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境界性パーソナリティ障害とは?症状・原因と家族の接し方を解説

精神科訪問看護とは

 

境界性パーソナリティ障害(BPD)とは、他人から見捨てられることへの強い不安を中心に、感情や対人関係、自己イメージが不安定になる精神疾患です。ご本人だけでなく、ご家族や身近な方も「どう接すればいいのかわからない」と悩まれることが多いかもしれません。この記事では、境界性パーソナリティ障害の症状や原因、受診の目安について解説します。ご家族が今日からできる接し方や、精神科訪問看護でのサポート内容もお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

 

ご不安な気持ちが強い時や、文章を読むのがお辛い時は、無理をせず私たちにお声がけください。

精神科の専門スタッフが、あなたの状況に合わせてお話をお伺いします。まずはお気軽にご相談ください。

大阪市、寝屋川市、守口市、
門真市、大東市、枚方市、吹田市、尼崎市全域対象

“精神科に特化”した
訪問看護ステーション
「くるみ」

06-6105-1756 06-6105-1756

平日・土曜・祝日 9:00〜18:00 
【日曜・お盆・年末年始休み】

※訪問は20時まで
対応させていただいております。

 

境界性パーソナリティ障害とは?

どのような疾患か

境界性パーソナリティ障害は、主に見捨てられることへの強い不安や恐怖から、感情や対人関係が極端に不安定になる精神疾患です。気分の波が激しく、自分自身のイメージ(自分がどういう人間か)も揺れ動きやすいという特徴があります。近年では「境界性パーソナリティ症」という呼称が用いられることもあります。 

 

「わがまま」や性格の問題ではありません

周囲からは感情の起伏が激しいように見え、「わがまま」「感情を抑えられない性格」と誤解されがちです。しかし、これらは疾患による症状であり、ご本人の意思や努力不足、性格の問題で起きているわけではありません。ご自身を過剰に責めたり、ご家族が「育て方のせいだ」と思い詰めたりする必要はないことを、まずは知っておいてください。

 

「メンヘラ」とはどう違うのか

インターネット上などでは、感情が不安定な状態を指して「メンヘラ」という俗語が使われることがあります。しかし、「メンヘラ」は医学的な診断名ではありません。境界性パーソナリティ障害は、医師が明確な基準に基づいて診断する精神疾患です。俗語で安易に片づけてしまうと、適切な支援や医療機関への受診が遅れる原因となります。不調を感じた場合は、精神科や心療内科に相談してください。

 

境界性パーソナリティ障害の主な症状

 

診断の目安とされる9つの症状

(※これらは診断の際に医師が参考にする項目であり、いくつ当てはまるかで自己診断できるものではありません。気になる場合は精神科・心療内科にご相談ください。)

精神疾患の国際的な診断基準(DSM-5)では、以下の9つの項目が挙げられています。

  • 現実、または想像上で見捨てられることを避けようとするなりふり構わない努力
  • 相手を「理想化」することと「こき下ろす」ことを両極端に繰り返す、不安定で激しい対人関係
  • 自己像や自己意識の著しい不安定さ
  • 自分を傷つける可能性のある衝動的な行動(浪費、性的な行動、物質乱用など)
  • 繰り返される自傷行為や、自殺をほのめかす言動
  • 気分が数時間から数日単位で激しく変わる感情の不安定さ
  • 慢性的な空虚感(心の中が空っぽであるという感覚)
  • 不適切で激しい怒り、または怒りをコントロールすることの困難さ
  • ストレスによって引き起こされる、一時的な強い疑い深さや、現実感がなくなる症状

 

