境界性パーソナリティ障害の母親|特徴と成人した子ができること
精神科訪問看護とは
日によって母親の機嫌が大きく変わり、同じことをしても喜ばれる日もあれば、激しい怒りをぶつけられる日もある。泣いたり取り乱したりする母親を、子どもの頃からずっと自分がなだめてきた。家を出て大人になった今も、母親から連絡が来るたびに緊張が走り、「自分の育ってきた環境は少し違ったのかもしれない」と考え始めている方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、感情の波が激しい母親のもとで、子ども時代にどのようなことが起きていたのかを言葉にし、成人したあなたが自分自身の人生を歩むために、今から取れる距離の置き方や考え方をお伝えします。
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ご不安な気持ちが強い時や、文章を読むのがお辛い時は、無理をせず私たちにお声がけください。
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大阪市、寝屋川市、守口市、
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平日・土曜・祝日 9:00〜18:00
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母親の反応が読めなかったということ
子どもの頃、母親の機嫌がいつ、どのようなタイミングで急変するのかが予測できず、常に家の中に緊張感が漂っていたという経験を持つ方は少なくありません。こうした極端な感情の波や、見捨てられることへの強い不安などを特徴とする状態として、境界性パーソナリティ障害が挙げられます。
もちろん、すべての母親がこの診断に当てはまるわけではありません。しかし、感情のコントロールが難しく、反応が読めない環境で育つことは、子どもにとって非常に大きな負担となります。
同じことをしても、返ってくるものが違う
昨日は笑顔で許してくれたはずの行動が、今日はなぜか激しく責め立てられる理由になる。このように、同じことをしても日によって返ってくる反応が全く異なることがあります。一貫した対応がないため、子どもはどう振る舞えば母親が穏やかでいてくれるのか、その「正解」を見つけることが難しくなります。
その環境で子どもが身につけたこと
反応が読めない環境で日々を過ごす中で、子どもは自分を守るため、あるいは家庭を平穏に保つために、いくつかの対人関係の癖を身につけていくことがあります。
常に母親の様子をうかがう
母親の足音や声のトーン、ドアの閉め方などから「今は機嫌が良いか、悪いか」を敏感に察知するようになります。常にアンテナを張り巡らせて母親の様子をうかがい、少しでも不機嫌そうなサインがあれば、波風を立てないように息をひそめることが日常の習慣となることがあります。
母親の感情を鎮める役割を引き受ける
母親が取り乱したり、激しい怒りや不安を露わにしたりしたとき、本来であれば大人が子どもを安心させるべきところを、逆転して子どもが母親をなだめる役割を担うことがあります。母親の愚痴を聞き続けたり、ご機嫌をとったりして、感情を鎮めるための調整役を長年引き受けてきた方もいらっしゃるでしょう。
自分の感情を後回しにする
母親の感情が家庭の中心になっていると、「自分がどうしたいか」「自分が何を感じているか」といった子ども自身の感情が、後回しになりやすくなります。自分の意見を言えば母親を怒らせてしまうかもしれないという不安から、自分の欲求を飲み込み、相手に合わせることが当たり前になっていくことがあります。
「見捨てないで」と言われる側にいたこと
境界性パーソナリティ障害の傾向がある場合、「人から見捨てられること」に対して強い不安を抱きやすいという特徴があります。
子どもが母親の支えになっていた場合
見捨てられる不安が強い状態では、最も身近にいる子どもに対して「あなただけは私を見捨てないで」と、過剰に頼ってしまうことがあります。子どもは小さな頃から母親の精神的な支えとして機能することを求められ、子どもらしさを抑えて大人びた振る舞いをせざるを得ない状況に置かれることがあります。
離れようとすると強く引き留められる
子どもが進学や就職、結婚などで自立し、物理的・心理的に離れようとすると、母親の中で見捨てられ不安が刺激され、激しく引き留めようとすることがあります。時に相手を突き放すような言動をしながらも、実際には強い不安から引き留めようとしているなど、複雑な反応を示すこともあります。
関連記事:境界性パーソナリティ障害の方が突き放す言動をとる理由と対処法
大人になった今、起きていること
こうした環境の影響は、家を出て大人になってからも続くことがあります。
連絡が来るたびに身構えてしまう
すでに実家を離れて生活をしていても、スマートフォンに母親からの着信やメッセージの通知が表示されるだけで、動悸がしたり胃が痛くなったりすることがあります。「また何か問題が起きたのではないか」「怒られるのではないか」と、一瞬にして子ども時代の緊張状態に引き戻されてしまいます。
