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境界性パーソナリティ障害と縁を切りたいと感じたとき|考え方と選択肢

精神科訪問看護とは

境界性パーソナリティ障害の傾向がある家族やパートナーと長く関わる中で、心身が消耗しきり、「もうこの関係を続けられないかもしれない」と考え始めている方もいらっしゃるでしょう。相手を大切に思う気持ちと、これ以上は限界だという思いの間で、深く悩まれていることと思います。

 

同時に、「自分が離れたら本人はどうなってしまうのか」「見捨てることになるのではないか」という強い迷いを抱え、すでに離れたあとで、罪悪感に苦しんでいる方もいらっしゃるでしょう。この記事では、関係をどうしていくか迷っている方へ向けて、判断の前に整理しておきたいことや、離れたあとに起きやすいことについてお伝えします。

関連記事:境界性パーソナリティ障害とは?症状・原因と家族の接し方を解説

 

ご不安な気持ちが強い時や、文章を読むのがお辛い時は、無理をせず私たちにお声がけください。

精神科の専門スタッフが、あなたの状況に合わせてお話をお伺いします。まずはお気軽にご相談ください。

大阪市、寝屋川市、守口市、
門真市、大東市、枚方市、吹田市、尼崎市全域対象

“精神科に特化”した
訪問看護ステーション
「くるみ」

06-6105-1756 06-6105-1756

平日・土曜・祝日 9:00〜18:00 
【日曜・お盆・年末年始休み】

※訪問は20時まで
対応させていただいております。

 

「もう続けられない」と感じることについて

境界性パーソナリティ障害の傾向がある方との関わりにおいて、激しい感情の波や、強い苦しさの訴えに接し続けることは、周囲の人にとって大きな負担を伴います。「もう関係を続けられないかもしれない」と感じることは、決して珍しいことではありません。ご自身がいま感じている限界を、自分の努力が足りないからだと責める必要はありません。関係を終わらせるべきかどうかは、他の誰でもなく、ご自身がどうしたいかで決めてよい問題です。

 

限界を感じることは、相手を見捨てることとは違う

「自分がこれ以上関われないと思うのは、相手を見捨てることだ」と感じてしまうかもしれません。しかし、ご自身の限界を認めることは、相手を見捨てることとは異なります。自分自身の生活や心身の健康を守ることは、どのような人間関係においても一番の基盤となるものです。まずは、ご自身の心身が休まる状態を確保することが大切です。

 

縁を切る・切らないの間にあるもの

関係に悩んだとき、「今のまま我慢して続けるか」「完全に縁を切るか」の二択しか残されていないように感じてしまうことがあります。しかし、実際にはその間にいくつもの選択肢があります。

 

連絡の頻度や手段を変える

まずは、連絡の取り方を見直すことができます。「電話には出ず、LINEやメールだけのやり取りにする」「夜間は返信しないと決める」「週に1回だけ連絡を返す」など、ご自身の負担が少なくなるようなペースと手段に変更することが考えられます。

 

会う場面や場所を限る

直接会うことが負担になっている場合は、会う状況を制限することも一つの方法です。「家ではなく、外のカフェなど時間が限られる場所で会う」「第三者が同席しているときだけ会う」といった工夫をすることで、心理的な圧迫感を和らげやすくなります。

 

期間を決めて完全に離れる

関係を完全に終わらせるかどうかをいますぐ決めるのではなく、「まずは1ヶ月間、一切の連絡を絶って離れてみる」といったように、期間を決めて一時的に距離を置くこともできます。お互いに冷却期間を持つことで、今後のことを落ち着いて考えられるようになる場合があります。

 

判断の前に整理しておきたいこと

関係をどうするかを決める前に、一度ご自身の状況を整理してみる時間が助けになります。

 

何に限界を感じているのかを分けてみる

具体的に相手のどのような行動や状況に限界を感じているのかを整理してみます。「感情的に怒鳴られることがつらいのか」「過剰な連絡に振り回されることか」「相手の不安を一身に引き受けることか」など、負担の原因を分けて考えることで、今後の距離の取り方のヒントが見えてくることがあります。

関連記事:境界性パーソナリティ障害の試し行動とは?例と家族ができる対応

関連記事:境界性パーソナリティ障害の方が突き放す言動をとる理由と対処法

 

相手の状態と、自分の状態を別々に見る

長く関わっていると、相手の感情や状態と、ご自身の感情や状態が混ざり合ってしまうことがあります。相手が落ち込んでいるから自分も落ち込む、というように一体化してしまっている場合は、「相手は相手の人生を生きており、自分は自分の人生を生きている」というように、いったん切り分けて眺めてみることが助けになる場合があります。

 

一人で決めようとしない

このような重い決断を、ご自身一人だけで抱え込んで決める必要はありません。身近な人に相談するのが難しい場合は、医療機関の相談窓口やカウンセラーなど、専門的な知識を持つ第三者を交えて相談することをご検討ください。

関連記事:境界性パーソナリティ障害のご家族が疲弊しないための対処法

 

「自分が離れたら」という不安について

※身の危険を感じるような訴えや行動がある場合は、ためらわずに以下の窓口にご相談ください。

・こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556

・お住まいの地域の精神保健福祉センター/保健所

・救急相談 #7119

・生命の危険が差し迫っている場合は119番

 

ご自身が離れることで、相手に危険が及ぶのではないかという不安は、多くの方が直面する最も重い悩みの一つです。

 