よく聞かれる言葉とその背景

境界性パーソナリティ障害のご本人は、不安や孤独感から以下のような言葉を口にすることがあります。

  • 「嫌いにならないで」 相手から少しでも距離を置かれるのではないかという、見捨てられる不安が強く働いている状態です。この強い恐怖感から、しがみつくようにこれらの言葉を口にしてしまいます。ご家族がこの言葉の激しさに圧倒されてしまうと、どう対応してよいか分からずに関係が不安定になりやすくなります。
  • 「どうせ見捨てるんでしょう」 相手が自分から離れていくことへの極端な恐怖を感じており、見捨てられる不安が強く働いています。不安に耐えきれず、相手の愛情を確認したいあまりに突き放すような言い方になってしまいます。周囲が言葉通りに受け取って距離を置いてしまうと、ご本人の不安がさらに増大する悪循環に陥りやすいです。
  • 「もういい、終わりだ」 少しでも自分の期待に沿わない出来事があると、相手に完全に拒絶されたという極端な絶望感に陥っています。この白か黒かといった両極端な考え方により、すべてを台無しにするような言葉を投げかけてしまいます。ご家族が言葉通りに「関係が終わった」と受け取ってしまうと、状況がさらに混乱しやすくなります。
  • 「あなたなんて大嫌い」 直前まで好意的に接していた相手であっても、小さなきっかけで急激に評価が反転し、強い怒りを感じている状態です。相手を「完璧な存在」として理想化していた反動で、見捨てられる不安が刺激されると一転して強い拒絶の言葉となって表れます。突然の態度の変化にご家族は最も混乱しやすく、疲弊する原因となることが多いです。
  • 「裏切られた」 相手が自分を完全に守ってくれると信じていた分、少しでも欠点が見えたり思い通りにならなかったりすると、激しい落胆と怒りを感じています。その結果、「見捨てられた」「攻撃された」と捉えてしまい、相手を激しく非難する言葉になります。周囲がむきになって否定や反論をしてしまうと、かえってご本人の怒りや不安をエスカレートさせやすくなります。

実際にどのような言葉をかければよいかについては、境界性パーソナリティ障害の方への接し方・声かけの具体例でくわしく解説しています。

 

衝動的な行動として現れること

感情のコントロールが難しくなると、やけ食い(過食)、過度の飲酒や喫煙、ギャンブル、買い物への依存(浪費)、衝動的な性的な行動などに走る場合があります。これらの行動は、耐え難い苦痛や孤独感をなんとか和らげようとして生じるものであり、本人の性格の問題ではありません。

 

「死にたい」と言われたときは

境界性パーソナリティ障害では、強い精神的苦痛から希死念慮(死にたいという気持ち)や自傷行為が現れることがあります。 ご家族や周囲の方が「本気かどうか」を判断しようとすることは非常に危険です。その場で言葉を否定したり、「そんなことを言ってはいけない」と叱ったりしないでください。 ご家族だけで抱え込まず、必ず主治医に相談するか、以下の相談窓口につないでください。

  • こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556
  • お住まいの地域の精神保健福祉センター
  • 救急の判断に迷うとき:#7119

境界性パーソナリティ障害の原因

境界性パーソナリティ障害の明確な原因は、現在のところ完全には解明されていません。さまざまな要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。

  • 遺伝的・生物学的要因:生まれつきの気質や、脳の機能の違いが関係しているという指摘があります。
  • 養育環境や過去のつらい経験:幼少期の虐待や喪失体験などが影響を与える場合もあります。
  • 強いストレス:人間関係での強いストレスなど、環境的な要因が引き金になることがあります。

ここで注意すべきは、養育環境が関与する場合もあるとされていますが、原因を特定できるものではなく、誰かの責任を問うものではないということです。「親の育て方が悪かった」とご家族が自分を責める必要はありません。 

 