母親が心配で、離れきれない
「自分が連絡を絶ったら、母親はどうなってしまうのだろう」という思いが強く、完全に距離を置くことに踏み切れないケースも多くあります。縁を切ることについても考えたことがあるものの、長年支え続けてきたからこその責任感や罪悪感から、苦しいと分かっていても関係を断ち切れない状況が続くことがあります。
成人した子が今から取れる距離の置き方
過去の環境や母親の行動を変えることは困難ですが、成人した今、ご自身を守るための対処法を見つけ、新しい距離感を築いていくことは可能です。
やり取りの手段と時間帯を決めておく
いつでも母親からの連絡に応じるのではなく、「連絡はLINEのみにする」「電話は休日の昼間だけにする」など、ご自身が対応できる具体的な手段と時間を決めておくことが助けになります。限界を超えてすべてに応じようとするよりも、一定の枠組みを作るほうが、お互いにとって安定した関係を保ちやすくなります。
母親の感情を引き受ける役割から降りる
母親が不機嫌になったり不安になったりしたとき、それをなだめて解決する役割をこれ以上担い続ける必要はありません。母親の感情は母親自身のものであり、あなたが責任を負うものではありません。そう切り分けて考えることが、ご自身の生活を取り戻す助けになります。
一人で判断しようとしない
長年の関係性の中で築かれた習慣を自分一人で変えるのは、非常に難しいことです。どう対応すべきか迷ったときや、心身に疲れを感じたときは、医療機関の相談窓口やカウンセラーなど、専門家に状況を話し、支援を受けることを検討してください。
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受診・相談の目安
母親との関係を思い出すと夜眠れない、常に不安や緊張感が消えない、仕事や日常生活に影響が出ているといった不調が続いている場合、ご自身の心が限界を迎えているサインかもしれません。
そのようなときは、精神科や心療内科のクリニックを受診することを検討してみてください。受診の目的は、母親との関係をどうするかを今すぐ決めることではなく、まずはあなた自身の心身の疲労を回復し、こころの健康を取り戻すことにあります。必要に応じて、適切な対処の仕方についても専門家と一緒に考えることができます。
よくある質問
Q1 母に受診を勧めたほうがよいですか
ご本人が困り感を持っていなければ、家族が受診を勧めても反発されることが多く、かえって事態が複雑になる可能性があります。母親を病院へ連れて行くことよりも、まずはご自身の健康を守るための距離の取り方について、専門家に相談することを優先してください。
Q2 私が離れたら、母はどうなってしまうのでしょうか
※身の危険を感じるような訴えや行動がある場合は、ためらわずに以下の窓口にご相談ください。 ・こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556 ・お住まいの地域の精神保健福祉センター/保健所 ・救急相談 #7119 ・生命の危険が差し迫っている場合は119番
「自分が離れたら母親の身に何か起きるのではないか」という強い不安を抱える方は多くいらっしゃいます。しかし、母親の生命や安全の責任を、あなたが一人で背負わなければならないわけではありません。危険があるときに何もしなくてよいということではありませんが、それはあなたがすべてを解決しなければならないという意味ではなく、一人で背負わず医療機関や適切な相談窓口へつなぐことが大切です。
Q3 母のようになりたくないと強く思ってしまいます
自分の中に母親と似ている部分があるのではないかと不安になるのは、無理のないことです。しかし、「あんな風になりたくない」と客観的に考え、ご自身の振る舞いや傾向を見つめ直そうとしている時点で、母親とは異なる視点を持てている証拠でもあります。不安な場合は、専門家のサポートを受けながらご自身の考え方の癖を整理していくこともできます。
まとめ
母親の反応が日によって大きく変わる環境で、常に顔色をうかがい、感情の調整役を担ってきた経験は、言葉にするのが難しく、長年ご自身の中に封じ込めてきたものだと思います。あなたが今感じている苦しさや緊張感は、決してあなた自身の努力不足や、受け止め方が悪いから生じているわけではありません。
大人になった今、最も大切なのは、母親を変えることではなく、あなた自身がこれ以上すり減らずに済むような距離の置き方を見つけることです。いつでも連絡に応じなければならない義務も、母親の感情の責任を負い続ける必要もありません。
もし心身に不調を感じているのであれば、一人で抱え込まずに専門の支援機関を頼り、適切なサポートを受けてください。これまでの役割から離れ、あなた自身の人生と感情を最優先にするプロセスは、いつからでも始めることができます。
ひとりで抱え込まないでください。私たちがそっと寄り添います。
ご家族やご本人だけで抱え続けることの苦しさを、私たちは知っています。
「少し話を聞いてほしい」だけでも大丈夫です。まずはお気軽にご相談ください。
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