本人の安全の責任を、一人で背負わなくてよい

「自分が離れたら相手がどうなってしまうか分からない」という思いは、ご自身の強い責任感や相手への思いやりからくるものです。しかし、ご本人の生命や安全の責任を、あなたが一人で背負わなければならないわけではありません。

 

危険な訴えがあったときに何もしなくてよいということではありませんが、それはあなたが直接すべてを解決しなければならないという意味ではありません。そうしたときは一人で抱え込まず、医療機関や適切な相談窓口へつなぎ、専門家に委ねる枠組みを作ることが大切です。

 

完全には離れにくい関係の場合

関係性によっては、物理的・法的に縁を切ることが難しく、完全に離れるのが困難な場合もあります。

 

親やきょうだいの場合

相手が親やきょうだいの場合、将来的な介護や手続きなどで関わりを持たざるを得ないことがあります。このようなときは、事務的な連絡のみにとどめ、感情的なやり取りは避けるといった、精神的な距離を保つ工夫が必要になります。どうしても対応が必要な場合は、支援機関などの第三者を間に挟むことも検討してください。

 

子どもが関わる場合

相手との間に子どもがいる場合など、親としての関わりが続くケースもあります。この場合、法的な手続きや権利の問題が複雑に絡むことも多いため、ご自身だけで解決しようとせず、弁護士や専門の相談機関などに早めに相談し、適切な助言を受けることが望まれます。

 

離れたあとに起きやすいこと

距離を置いたり、縁を切ったりしたあとも、心がすぐに晴れるとは限りません。離れたあとに生じやすい状況についてお伝えします。

 

連絡が来たとき

離れたあとに相手から連絡が来ることがあります。応じるかどうかに、決まった正解はありません。ただ、連絡が来たその瞬間に判断しようとすると、動揺したまま決めてしまいがちです。事前に「こうする」と決めていたのであれば、いったんその枠組みを保ったうえで、落ち着いたときに改めて考えるほうが、ご自身のペースを守りやすくなります。

 

罪悪感が続くとき

「本当にこれでよかったのか」「自分は冷たい人間なのではないか」と、離れたあとも罪悪感に苦しむことがあります。相手を大切に思っていたからこそ、痛みが残るのは自然なことです。そのようなときは、ご自身がいかに今まで相手に誠実に向き合い、できる限りのことをやってきたかという事実を、まずはご自身で認めてあげてください。

 

よくある質問

 

Q1 離れることを本人に伝えたほうがよいですか

相手の状態や関係性によって異なります。理由を伝えてから離れたほうが納得できる場合もあれば、伝えることで激しい引き留めや混乱を招く場合もあります。どう伝えるべきか迷う場合は、事前に専門の支援機関や医師に相談して判断することをおすすめします。

 

Q2 一度離れたら、もう戻れないのでしょうか

必ずしもそうではありません。一時的に距離を置いて双方が落ち着きを取り戻した後、連絡の頻度や会うルールを新たに決めたうえで、負担のない範囲で関わりを再開するケースもあります。ご自身の心身の状況に合わせて、その時々で関わり方を考え直すことができます。

 

Q3 周りから「見捨てるのか」と言われてしまいます

事情を詳しく知らない人から心ない言葉をかけられ、傷つくことがあるかもしれません。しかし、これまでの苦しみやあなたが払ってきた努力は、ご自身が一番よく分かっているはずです。周りの声に無理に合わせる必要はなく、ご自身の健康と安全を最優先にした選択を大切にしてください。

 

まとめ

境界性パーソナリティ障害の傾向がある方との関係に限界を感じ、「縁を切るかもしれない」と悩むことは、決してあなたが冷たいからではありません。そこに至るまでに、深く傷つきながらも懸命に向き合い、一人で抱え込んでこられたのだと思います。

 

関係をどうするかは、「完全に切る」か「我慢して続ける」かの二択ではありません。連絡の頻度を減らしたり、会う場所を制限したりと、ご自身が少しでも息をできるようになるための距離の置き方はいくつか存在します。大切なのは、ご自身が心身の健康を取り戻すことです。

 

「自分が離れたらどうなるのか」という不安や罪悪感は簡単には消えないかもしれません。だからこそ、どうか一人で背負い込もうとせず、医療機関や専門の窓口などを頼ってください。ご自身の人生と心を守るための選択は、他の誰のものでもない、あなた自身の権利です。

 

ひとりで抱え込まないでください。私たちがそっと寄り添います。

ご家族やご本人だけで抱え続けることの苦しさを、私たちは知っています。

「少し話を聞いてほしい」だけでも大丈夫です。まずはお気軽にご相談ください。

 

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平日・土曜・祝日 9:00〜18:00 
【日曜・お盆・年末年始休み】

※訪問は20時まで
対応させていただいております。

 

参照:MSDマニュアル/ボーダーラインパーソナリティ症

 

この記事を監修した人

中野誠子

株式会社Make Care 代表取締役社長

中野 誠子

看護師 / (元)重症心身障害児者認定看護師

精神科病棟勤務・看護学校教員として経験を積み、「こころに寄り添う看護」を志す。石森・濱𦚰とともに株式会社Make Careを創業。現在は訪問看護ステーションくるみの代表として現場に立ちつつ、メディアにも積極的に登場し、地域精神医療の啓蒙とアップデートに挑む。

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