境界性パーソナリティ障害の試し行動とは?例と家族ができる対応
精神科訪問看護とは
「本当に私のこと好きなの」と一日に何度も確認されたり、急に嫌われるようなことを言われたり、約束を直前になってキャンセルされたりする。ご家族やパートナーのそうした言動に、どう応えればよいのか分からず、疲れ果ててしまっている方もいらっしゃるでしょう。
相手のことを嫌いになったわけではないからこそ、何とか安心させようと対応を続けてきたのだと思います。この記事では、境界性パーソナリティ障害の傾向がある方に見られる「試し行動」の背景を理解し、ご家族が消耗しきらずに受け止めるための考え方をお伝えします。
ご不安な気持ちが強い時や、文章を読むのがお辛い時は、無理をせず私たちにお声がけください。
精神科の専門スタッフが、あなたの状況に合わせてお話をお伺いします。まずはお気軽にご相談ください。
大阪市、寝屋川市、守口市、
門真市、大東市、枚方市、吹田市、尼崎市全域対象
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「くるみ」
平日・土曜・祝日 9:00〜18:00
【日曜・お盆・年末年始休み】
※訪問は20時まで
対応させていただいております。
関連記事:境界性パーソナリティ障害とは?症状・原因と家族の接し方を解説
境界性パーソナリティ障害の試し行動とは
境界性パーソナリティ障害における試し行動とは、相手の愛情や関係の確かさを確かめようとする行動のことです。自分から離れていかないかどうかを確認するために、時に周囲が困惑するような要求や反応を示します。
これは、相手を意のままに操ろうとしたり、単にかまってほしくて演技をしたりしているわけではありません。ご本人にとっては、見捨てられるかもしれないという圧倒的な恐怖をどうにか和らげるための、非常に切実な訴えなのです。
見捨てられることへの不安が背景にある
試し行動の根底には、「いつか見捨てられるのではないか」「自分には愛される価値がないのではないか」という強い不安が潜んでいます。相手が少しでも自分から離れてしまうような素振りを見せると、その不安が限界まで膨れ上がります。
そのため、「どんな自分であっても受け入れてくれるか」を確かめずにはいられなくなり、言葉や態度によって相手の気持ちを確認しようとするのです。
試し行動として現れやすいこと
では、試し行動は具体的にどのような形で現れるのでしょうか。関係性によっても異なりますが、ご家族やパートナーに対して見られやすい例をいくつか挙げます。
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気持ちを何度も確認される
「私のこと、本当に好き?」「どうせいつか見捨てるんでしょ?」といった言葉を、一日に何度も繰り返すことがあります。いくら「大切に思っているよ」と答えても、すぐにまた同じ不安が押し寄せてくるため、何度でも確証を得ようとします。
わざと相手を怒らせるようなことを言う
相手が怒るようなことや傷つくようなことをあえて口にし、「こんなひどいことをする自分でも、見捨てずにそばにいてくれるか」を確かめようとすることがあります。ご本人も嫌われたいわけではないのに、不安が強いあまり、極端な言動で相手の許容範囲を試そうとしてしまいます。
関連記事:境界性パーソナリティ障害で「突き放す」のはなぜ?原因と接し方を解説
連絡や予定をめぐって激しく動揺する
LINEや電話の返信が少し遅れただけで「嫌われた」「無視された」と激しく責め立てることがあります。また、楽しみにしていたはずの約束を直前になって突然キャンセルし、相手がどれほど心配して引き留めてくれるかを見ようとするケースもあります。
応じても終わらないのはなぜか
安心させようと丁寧に応えても、しばらくするとまた同じ確認が始まってしまう。そこには理由があります。
確認しても不安が埋まらない仕組み
ご家族がいくら言葉で安心させようと努力しても、試し行動がすぐに終わるわけではありません。ご本人の心の中には底のない不安があり、一度安心の言葉をもらっても、時間が経てば「先ほどはそう言ったけれど、今はもう違うかもしれない」と再び不安に襲われてしまいます。
そのため、確認しても一時的な安心しか得られず、すぐに次の確認が必要になるという繰り返しが起きやすくなります。
家族が「正解」を探し続けてしまう
