して追及する」ことではなく、これからの人生を自分自身のためにどう過ごしていくかということです。過去の親の言動を変えることはできなくても、今から適切な境界線を引き、自分を守るための距離を置き直すことはできます。

もし、長年の影響で自分に自信が持てなかったり、心身の不調を感じたりしている場合は、専門医やカウンセラーなど第三者の支援を頼ってください。これまでの関係から少しずつ距離を取り、あなた自身の人生に軸を戻していくことは、いつからでも始められます。

 

ひとりで抱え込まないでください。私たちがそっと寄り添います。

ご家族やご本人だけで抱え続けることの苦しさを、私たちは知っています。

「少し話を聞いてほしい」だけでも大丈夫です。まずはお気軽にご相談ください。

 

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参照:MSDマニュアル

 

この記事を監修した人

中野誠子

株式会社Make Care 代表取締役社長

中野 誠子

看護師 / (元)重症心身障害児者認定看護師

精神科病棟勤務・看護学校教員として経験を積み、「こころに寄り添う看護」を志す。石森・濱𦚰とともに株式会社Make Careを創業。現在は訪問看護ステーションくるみの代表として現場に立ちつつ、メディアにも積極的に登場し、地域精神医療の啓蒙とアップデートに挑む。

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