放置しない方がよいサイン

以下のようなサインが見られる場合は、専門的な支援が必要な状態です。

  • 自傷や「死にたい」という言葉が繰り返し現れている ご本人が一人では抱えきれないほどの強い苦痛を感じており、専門的な医療の介入が必要な状態を示しています。この状態が繰り返されると、命に関わるリスクが高まるだけでなく、ご本人の心身がさらに深く傷ついてしまいます。単なる一時的な落ち込みではなく、こうした言動が繰り返し起きている場合は、早急に受診を検討してください。
  • 仕事・学業・家事が続けられなくなっている 激しい気分の波や対人関係のつまずきによって、社会的な活動を維持するエネルギーが失われているサインです。以前は当たり前のようにできていたことができなくなっている場合、日常生活の基盤が崩れ、経済的・社会的な孤立を招きやすくなります。ご本人の努力不足ではなく疾患による影響が大きいため、医療などの支援に繋ぐ必要があります。
  • 家族や恋人との関係が繰り返し壊れている 見捨てられ不安や激しい怒りのコントロールが難しくなり、身近な人との安定した関係を築くための支援を必要としています。衝突が繰り返されると、ご本人がさらに深い孤独を感じるだけでなく、周囲も対応に疲れ果てて共倒れになりかねません。関係の修復が困難な出来事が繰り返し起きている場合は、専門家を交えたサポート体制が求められます。
  • 飲酒・過食・浪費などが生活を圧迫している 耐え難い精神的な苦痛を和らげるための衝動的な行動がコントロールできず、治療的介入が必要な状態です。こうした行動がエスカレートすると、健康状態の悪化や借金などの深刻なトラブルに繋がり、生活全体が破綻してしまう恐れがあります。本人の意志の弱さと片付けず、以前とは違う衝動的な行動が繰り返し起きている場合は受診の目安となります。
  • 本人または家族が心身の不調をきたしている 不安定な状況が続くことで、ご本人だけでなくサポートしているご家族も限界を迎え、ケアが必要な状態になっているサインです。不眠や強い疲労感、気分の落ち込みなどが現れると、冷静な対応ができなくなり、家庭内の状況がさらに悪化しやすくなります。ご家族自身が「以前のように対応できなくなった」「疲れが取れない」と感じる場合は、共倒れを防ぐために外部の支援を頼るべきタイミングです。

これらは本人の努力不足ではなく、医療や福祉の支援が必要なサインです。早めに精神科や心療内科に相談してください。

 

家族や周囲ができること

 

避けたい2つの極端な対応

境界性パーソナリティ障害の方に接する際、「突き放す」ことと「すべてを受け入れる」ことの極端な対応は、どちらも関係を不安定にしやすいとされています。冷たく突き放すと見捨てられ不安を強めてしまい、逆にすべての要求を聞き入れてしまうと、ご家族が限界を迎えてしまいます。どちらの対応をしてしまったとしても、それは「家族が悪い」わけではありません。適切な距離感を専門家と一緒に探していくことが大切です。

 

家族が自分を守ることも支援の一部

ご家族が無理をして疲弊してしまうと、ご本人への支援そのものが続けられなくなってしまいます。家族が心身の健康を保ち、自分自身の生活や休息を守ることも、立派な支援の一部です。 ご家族自身の負担を減らす具体的な方法は、境界性パーソナリティ障害のご家族が疲弊しないための対処法にまとめています。

 

家族だけで抱えないための相談先

ご本人との関わり方で悩んだときは、家族だけで抱え込まずに外部の機関を頼ってください。主治医に相談するほか、お住まいの地域の保健所や精神保健福祉センターでも、ご家族からの相談を受け付けています。 

 

医療機関に相談すべきタイミング

 

どこに相談すればよいか

境界性パーソナリティ障害の診療は、精神科や心療内科で行われます。もし、ご本人が受診に抵抗を感じている場合や、どこへ行けばよいか迷う場合は、まずはお近くの保健所や精神保健福祉センターの窓口に相談してみてください。

 

診断はどのように行われるか

医療機関では、医師による丁寧な問診が行われます。症状の経過や生活上の困りごとなどを聞き取りながら、国際的な診断基準(DSM-5など)に基づいて総合的に評価されます。他の精神疾患が併発していないかどうかも、慎重に見極められます。

 

主な治療法

治療の基本となるのは、認知行動療法などの精神療法(心理療法)です。医師や専門家との対話を通じて、感情のコントロール方法や対人関係の築き方を少しずつ学んでいきます。また、気分の波や不安などの症状の緩和を目的に、薬物療法が用いられる場合もあります。治療方針は医師が一人ひとりの状態に応じて判断します。 

 

精神科訪問看護でできる支援

精神科訪問看護とは、看護師がご自宅を訪問し、1対1で相談や支援を行う仕組みです。主治医の指示のもとで提供されるサービスです。 具体的な支援内容としては、以下のようなものがあります。