ご家族としては、「どう答えれば安心してくれるのだろう」と常に正解を探し、相手の求める通りに応じようと懸命になります。しかし、不安が湧き上がるたびに要求は少しずつ大きくなることがあり、ご家族は応じても応じても状況が好転しない現実に直面し、疲弊しきってしまいます。
危険を伴う訴えがあるとき
※身の危険を感じるような訴えや行動がある場合は、ためらわずに以下の窓口にご相談ください。 ・こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556 ・お住まいの地域の精神保健福祉センター/保健所 ・救急相談 #7119 ・生命の危険が差し迫っている場合は119番
試し行動の中には、「死にたい」という強い言葉や、自分自身を傷つけるような訴えが含まれることがあります。これらの訴えは、相手の気を引くための軽いものだと捉えることはできず、ご本人にとっての極限の苦痛を表しています。
ご家族が「どうせ試し行動だから」と判断して様子を見ることは大変危険です。ご家族だけで抱え込まず、医療機関や専門の相談窓口にただちに繋ぐことが、ご本人の命とご家族を守るために不可欠です。
家族が消耗しきらないために
ご家族が倒れてしまっては、サポートを続けることはできません。自分たちをすり減らさずに関わっていくための考え方をお伝えします。
応じる範囲をあらかじめ決めておく
いつでもどこでも要求に応じるのではなく、「夜遅い時間の連絡には返信できない」「仕事中は電話に出られない」など、自分ができる対応の範囲と限界を明確にしておくことが大切です。無理をして応じ続けるよりも、できる範囲で一貫した対応を続けるほうが、ご本人の安心に繋がりやすくなります。
その場で結論を出そうとしない
ご本人が感情的になって激しく確認してくるときは、落ち着いて話し合うことが困難です。その場で無理に結論を出そうとせず、「今は少し時間が遅いから、明日またゆっくり話そう」などと伝え、時間と距離を置くことも有効な方法です。
一人で抱えず、支援者を間に入れる
こうした状態が続いている場合、ご家族だけで落ち着かせようとするのは非常に難しいことです。医療機関を受診し、医師やカウンセラー、あるいは精神科訪問看護といった第三者の専門家を交えてサポート体制を作ってください。
関連記事:境界性パーソナリティ障害の家族に疲れたと感じる場合の具体的な対応策
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よくある質問
Q1 試し行動には応じないほうがよいのでしょうか
完全に応じない・無視をするといった対応は、ご本人の「見捨てられる」という不安を決定的にしてしまい、訴えがさらに激しくなる恐れがあります。応じる範囲を決めたうえで、その範囲内で一貫して応え続けることが大切です。
Q2 本人にそれが試し行動だと伝えてもよいですか
「どうせ試しているんでしょ」といった指摘は、ご本人の切実な苦しさを否定されたと受け取られ、関係を悪化させる可能性が高いです。行動を分析して伝えるよりも、今のご本人の不安な気持ちそのものを受け止める姿勢が求められます。
Q3 自分の対応が悪かったのではないかと考えてしまいます
ご家族が「自分の愛情不足が原因ではないか」とご自身を責める必要はありません。試し行動はご本人が抱える強い不安から生じているものであり、ご家族の対応が原因で引き起こされているわけではありません。
まとめ
境界性パーソナリティ障害の傾向がある方の試し行動は、底知れぬ「見捨てられ不安」から生じる、相手の愛情や関係性を確認するための切実な訴えです。ご本人は決して相手を困らせたいわけではなく、不安でたまらない状態にあります。
しかし、その訴えを真正面からすべて受け止めようとすると、ご家族やパートナーは疲弊しきってしまいます。できる範囲をあらかじめ決めておき、その枠の中で一貫した対応を続けることが、お互いにとって安全な関わり方となります。
ご家族だけで正解を見つけることは難しく、命に関わるような訴えが出た場合には専門家の介入が不可欠です。ご自身の限界が来る前に、医師や支援機関を頼り、第三者を含めたサポート体制の中で向き合っていくことをご検討ください。
ひとりで抱え込まないでください。私たちがそっと寄り添います。
ご家族やご本人だけで抱え続けることの苦しさを、私たちは知っています。
「少し話を聞いてほしい」だけでも大丈夫です。まずはお気軽にご相談ください。
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