  • 体調や気持ちの変化を一緒に確認する 看護師が定期的に訪問し、その日の気分や体調の状態を一緒に振り返ります。少しでも気がかりな変化があれば、速やかに主治医に共有し、適切な対応に繋げます。
  • 服薬を続けられるようサポートする お薬の飲み忘れを防ぐための工夫を一緒に考えたり、服薬に関する不安について相談できたりします。自己判断での中断を防ぎ、治療を安全に継続できるようにサポートします。
  • 生活リズムを整える手助けをする 日々の睡眠時間や食事の状況、日中の過ごし方について一緒に考えます。安定した日常生活を送るための土台作りを、ご本人のペースに合わせてお手伝いします。
  • 対人関係の悩みを継続的に相談できる 生活の中で感じている対人関係の悩みを、時間をかけて相談できます。診察の場では話しにくいことも、ご自宅という落ち着いた環境で伝えやすくなります。
  • ご家族の相談にも応じる ご本人だけでなく、日々の関わり方に悩むご家族からのご相談にも対応します。ご家族の不安を和らげ、孤立させないことも訪問看護の重要な役割です。

気分が不安定で外出が難しい方や、通院が途切れがちな方でも、ご自宅にいながら専門的なケアを継続できるのが大きな特徴です。 支援の流れや実際の関わり方については、境界性パーソナリティ障害の方への精神科訪問看護でできる支援でさらにくわしくご紹介しています。

 

くるみにご相談いただけること

「訪問看護ステーションくるみ」は、精神科に特化した訪問看護ステーションです。境界性パーソナリティ障害をはじめとする精神疾患にお悩みの方に対し、看護師がご自宅を訪問し、地域での生活をサポートしています。 対応エリアは、大阪市・寝屋川市・守口市・門真市・大東市・枚方市・吹田市・尼崎市です。

ご本人様はもちろん、対応に悩まれているご家族様からのご相談も受け付けております。「まずは話を聞いてみたい」というだけでも構いませんので、ぜひお気軽にご相談ください。

 

まとめ

  • 境界性パーソナリティ障害は、見捨てられ不安から感情や対人関係が不安定になる疾患であり、性格の問題ではありません。
  • 衝借的な行動や強い言葉の裏には、大きな苦痛と不安が隠れています。
  • ご家族がすべてを抱え込まず、外部の専門機関に頼ることが回復への第一歩です。

気になる症状や生活上の困難がある場合は、一人で悩まず、精神科・心療内科の医師に相談してください。

 

 

ひとりで抱え込まないでください。私たちがそっと寄り添います。

ご家族やご本人だけで抱え続けることの苦しさを、私たちは知っています。

「少し話を聞いてほしい」だけでも大丈夫です。まずはお気軽にご相談ください。

大阪市、寝屋川市、守口市、
門真市、大東市、枚方市、吹田市、尼崎市全域対象

“精神科に特化”した
訪問看護ステーション
「くるみ」

06-6105-1756 06-6105-1756

平日・土曜・祝日 9:00〜18:00 
【日曜・お盆・年末年始休み】

※訪問は20時まで
対応させていただいております。

 

 

参照:MSDマニュアル/ボーダーラインパーソナリティ症

 

この記事を書いた人

鬼頭怜那

鬼頭 怜那(きとうれな)

看護師 / 産業心理カウンセラー

看護師資格を取得後、産科病棟で勤務。その後、精神科の急性期・慢性期病棟にて、精神疾患だけでなく身体疾患のある患者の看護にも携わる。精神科の訪問看護での勤務経験も活かしながら、現在はライターとして医療・薬理・在宅ケア・メンタルヘルスに関する記事を執筆中。

この記事を監修した人

中野誠子

株式会社Make Care 代表取締役社長

中野 誠子

看護師 / (元)重症心身障害児者認定看護師

精神科病棟勤務・看護学校教員として経験を積み、「こころに寄り添う看護」を志す。石森・濱𦚰とともに株式会社Make Careを創業。現在は訪問看護ステーションくるみの代表として現場に立ちつつ、メディアにも積極的に登場し、地域精神医療の啓蒙とアップデートに挑む。

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